フレイル予防・歩行改善 | 理学療法士が文献ベースで解説
猛暑で活動量が落ちる夏こそ、フレイル予防が大切です
「暑いから、今日は外に出ない」
夏はこの判断がとても増えます。熱中症を避けるためには大切な判断です。しかし一方で、暑さによって歩数や身体活動量が減り、その状態が続くと足腰の力や歩く力が落ちやすくなります。
研究をまとめると、身体活動量は25〜26℃前後で最も高く、30℃を超えると低下しやすくなります。35℃を超えるような猛暑では、歩数が1日1,000歩以上減少した報告もあります。
監修:リハビリジム プライズネス(理学療法士) | 公開日:2026年7月15日 | 読了:約5分
暑い夏は、無理に外を歩く必要はありません。大切なのは、涼しい環境で、座りっぱなしを減らし、足腰を使う時間を毎日少し残すことです。高齢者のフレイル予防では、「安全に動き続ける工夫」が重要になります。
暑くなると、人は本当に動かなくなるのか
暑い日は、外出を控えたり、買い物を短く済ませたり、散歩をやめたりします。これは気合いの問題ではなく、身体を守るための自然な反応です。
ただし問題は、暑さを避ける生活が数日、数週間と続くことです。外に出ない日が増えると、歩数が減り、立つ時間が減り、階段や坂道を使う機会も減ります。その結果、本人が思っている以上に、足腰を使う量が少なくなります。
研究では、30℃を超えると活動量が落ちやすい
現在の研究を整理すると、身体活動量は25〜26℃前後で高く、30℃を超えるあたりから低下しやすい傾向があります。さらに35℃を超えるような猛暑では、歩数や総活動量の低下がより明確になります。
・中国5都市のスマートフォン歩数データでは、平均気温36.5℃の日に、最も歩数が多かった日より約1,500歩少なかった地域がありました。
・加速度計を用いた約2万人規模の研究では、総活動量と中高強度身体活動は26℃前後で最大となり、高温条件では活動量が低下しました。
・韓国成人を対象にした研究では、気温上昇に伴い「1日30分以上、週5日以上歩く」確率が低下しました。
・実生活環境での加速度計研究でも、気温が高くなるほど座っている時間の割合が増えることが報告されています。
つまり、「暑いと動かなくなる」という感覚には、研究的な裏付けがあります。特に高齢者では、高温時の歩数低下が若い世代より大きいことも示されています。
活動量が落ちると、なぜフレイルにつながるのか
フレイルとは、加齢により筋力・体力・歩行能力・回復力などが低下し、介護が必要な状態に近づいている段階を指します。
フレイル予防で大切なのは、特別な運動だけではありません。日常生活の中で「立つ」「歩く」「階段を使う」「買い物に行く」「外に出る」といった小さな活動を保つことも、とても重要です。
夏に歩数が減ると、足の筋肉を使う回数が減ります。すると、太もも・お尻・ふくらはぎの筋力が落ちやすくなり、歩幅が狭くなる、立ち上がりが重くなる、ふらつきやすくなる、といった変化につながります。
猛暑日に無理して外を歩く必要はありません。大切なのは、熱中症を避けながら、涼しい場所で足腰を使うことです。
この夏、注意したいサイン
- ✓暑くなってから散歩をやめている
- ✓買い物や外出の回数が減った
- ✓家で座ってテレビを見る時間が増えた
- ✓立ち上がりや階段が前よりつらい
- ✓歩くスピードが遅くなった気がする
ひとつでも当てはまる方は、夏のうちに対策しておくことをおすすめします。秋になってから「思ったより歩けなくなっている」と気づく方も少なくありません。
猛暑の夏に足腰を守る5つの方法
- ① 涼しい時間帯に動く
日中の暑い時間を避け、早朝や夕方など比較的涼しい時間に短く歩きましょう。 - ② 冷房の効いた室内で動く
猛暑日は屋外にこだわらなくて大丈夫です。室内で立ち座り、足踏み、かかと上げなどを行いましょう。 - ③ 座りっぱなしを区切る
長時間座り続けると、足腰を使う時間が減ります。1時間に1回は立ち上がることを目標にしましょう。 - ④ 筋トレを少し入れる
歩数が減る日は、スクワット、立ち座り、かかと上げなどで補いましょう。歩けない日は、筋トレで足腰を守る考え方が大切です。 - ⑤ 水分・塩分・たんぱく質を意識する
夏は食欲が落ちやすく、筋肉の材料が不足しやすい季節です。肉・魚・卵・大豆製品などを毎食少しずつ取り入れましょう。
プライズネスでできること
リハビリジム プライズネスは、札幌市西区琴似にある、理学療法士が身体機能を確認しながら運動を行うリハビリジムです。
夏は「外を歩けないから仕方ない」で終わらせず、涼しい室内で安全に足腰を使うことが大切です。プライズネスでは、筋力測定や歩行評価をもとに、今の身体に合った運動を提案します。
- 暑さを気にせず、安全に運動できる
冷房の効いた室内で、熱中症リスクを避けながら身体を動かせます。 - 落ちた力を見える化できる
AI歩行解析や筋力測定により、どこが弱くなっているかを客観的に確認します。 - 自宅でできる夏の運動も提案
暑くて外に出られない日でも続けられる、無理のない運動をお伝えします。
よくある質問
A. はい。研究では、身体活動量は25〜26℃前後で高く、30℃を超えると低下しやすいことが示されています。35℃を超える猛暑では、歩数が1日1,000歩以上減った報告もあります。
A. 可能性があります。歩数や立つ時間が減ると、筋力・歩行能力・バランス能力が落ちやすくなります。特に高齢者では、夏の活動量低下を放置しないことが大切です。
A. 無理に外を歩く必要はありません。熱中症の危険がある日は、冷房の効いた室内で足踏みや立ち座り運動を行う方が安全です。
参考文献・研究メモ
1. 中国5都市のスマートフォン歩数データ研究(2022):気温と歩数に逆U字型の関係。高温時に歩数低下、65歳以上で影響が大きい傾向。
2. 中国成人19,977人・110,553日分の加速度計研究(2026):総活動量と中高強度身体活動は26℃前後で最大。高温条件で総活動量が低下し、座位行動が増加。
3. 韓国成人17,750人を対象とした研究:最高気温上昇に伴い「1日30分以上・週5日以上歩く」確率が低下。
4. ヒューストン成人30人・14日間の加速度計研究:25〜38℃の実生活環境で、気温上昇に伴い座位時間の割合が増加。