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M&Aや投資ファンドについての雑談

昨今、この業界は閑古鳥が鳴いておりますが、

でもそんなときこそ情報を発信し、少しでも多くのみなさんに

M&Aや投資ファンドのことを知って頂けたら、と思っています。



ネタがあったときに不定期更新する予定です。

フィナンシャルアドバイザーに支払う手数料は、
・リテイナー報酬
・成功報酬
の2つに分類され、その合計額により形成されています。


具体的な金額は、規模やファームによって本当にさまざまですが、
レンジを広く取るならば、

・リテイナー報酬
  着手金として100万円~2,000万円ぐらい支払うか、

  あるいは着手からクロージングまで

  50万円~1,000万円ぐらいを毎月支払う。

・成功報酬
  売買代金の1%~5%程度
  (「レーマン方式」といって、金額が高いほど、高い部分にかかる
   掛け目が低くなる、というのが一般的です)


といったイメージです。

例えば、10億円の会社を買収した場合、

あるいは売却した場合、フィー総額は
全体で3,000万円~5,000万円ぐらいでしょうか。


案件が成約した場合には、リテイナー報酬が全額返金される、

といったケースもあります。


これらを高いとみるか、低いとみるか、は

M&Aに対する本気度にも依存するところでしょう。


しかしこういった定価のないビジネスというのは、

全てが交渉によって決まるわけでして、

フィナンシャルアドバイザーのいう手数料を
鵜呑みにする必要は全くありません。


特に良い会社の売り手であれば、フィーの交渉は強気でいっても、
必ずアドバイザーの方が下りてくると思われます。


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フィナンシャルアドバイザーは、M&A案件の発掘、交渉、

案件を通じての仕切り、などを行います。


ケースとしては、さまざまですが、たとえば、

(1)A会社に、α業界の会社を買収したいので探してほしい、

 と依頼を受け、売り案件をさがし、

 A会社のアドバイザーとなるケース

(2)B会社に、X子会社を売却したい、との依頼を受け、

 買い手を探すためにB会社のアドバイザーとなるケース

(3)C会社がD会社を買収すると決めたが、

 C会社は株主への説明責任を担保するため、

 第三者の買収価格や買収の妥当性に関する意見
 (フェアネス・オピニオンといいます)を取るために、

 C会社のアドバイザーとなるケース


などなどです。

いうまでもなく、アドバイザーにとっては(3)は

棚ぼた的な受注ですから、おいしい、ということになります。


M&Aに慣れている買い手、売り手にとっては、

プロセスや交渉の勘どころなど、十分に把握しているため、

必ずしもフィナンシャルアドバイザーの必要性はない

といえるかもしれません。

実際、投資ファンドが買い手である場合には、
彼らはアドバイザーを立てないことも多いです。


ただ、M&Aの交渉は相当にタフで長期にわたるもので、

利害が真っ向から対立することもあります。

そのときに直接利害が対立する売り手と買い手の

当事者が交渉するより、
ワン・クッションおいてアドバイザー同士が交渉するほうが、
良い結果を生むことが多く、

その意味では効果があるといえるでしょう。



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投資ファンドの保有期間はおおむね2~3年程度、
早い案件で6ヶ月、遅いものでも5年ぐらいでしょうか。

