夏は基礎固めの時期だとか言われます。
ですが、春にも似たようなことを言われていたと思います。
多分、冬にも同じようなことを言われると思います。
いつになったら基礎固めは終わるのかというと、だいたい6年生の夏くらいですね。
夏以降はいよいよ本格的な入試対策になります。
成績が下がって相談に行くと、「基礎をしっかりやってください」とか言われます。
易しい問題を落としているのに難しいことをやっても仕方がないとか、今はその時期ではないとか言われます。
ですが、何が基礎なのか、いつまでやればいいのかといった具体的な話はあまりでません。
基礎は大事なのですが、基礎ばっかりやっていてもなかなか実力は伸びません。
かといって基礎をおろそかにするとやはり実力は伸びません。
とにかくその基礎とやらをしっかりやればいいという話なのですが、一体基礎って何なのでしょうか?
とりあえずググってみました。
きそ【基礎】
土台。
土台をググってみました。
どだい【土台】
もとい。
もといをググってみました。
もとい【もとゐ】
土台。基礎。また、物事の根本。
根本をググってみました。
こんぽん【根本】
物事が成り立っている基礎になるもの。
基礎に戻ってきました。
きそ【基礎】
土台。
・それをより所として物事を成り立たせる、おおもと。
・建築物や大きな装置の一番下にすえ、全重量を支えるもの。
意味を調べ続けていくとよく堂々巡りになることがあります。
これで理解出来ない人はこれ以上いくら調べても永遠にわからないということですね。
なのに日常的に良く使われる言葉ってけっこうあります。
そういう言葉を理解していない人は「基礎学力」が足りないとか言われます。
中学受験における基礎とは
塾の先生が言う「基礎」とは何なのでしょうか?
これを正しく理解していないと基礎は身につきません。
かといって先生に「基礎って何ですか」と聞いても、「大事なもの」とか「土台」とか曖昧な答えしか返ってきません。
「とりあえず基本問題をしっかりやってください」としか言われないのです。
なので、もう少し詳しく解説しましょう。
1.「基礎」は人によって違う
これを理解していない人が多いかもしれません。
その人の学力レベル、目指している学校のレベルによって求められるレベルが異なります。
よく、家を建てるときの土台に例えられたりします。
でも、どんな家を建てるのかまで考えてそういう話をする人を見たことがありません。
基礎なんて建てる家の大きさによって変わってきます。
ですから、大きな家を建てたいのなら土台を大きくしなければならないのです。
そういうことを一切考えずに、塾で言われるままのことをやっていたら建売住宅みたいにみんな同じ家になってしまいます。
そういう家が欲しいのなら全く問題はないのですが、豪邸を建てたいというのならそれは絶対にやってはいけないのです。
具体的な話をしましょう。
テキストの基本問題というのは確かに「基礎」を問う問題です。
それを解けるようにしていくことは基礎固めになります。
しかし、それは偏差値50未満の話です。
ちなみにそのレベルでも小学校で習う範囲を十分に越えています。
高学年にもなると親でも解けなくなったりするレベルです。
偏差値50以上を目指す人はもっと大きな基礎が必要になります。
テキストでいうと、基本問題+応用問題がそういう人たちにとっての基礎なのです。
ですから応用問題が解けないと話になりません。
基礎だけしっかりやっていればいいと思っている人はそこで伸び悩みます。
最難関を目指す人ともなれば、マンションやビルを建てるようなものだと思っていいです。
地下深くまでしっかりとした基礎が必要になります。
塾のテキストでいうと、基本問題+応用問題+発展問題のすべてが最難関レベルの基礎なのです。
しかし、それだけやっていてもなかなか最難関は難しいのです。
そこでさらに上を目指すために塾では特訓講座を用意していたりします。
難関校を目指すのには不要なレベルです。
2.基礎をしっかり
「しっかり」というのは「堅固なさま。」です。
