上司Bから「次の人事で部長に昇進することが内定した。」と告げられる。
しかし、同居していた母Cが、くも膜下出血で倒れてしまい、介護が必要な状態になった。妻Dも自分の親Eの介護で手一杯のため、男性Aは母Cの面倒を見ながらも仕事を両立しなければならなくなってしまった。
そんなある日、男性Aは上司Bに呼び出され、「介護と仕事の両立が困難だと会社が判断し、先日の昇進の話はなかったことになった。」と告げられる。しかし、男性Aは「母Cの介護をしながらでも部長の仕事は熟すことは出来る。」と反論するが、上司Bは「何れ仕事の負担が掛かって問題が起こる。」と取り合わない。これに激怒した男性Aは「これは不当人事だ!」と言い放つ。
果たして、介護を理由に出世を取り消すことは違法なのか?
北村弁護士の見解:違法ではない
「これは違法ではありません。昇進っていうのはまだ正式決定ではないということです。人事権っていうのは、ほぼ原則100%会社側、経営者側にもちろんあって、降格だったら違法となる可能性はありますが、この場合は違法となる余地はありません。」
- 本村弁護士の見解に対して -
「正式決定ではないんです!バランスが悪い! 考え方の。」
北村弁護士の見解は極めて合理的。「次の人事で部長に昇進することが内定した」ということは「まだ男性Aが部長に昇格することは正式決定ではない」と言うことになる。つまり、男性Aは昇進もしていなければ降格されたわけでもなくて職階は「現在のまま」であると言うことになる。後述する本村弁護士の見解内に育児・介護休業法の概念がある。だが、本件では繰り返しにはなるが、男性Aは降格処分を受けたわけではないので会社は男性Aに対して不利益な扱いをしたことにはならない。
菊地弁護士の見解:違法
「「部長に君は昇進が内定した」ということを酒の席であっても上司が伝えたということは、部下に対して期待を持たせてるわけですよね。ということで、降格に準じて考えることができるんだと思います。ですから、これは違法だと考えます。」
本村弁護士の見解:違法
「「育児・介護休業法」という法律があります。この法律で、会社は労働者に対して、労働者が介護休業を取ったこと、あるいは介護休業の申し出をしたことを理由に不利益な取り扱いをしてはならないという条文がちゃんとあるんです。これは明らかに不当な人事権の行使にあたります。」
- 北村弁護士の反論に対して -
「決定してるんですよ!決定したことを事前に通達してるだけなんですよ。北村弁護士は会社の都合だけで言ってますからね。これじゃ会社のことしか考えてない!」
菊地・本村弁護士の見解は本件のVTRの人事を大袈裟に解釈し過ぎている感が否めない。菊地弁護士は「降格に準じて考えることが出来る」と言っているが、まだ男性Aは部長に昇格したわけもでなければ部長職或いは現在の職階から降格となったわけでもない。ただ単に現状維持となっただけのことである。昇進が取り消されてしまった男性Aからすれば当然不服だろうが、会社としては人事については全ての会社員の都合も総合的に判断しなければならない。今回の人事の件もその結果と考えられるため、これは止む無しの判断だと考えられよう。ただ、本村弁護士が指摘した「育児・介護休業法」と言う法律がある以上、育児や介護を理由に会社が社員を解雇するのは当然以ての外であることは言うまでもないが、他にも降格や減給と言った処分も許してはならない。
菊地・本村弁護士の見解は本件のVTRの人事を大袈裟に解釈し過ぎている感が否めない。菊地弁護士は「降格に準じて考えることが出来る」と言っているが、まだ男性Aは部長に昇格したわけもでなければ部長職或いは現在の職階から降格となったわけでもない。ただ単に現状維持となっただけのことである。昇進が取り消されてしまった男性Aからすれば当然不服だろうが、会社としては人事については全ての会社員の都合も総合的に判断しなければならない。今回の人事の件もその結果と考えられるため、これは止む無しの判断だと考えられよう。ただ、本村弁護士が指摘した「育児・介護休業法」と言う法律がある以上、育児や介護を理由に会社が社員を解雇するのは当然以ての外であることは言うまでもないが、他にも降格や減給と言った処分も許してはならない。