常、M&Aのプロセスはクロージングまで6ヶ月程度は

かかりますので、保有期間が6ヶ月ということは、

ファンドは買収した直後、あるいはその前から

次の買い手候補と交渉を始めていたのかも
しれません。

とんでもない話ですね。


ファンドの保有期間が2~3年になるのは、

パフォーマンスからの逆算による必然です。

ファンドのパフォーマンスはIRR(内部収益率)という

年平均利益率で評価され、

例えば100億円を投資して、3年後に172.8億円になったとすると、
IRRは20%(100×1.2×1.2×1.2)となります。

また、100億円を投資して5年後に207.36億円になったとすると、
IRRは15%(100×1.15×1.15×1.15×1.15×1.15)となります。


この例でいってもわかるように、

100億円を200億円にしたとしても、5年間かかってしまうと、

3年で170億円にした方がパフォーマンスがよい、と
評価されることになります。


年数が経過すればするほど、

利益の絶対額を高くしなければならないため、ファンドとしては、

もうけは小さくても短期間でEXITするインセンティブが
働くことになります。


まああとは正直いって、5年とか保有しても、

もうバリューアップに関してやることはありません。


ファンドのことばかりでいつまでも話が前に進みませんので、
次からは他のプレイヤーについて触れていきます。

投資ファンドが株式を売却するにあたっては、
フィナンシャルアドバイザー(FA)として証券会社等を選任するのが

一般的です。


これは、ファンドが売却する際には、入札(オークション)の
プロセスを利用するため、その仕切り役が必要となるためです。

もちろん、その仕切りをファンド自らがやることもあり得るのですが、
ただそのオークションは透明性の高いものではなく、

実際には出来レースで
「本当はあそこに買ってもらうのがベストだけど、

価格を吊り上げるために当て馬としていくつかにも

参加してもらおう」

というケースなどが珍しくありませんので、
そのあたりを共謀して、ワンクッション置いてくれるサポーターの
存在は、それはそれで有用だと考えられています。


ただ、このフィナンシャルアドバイザーは、本当に仕切り役、
として割り切った方が賢明です。

売り手のアドバイザーですから、

「どこかいい買手候補を探してくれるかもしれない」
なんて期待しても、所詮その売却対象会社の事業内容、

業界などに関しては素人ですから、結局売り手がアイデアを出し、

それを忠実にこなす、ということに尽きるのです。


そこにポジティブサプライズはありません。



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さて、投資ファンドの行動の最終段階である、
「当該会社を株式公開(IPO)ないし第三者へ売却することで
キャピタルゲインを得る」
について。


「IPOさせ、マーケットで株式を少しずつ売却し、当該会社を
本当の意味で独立した一人前の会社にする」
というのが最も素晴らしいストーリーであることは
言うまでもありません。


ただ、一般に投資ファンドはIPOを嫌います。
その理由としては、

・IPOする時期は全て主幹事証券会社の一存に委ねらてしまう
・売却価格(公募価格)を全て主幹事証券会社の一存に委ねらてしまう
・通常、上場後6ヶ月間は主幹事証券会社との約束でロックアップが
 かけられ、全く売却できない
・6ヶ月経過したとしても、すぐに全株を売却することは当然できず、
 段階的に売却することになる

などでしょうか。


したがって、MBOする際にはIPOをチラつかせながらアピールし、
結局事業会社やファンドに全株売却する、というのが
投資ファンドにとっての理想的なEXITになります。

ファンドの株式保有期間というのは一般に2~3年、長くても5年ぐらいです。

教科書的ですが、その意味でファンドは短期的、中期的な利益を

重視しますし、会社の役員・従業員は長期的な利益・発展を

重視するわけですから、そもそもベクトルが合うはずがありません。

それを補うために、ストックオプションを発行したり、経営陣への株式保有を
促すわけですが、それにも限界があります。


業績が良いときには、お互いそのベクトルの相違には目を
つぶっているわけですが、業績が悪化してくると、

・研究開発に携わっている人員に対する考え方
・新規設備投資に対する考え方

などで、相違が顕在化してきます。


ただ、先述のとおり、こういった事象は起こるべくして起きている、と
いえますから、経営陣もそれを見越して、MBOの是非を
検討するべきだといえます。

ファンドは入口の段階では良いことしか並べませんので。

投資ファンドの行動は、


①投資案件を発掘し、投資を実行する
②投資した企業の価値を向上させる
③当該会社を株式公開(IPO)ないし第三者へ売却することで
キャピタルゲインを得る


の3つに集約される、と以前記載させて頂きましたが、
今回はこのうちの②投資した企業の価値を向上させる、について。


以前、「投資先企業の業績は、所詮マクロ経済の波には勝てない」
とお伝えしました。それはその通りだと思いますが、
かといってもちろん、ファンドとして何もしていないわけでは
ありません。


