京都には17の世界遺産があります。
正確に言うと世界遺産「古都京都の文化財」は17の構成資産からなりますが、16プラス1という言い方をすることがあります。
そのプラス1が延暦寺で、厳密には京都ではなく滋賀県大津市にあります。
最澄により開創された高野山金剛峯寺とならぶ平安仏教の中心であり、浄土真宗の開祖親鸞や日蓮宗の開祖日蓮なども比叡山で修行をしていて「日本仏教の母山」とも称されるそう。
境内は広大で東塔、西塔、横川のエリアからなりますが、今回は東塔エリアにお邪魔します。
入口から鬱蒼とした森の中を進むとまず大講堂に出ます。
僧侶が講義を聞いたり互いに問答をする勉強の場にあたります。堂内は撮影禁止ですが、多いな仏像と延暦寺にに関わった多くの人の肖像画がありました。建物に施された彫刻も立派です。
前庭の開運の鐘には多くの人が列を作ります。幸せを願う気持ちは時代を越えても変わりません。
そして延暦寺の中心の建物である根本中堂へ。
こちらは堂内だけではなく門の内側がすべて撮影禁止でした。それでも何とか外から撮れるところは撮ってみます。
ため息が出ました。中へ入ると背の高い巨木に囲まれた異空間でした。
伝教大師ご自作の本尊薬師如来像の前には、「不滅の法灯」が開創以来1200年間消えることなく灯り続けています。
かつて大きな寺院は寺社勢力と呼ばれ、その権威に伴う武力と財力を持っており、時の権力者を無視できる一種の独立国のような状態にありました。
それゆえ時の権力により度々制圧しようと試みられっましたが、その最たるものは1571年の織田信長による焼き討ちで、延暦寺の堂塔はことごとく炎上し多くの僧兵や僧侶が殺害されたそうです。
その後この大きな中堂はわずか8年で再建されたといい延暦寺の力を感じさせます。
今の境内にはそのような物騒な出来事を思い起こさせるものはありません。平和や幸せを祈る人の姿が多くあります。