今年の正月は孫達が来ることもあり、伊勢海老やローストビーフ等が盛り込まれた3万円もする御節料理を注文し、それを請け負った業者は12月31日の午前中に届けると告げた。
しかし、12月31日の夜になっても予約した御節料理が一向に届く気配が全くない。
不安に思った女性Aは請け負った業者に電話をすると業者は「何らかの手違いでお届け出来なくなりました。代金は全額返金致します。大変申し訳ございません。」との返答が返って来た。女性Aは激怒し、「貴方達の所為で目出度い正月を台無しにされたから慰謝料を払ってもらう。」と告げる。
果たして、予約した御節料理が予定通り届かなかった場合慰謝料は取れるのか?
北村弁護士の見解:慰謝料取れない
「これは絶対に取れません。債務不履行(先方にミス)があることは間違いないわけですよ。そうするとガッカリしますよね、頭にきます。よく分かります。でも、全て慰謝料が認めるということはないわけですね。日本の裁判の場合は、病気、ケガ、名誉を著しく害された場合に限って、裁判所は慰謝料を認めるわけです。おばあちゃんが取引をする相手の選択を間違えただけなんですよね。ムリです。この程度では。」
大渕弁護士の見解:慰謝料取れない
「極めて損害の金額が大きかったり、内容が極めて悪質なものに関しては、例外的に慰謝料が認められることがあるのですが、この程度であれば、認められない。」
北村・大渕弁護士の見解は極めて合理的。御節料理が届かなかったからと言って、病気になるわけでも怪我するわけでも名誉を毀損されるわけでもない。本件のようなトラブルの解決方法は代金の全額返還が原則。それ以上の要求は過剰な請求となるので無効と判断すべきである。
菊地弁護士の見解:慰謝料取れる
「例えば、毎日の食事が(1日だけ)宅配されない場合なら、慰謝料は取れない。しかし、おせちはそうはいかない。年に1回のお正月なので1年間取り返しがつかない。代金返すからこれでいいでしょ、はないと思います。」
本村弁護士の見解:慰謝料取れる
「おせち料理が来なかったら、お正月は台無しですよ。しかも今年は子どもや孫が帰省して集まっている。この精神的ダメージは相当大きい。代金の返還のみでは済まない。慰謝料請求が認められるケース。」
菊地・本村弁護士の見解は感情論に終始してしまっている。御節料理が届かず、正月を台無しにされてしまった気持ちは分からなくはないが、業者側は代金の全額返還にきちんと応じている以上、これ以上の要求は過剰な要求となるので無効と判断すべきである。孫達をがっかりさせてしまったことは同情するものの、それはお年玉等でカバーすればいい話であろう。