・投資先の非常勤取締役として、取締役会の過半数をおさえ、
 有事のときのラスト・リゾートとする。
・投資先にファンドメンバーを常駐させ(たいていは経営企画室や

管理部門)、モニタリングだけでなく、実務そのものもこなす。
・社外から、ファンドの利益を代弁する社長やCFOなどを連れてきて、
 彼らを通じて情報を吸い上げ、かつ施策を実行する。


などがあるでしょうか。

何でもそうですが、業績が良いときにはファンドとプロパー役員との間では
何も問題はおこりません。

業績が下降局面に差し掛かった時に、互いに衝突し始めることになります。

といったわけで、投資ファンドは上場企業に対し、
・貴社はMBOにより非公開化した方がよい
・貴社の子会社はノンコアであるから、売却した方が良い
・貴社の○○部門はノンコアであるから、売却した方が良い
といって、そのメリットについて懸命にプレゼンします。


ただ残念ながら、仮にその提案が目からウロコ的に
素晴らしいものだったとしても、
(例えば子会社売却のケースを例にとって見ると、)
結局上場企業としては株主への説明責任があるため、
「他のファンドと競わせて、高い価格で売却しないと
取締役として株主の利益を最大化したことにならない」
というマインドになってしまい、結局(限定的でも)入札方式に
なることが一般的です。


その提案をしたファンドにしてみれば、
種だけまいて、収穫を別のファンドが得る、といった
最悪のケースになってしまうのです…


この点、大手法律事務所の弁護士の話では、
「上場企業として入札を行わなかったとしてもそれだけで
取締役としての善管注意義務違反、忠実義務違反にならない」
ということですので、
どうか上場企業の経営者のみなさん、最初に提案したファンドを
尊重してあげてください。

さて、案件ソーシングの間接営業の話。

証券会社、銀行、会計事務所などのM&Aチームや
M&A専門業者が投資案件をつかんだときに、
いかに自分の運営するファンドに紹介してもらうか、が
言うまでもなくキーとなります。


そのために、毎日のようにこういった金融機関の人と
飲み歩いてパイプを太くしている人もいますし、
ファンドごとに特色を出して、
「うちは中長期的な観点から投資をする」
「うちは業種に特化している」
「うちは小さい案件に特化している」
「うちは戦略コンサル出身で・・・」
などとアピールをします。

(実は大して変らなかったりしますが・・・)


でも、そもそも証券会社は案件を成約させたときの
金額に応じた成功報酬を取ることを目的としていますので、
買収金額を吊り上げるべく、当然のこととして

結局複数のファンドにあたって競争環境をあおります。


よって、良い案件ほど価格が高くなる傾向にあるため、
投資ファンドとしては、間接営業よりも直接営業で
案件を獲得することを目指すことになるのです。


さて、投資ファンドの投資プロセスのひとつである、
①投資案件を発掘し、投資を実行する
というものは、
よく案件ソーシング、と呼んだりします。

この案件ソーシング、要は儲かりそうな投資案件、会社を
探してくる、というわけなのですが、単純に考えても、
儲かりそうな会社は普通誰も手放さないですし、
売りに出ている会社は、「ワケアリ」な会社ばかり、ということになります。

ではどうやって見つけてくるか、というと、手段は大きく分けて2つで、
間接営業と直接営業。

間接営業は証券会社、銀行、会計事務所のM&A部門や
M&Aを専門に扱っている業者などを日参し、
案件があったらいつでも紹介してもらう関係を構築しておくこと、
これは営業の基本ですね。

一方直接営業は、文字通り直接上場会社に飛び込んでいって、
その会社そのものやその子会社を売却してもらうべく、
最もらしい提案をしたり、あるいは後継者のいなさそうな、
儲かっている中小企業のオーナーに、これも飛び込んでいくことをいいます。

でもこれらをやってもなかなか案件が見つからないこともあり、
そのときに血眼になって会社四季報をめくり続けるのか、
あるいは割り切って12時に出社したり、4時ぐらいにさっさと帰るのか、
は担当者のカラーで分かれるところです。