今回の相談者はサラリーマンの男性A(30歳)。
最近、残業することが多く、帰りが深夜になることも屡だった。ところが、そのことが理由で妻Bから浮気を疑われてしまう。
そこで妻Bは男性Aの鞄の中にGPS装置をこっそり忍ばせ、男性Aの行動を監視することにした。だが、1か月経っても浮気は確認されず、男性Aは本当に連日残業に追われていたことが判明した。
しかし、そんなある日のこと、そのGPS装置を発見した男性Aは妻Bに激怒し、「これを忍ばせたのはお前か!」問い詰める。すると妻Bは悪びれる様子もなく「その通り。浮気を疑って調べていただけ。」と言い放つ。怒りが収まらない男性Aは「こっちは真面目に仕事をしているのにプライバシー侵害もいいところだ!」と反論する。
果たして、夫婦間の浮気調査でGPSを使うのは違法なのか?
北村弁護士の見解:違法ではない
「仮に夫が浮気をしていれば、「離婚したい」「慰謝料請求したい」というのは正当な権利の行使なんですけども、正当な権利を行使するには証拠が必要だ、証拠をつかむためには調査が必要です。GPSは正当な権利を行使するためにやむを得ない調査方法と言わざるをえないんです。となれば、ギリギリ違法ではないと考えます。」
本村弁護士の見解:違法ではない
「これは全然違法ではありません。ポイントは「①夫婦間であるということ②浮気調査目的である」ということです。これがもし第三者、赤の他人であれば、GPSなんかを使ったら違法でしょう。もし付き合っている彼氏・彼女の間でも違法でしょう。ただ夫婦間で隠し事をしてはいけませんから。浮気禁止ですからね。」
北村・本村弁護士の見解は合理的。深夜の帰宅が頻繁になれば浮気を疑うのはある意味では当然と言える。しかし、男性Aが本当に浮気をしていたと主張するにはやはり証拠がなければ、裁判所も簡単には首を縦に振らないだろう。他にも自分が職場でパワーハラスメント等の被害を被っていて仮に裁判を起こすにしても証拠がなければ相手に白を切られて終わりである。裁判をするなら証拠の確保は必須である。
菊地弁護士の見解:違法
「ご主人の帰りが遅い、これ浮気ですか?家庭を支えるために夫は遅くまで働いていると、これを「うちのダンナは浮気!」とするのは早合点だと思います。それから、夫婦なら調べてもいいというのは暴論でございます。」
菊地弁護士の見解も決して理解出来なくはない。男性Aからすれば毎日深夜遅くまで真面目に仕事に打ち込んで家計を支えているにも関わらず妻からは浮気を疑われ、非常に心外な思いをしたことは間違いないだろう。それこそ、この妻Bは正に1ケ月前に取り上げたオセロ症候群を患っていると言ってよいだろう。そういった理由からこの夫婦は長くは持たず、離婚に至る可能性が高いだろう。仮に離婚に至るとなると、妻Bが男性Aから逆に精神的苦痛を受けたとして慰謝料を請求される可能性は十分高く、認められる可能性も高いだろう。