昨日は夜勤でした。
普段の夜勤はとても静かで、どちらかというと一人でひたすら利用者さんのおむつを交換したり、寝返りを手伝ったりしています。ところが昨夜は思いもかけないお客さんが夜遅くに見えました。
その方は利用者さんのMさん。Mさんはいつも穏やかで、笑顔の絶えない女性の方です。とても小柄で体重も25キロ程度しかありません。95歳の元気な女の人です。
その夜もいつもと同じように利用者さんたちの洗濯物をたたんでいました。するとMさんが四つん這いになってフロアーまで出て来たんです。Mさん、とても嬉しそうな顔していました、もう夜中の1時過ぎだっていうのに。。。
普段Mさんは一人で歩行することが困難で、移動するときは私たちが車いすに載せて援助しています。でも気分のいい時はこうやって一人で這って歩かれているんです。
床を這うなんて汚いって思うかもしれないけど、Mさんにとって床を這うっていう事は自分の自由を満喫できる数少ない瞬間でもあるんです。だから私たちはあえてMさんが四つん這いになっていても、それを止めることは決してしないと決めてあります。
Mさんとても楽しそう。
ただ残念な事にMさんは認知症が進行していて、もう会話のキャッチボールをする事がほとんどできなくなってしまっています。悲しいですね。。。でもMさん、しゃべるのが大好き。その晩もMさん嬉しそうにいろいろ話しをしてくれました。
私も洗濯物をたたみながらMさんに相槌をしたり、時々うれしそうな顔をしたりして同じ時間を過ごしていました。そんなMさん、時々静かに黙って遠くを見つめるような仕草を取るんです。
Mさんの部屋には家族の写真がいくつかあるんですが、そこに移っているMさんはとっても上品で、小柄ながらきれいな女性です。失礼だけど今のMさんからは想像が付かないほどなんです。どの写真も家族と映っていてとても楽しそう。
そんなMさんが見せる遠くを見るような仕草。その横顔に彼女の人生のいろいろな思い出や感情を垣間見たような気がしました。
人というのは見た目では全く分かりません。ましてや、その人が今まで生きてきた人生を想像するなんてことはほぼ不可能です。でもこういうちょっとした瞬間にその人の人生の一部が現れるんです。
たとえそれが認知症の人であっても、そういう瞬間って必ずあると思います。私たちは自分の人生を、いや、自分自身を完全に忘れてしまう事は決してありません。だから周りの認知症を患っている大事な人にも常に尊敬の念を持って接し欲しいんです。
時には子供っぽく、理解できないような態度を取ることもあると思います。辛い時も沢山あると思います。でもそんな時はぜひ思い出してください。その人のすべてを無条件に受け入れることができるようになり始めたその時こそ、その人を心から愛することができるのだと。
その夜はMさんの人生の一部に少しふれられた特別なヴァレンタインの夜でした。
今回も最後までお読みくださりありがとうございます。