つまり、叩いたり揺すったりしても全く揺るがない強さが必要です。
テストでいうなら、正答率の高い問題を落とさないということです。
ミスをしないということです。
ここで、「正答率の高い問題」というのが謎のワードになってきます。
これも塾の先生によって言うことがバラバラです。
というのも、その子のレベルによって正答率の目標が異なるからです。
偏差値50未満なら正答率60%以上の問題を全部解けるようになればいいのです。
それだけで軽く平均点を超えます。
つまり、偏差値50を超えるのです。
逆に言えば、偏差値50未満の人は正答率60%の問題を解き切れていないということです。
偏差値60を目指すなら正答率40%くらいまでは解きたいですね。
もちろんもっと正答率の低い問題も解けなければなりません。
偏差値60台ともなれば学年の上位15%くらいまでに入らなければならないわけですから、正答率20%以上の問題は全部解けて当たり前くらいに思っておかなければなりません。
偏差値70台を目指すなら正答率2%以上の問題を解けなければなりません。
公開テストなどで90点台後半くらいの点数ですね。
もちろん、正答率の高い問題を落としていても、正答率の低い問題を正解していれば合計点で目標の成績に到達できることもあります。
それで上位クラスを維持している人もけっこういると思います。
ですが、そういう人たちが「基礎が弱い」と言われるのです。
この先、どんなに難しい問題が解けるようになっていっても、易しい問題で落としていたらそこで頭打ちになります。
そういう人たちにとって、「基礎を固める」というのは思ったより困難かもしれません。
夏の間に何をするか
夏期講習
夏期講習って必要ですか?
と良く聞かれます。
ですが、必要かどうかはその人のレベルによって異なります。
塾の一般的な夏期講習は通常授業の復習です。
2月開講から今までに習った範囲をざっくりと復習するのです。
夏期から入塾する人がついていけるようにするという目的もあります。
ということは、内容的には偏差値50前後がターゲットになります。
※ 受験学年(小6)を除く
最難関を目指す人にとっては復習は日常的な勉強なので、夏期講習は必要ないかもしれません。
ということは日常的に復習しない人にとって夏期講習は非常に重要となります。
今年は夏休みが短いですが本来なら6週間くらいはあります。
その間まったく勉強せずにいると普通の小学生に戻ってしまいます。
それはまずいですね。
受験学年になると状況は変わります。
難関、最難関のコースに分かれてくると思いますが、それぞれで学習する内容やレベルが異なってきます。
最難関ともなるとかなり難しいことを勉強するわけですが、それは彼らにとっては基礎的な内容なのです。
あと半年で入試がありますから、これからやることは入試に直結してきます。
つまり、入試対策が始まるわけですね。
ということは入試問題と同じレベルの問題を解き始めるわけです。
とは言っても、いきなり難問をとけるわけではないので、段階的にレベルを上げていきます。
その最初のステップが夏期なのです。
入試で正答率が比較的高い問題を解く力、合格するのに欠かせない最低限の知識を身につけていかなければなりません。
つまり、それが受験学年にとっての「基礎」なのです。
最難関志望なら、最難関校の入試問題の中で比較的難易度の低い問題が「基礎」になります。
これが出来ないと入試で合格点にまったく届きません。
どういう問題が「基礎」なのかと言われたら、単純に「読んで理解できる問題」です。
解説を読めばわかる、説明を聞けばわかる、覚えたら簡単、そんなの常識、という問題です。
ですが、それを確実に正解出来るかというと個人差が出ます。
これは偏差値という数値で明確に示されるものなので、それを素直に受け止めなければなりません。
塾のテストで9割くらい取れないと話になりません。
何らかの理由で点数が取れていない人は基礎学力に難ありということです。
それをどうにかするのが夏休みの課題になります。
どうにもならなかったら目標の下方修正が必要になります。
