今日は自分のいる介護施設で実際にあった話をシェアしたいと思います。
それは今から約2か月ほど前の事です。
常に生と死が交差するこの職場に、ある一人の若者がやってきました。彼は職員として自分たちとともに働くことになったのです。
いまどき風(?)の青年で、年は20代前半、背が高く痩せていて、入居者さんたちにもまるで友達みたいに話をしていました。相手に対して尊敬心がないと批判する職員もいましたが、どこかとても優しい目つきをしていたのを覚えています。
そしてそれは何の前触れもなく起きました。
彼が入社して3日後の花火大会の当日、一人の女の子が彼の背後に近づいてきました。
その女の子は入居者さんの家族の一人で、年は6つくらいだったと思います。
その女の子は初めて会った彼にいきなり後ろから飛び掛かり、嬉しそうに彼の耳や髪の毛を引っ張り始めたんです。
驚いた彼がその場にしゃがむと、女の子は彼の膝の上に横になり、彼の顔を両手で、まるでぬいぐるみの顔を撫でるかのようにくちゃくちゃにし始めたんです。
自分や周りにいた職員もその女の子の突然の行動に一瞬我を忘れましたが、次の瞬間その場は爆笑の渦で満たされました。
しかし、その数日後彼は出勤してきませんでした。そしてその翌日も、その翌々日も。
上司の話では、彼は軽い食中毒にかかったそうで、いま病院で検査を受けているとのこと。
そしてその数日後、彼は退社しました。
食中毒だと診断され、再検査の結果、胃がんであることが発覚したのです。
ステージ4.
つまり末期。
彼のがんはすでにリンパ腺にまでもおよび、あと数か月の命であると告げられたそうです。
あまりの事の成り行きに私たち職員も言葉をなくし、ただ茫然としていたのを覚えています。
数日後彼が会社にやってきました。
まだここで働きたいとお願いに来たようです。
彼は突然の死の宣告をあまりよく理解できず、受け入れることができていませんでした。当然の事ですが...
そして次の瞬間、突然彼は大声で泣き叫び始めました...
体全身が震えていました...
花火大会のあの日、あの女の子が無邪気に撫でまわした彼の顔は、怒りと恐怖で覆われていました...
その場にいた上司や看護師、そして私たちの目にも涙があふれていました。
時にこの世は一つの真実を全く逆の方向から私たちに突き付けてきます。
それは全く相反するもののように見えますが、実は全く同じ真理を表しています。
ただその時それを理解できるかどうかは別ですが...
それはいきなり私の目の前に現れたのです。これでもかというほどの絶妙なタイミングで。
私はやり場のない気持ちを抑えその場を離れました。そして一人の入居者さんの介護に向かったのです。するとその入居者さんはいきなり私に訴えてきたんです。
「もうこれ以上生きてなんかいたくない!! ああ、お願いだから私を殺して!! これ以上こんな生き方をしていて、いったい何の意味があるっていうの」
あまりに対照的な二人の状況
突然命を奪われ狼狽する青年と、もうこれ以上生きていたくないと懇願する老人
奪われる命と、投げ出す命
しかしこの二つの相反する命に違いはあるのだろうか
私たちの命に重さはあるのだろうか
どちらの命の方がが大切などということが果たしてあるのだろうか
人は一体どの段階で一番大事なことを学ぶのだろうか
この老人は決して己の命を軽んじていたわけではないと思う
自分の命の重みを知っているからこそ、ただ、いまの彼女の生き方に自尊心を見失ってしまっただけなのだと思う
人の手を借りなければ生きていけないというこの状態の中で、この老人は再び自分の命の重さを取り戻すことができるのだろうか
あの青年は残りの命ではなく、まだある大事な命の重さに耐えることができるのだろうか
あの時あの女の子は、彼に一体何を見たのだろうか
今日も最後まで読んでいただきありがとうございます。
皆様のスピリチュアルライフが愛と笑いと喜びで満たされますように。