大ファンでしたので、亡くなったというニュースは本当にショックでした。私のファンぶりをご存じの何人かの友人からは、気遣うメールまでちょうだいしまして・・・
もともとは鬼平からでしたが、自分が義太夫を習ったころからは、義太夫狂言といえば吉右衛門丈ですから、数々の名場面を拝見してきました。
忠臣蔵、寺子屋、伊賀越道中双六の沼津、岡崎、石切梶原、夏祭浪花鑑、俊寛、引窓、絵本太閤記、熊谷陣屋・・・あれもよかった、あれも泣いた。
先日、追悼番組で熊谷陣屋を放映していましたが、一つ一つのセリフ、動きの細かさが見え、“ああ、実はここまで研究し尽くしていたのか”と思いました。
あの熊谷陣屋はおそらく歌舞伎座の杮落しの時ではないかと思いますが、花道の出は今も忘れられません。この人は何を背負っているのか、という息苦しさが観客席にも伝わってきた。
吉右衛門丈の芸はその人物に真底なりきる、ハラが決まっていたからこそ、観るものを感動させたのだと思います。