9月以降の受講資格をクリアするのはもちろんですが、志望校のA判定偏差値を越えることが合格するための最低目標になります。
最低目標をギリギリクリアできれば勝負は5分5分まで持ち込めます。
土台が固まるまでには時間が必要です。
受験学年以外は先を見据えてしっかり固めておいた方がいいですね。
受験学年はそんな余裕はないので、目の前のことに集中しましょう。
多分宿題を回すのに精一杯になるかと思います。
余裕があれば・・・というのは余裕が出てから考えましょう。
夏に失敗する人の典型
弱点対策
夏の間に苦手単元を克服しようと考える人は毎年たくさんいます。
そして多くの人が失敗します。
最大の原因は時間が足りないということです。
夏期講習や通常授業の宿題だけでもかなりの時間になります。
今年は特に夏休みが少ないので、全然時間が足りません。
なのに、塾の宿題以外にこれを復習しよう、あれを復習しよう、この問題集をやろうなどと無謀な計画を立ててしまうと途中で挫折してしまいます。
そこで、苦手単元だけでも復習しようと考えるわけです。
時間がないのでテストの復習だけでもしようと考えている人も多いと思います。
ですが、それで克服できたという話を聞いたことがありません。
まず、本当に苦手単元なのかどうかが疑わしいのです。
点数が悪かった=苦手だと考えていると失敗します。
点数が低いのは内容が難しいからで、平均点も低い場合があります。
反対に点数が高くても、平均点がもっと高い場合もあります。
相対的に見て、平均より低い点数を取っている単元が苦手単元なのです。
その単元を好きか嫌いかは関係ありません。
その判断が意外に難しいのです。
例えば食べ物の好き嫌いをなくしたいからといって、毎日嫌いな食べ物ばかりを食卓に並べるようなものです。
昭和時代の教育方針ですね。
日に日にやせ細っていくかもしれません。
食べ物によってはアレルギーが出たり、体調不良になるかもしれません。
嫌いな理由をちゃんと考えておかないと大変なことになります。
勉強でも一緒です。
難しくて解けない問題をひたすら毎日やらせても消化不良になるだけです。
勉強がさらに嫌いになります。
頑張った割に結果が伴いません。
そもそもそんなに簡単に克服できるくらいなら苦手にはなっていないはずです。
さらに時間が足りなくて途中までしか出来なければ、挫折感しか残りません。
欲張り過ぎ
あれもこれもやろうとして時間が足りなくなる典型的なパターンです。
どれも中途半端になります。
最後まで終わらなければ残した単元が苦手単元のままになります。
問題を解くのにかかる時間を正しく見積もっていないからそういう結果になるのです。
1時間でこれだけ終わらせると計画を立てても、終わらなかったときのことを全く考えていないのです。
それでも根性でやり遂げればそれなりの力はつきます。
ですが、そこまでの根性があるのはトップ層だけです。
ほとんどの人は途中で力尽きます。
なのにトップレベルを目指していたりするわけです。
欲張りですね。
塾で相談するとまず反対されます。
とにかく宿題をしっかりやってくださいと言われます。
宿題が回らない
夏期講習期間中は塾の日数が増えます。
当然、宿題もふだんより多くなります。
いつものペースだと全然時間が足りなくなるのです。
そういうときは勉強時間を増やすというのが最善の方法なのですが、
多くの人は勉強時間をそのままで宿題をどうにかしようとします。
つまり手抜き工事ですね。
見た目には頑張ったように見えるから不思議です。
それでもすぐに成績が下がるということもありません。
効果が表れるのはもっと先の話です。
そんなことにならないように、夏を乗り切りましょう。
6年生は受験学年なので塾の宿題を最優先です。
志望校別特訓、夏期講習、平常授業のバランスや日程を考えて、宿題の時間を確保しましょう。
5年生以下は夏期講習、平常授業の宿題を最優先で、夏期講習を受講しない人は今までの総復習をするといいと思います。
(総復習というのは今まで習った範囲をNo1からすべてやり直すことです。)