
『万華鏡』:サンリオSF文庫の亡霊
17日放送のTBSラジオ「こねくと」で投稿が読み上げられたことに対する返礼メールもまた昨日読まれてしまって恐縮の極みである。
そして、今日の「こねくと」のハロプロ・コーナーでかかった Beyooooonds の「ハムカツ黙示録」を聴いていてふと感じた疑問があるのだけれど、これは臼井ミトンの「金曜ボイスログ」ネタに思えるので、とりあえず創元セールの話に戻りたい。(^^;
◆ ハムカツがどうしたって?
※
今どきスミスやバローズの古くさいスペオペなんぞ読み(返し)たがる者などいるものかとお考えの方もいらっしゃるかもしれない。
◆ 懐かしのスペオペ
では、ブラッドベリの自選短編集『万華鏡』ならどうだろうか? これも今回のセールにエントリーしている。
実は、この新訳も、そして、かつてサンリオSF文庫から刊行された旧訳も私は読んでおらず、神保町で拾った原書も積ん読状態なのだ。
それでも、いつか新旧の訳文を原文とあわせて読み比べてみたいものだと思っている。なぜか?
ここから先は、
さんざん語り尽くされている
昔話の繰り返しなので、
「ああ、ハイハイあの件ね」とお察しの方は
どうかスルーしてください。
<(_ _)>
その日、私が属していたサークルが根城にしていた喫茶店内は騒然としていた。
「サンリオSF文庫の新刊がたいへんなことになってる!」
ロザリンド・アッシュの『蛾』の話題で持ちきりだったのだ。ただ、その作品の内容とはまったく関係のない話だった。
当時、SF、ミステリー関連の新刊はすべて買っていると噂される(仮に)Aさんによると、その『蛾』の巻末の既刊本紹介欄にあるブラッドベリの『万華鏡』の訳者名のところに堂々と “誤訳” と銘うたれているというのだ。(@@;
【注】ネットで探せば、そのあたりの画像が見つかるはずだ。
最初のうちこそ、そこに居合わせたメンバーは「ホントかよー」という反応だったが、すぐにそれは事実と判明した。
誤訳という文字列というか、そもそも “誤” という文字がそこに紛れ込む余地はまずなく、どうしても意図的なものを感じずにはいられない。いかに出版業には後発のサンリオといえども、校正・校閲のプロセスを無視することはないだろうし、紙面を見たときの違和感を見逃すプロはいないのでは?(知らんけど!)
では、翻訳者へのさまざまな指摘に対する反応の鈍さにブチきれた担当編集者のご乱心だったのか? いや、そんなことをすれば即クビだろうし、翻訳業界内でのサンリオの立場はなくなってしまうはずだ。
しかも、その後『万華鏡』訳者からの抗議やサンリオからの謝罪、当該本の回収等で大騒ぎになっておかしくないはずなのに、なぜか、修羅場になったという話はいっこうに聞こえてこなかった。というか、私のようなダメ学生になど知る由もなかったということか……。
でも、ひょっとして、話題づくりのため、翻訳者と編集者の謀議の末にあみだした、禁断のプロモーションの一手だったとしたら……(^^;
当時、何事にもトロい私が書店にやってきたとき、すでに『蛾』の姿は消え失せていた。刷り部数自体も少なかったにちがいない。当の『万華鏡』のほうは、まだ棚差しになっていたけれど、なんかケチのついた感じの本を買う気にはなれず、そのまま旧訳版とは無縁のまま今日まで来てしまった。
近年になって創元から『万華鏡』の《新訳版》が刊行されると聞いたとき、すぐ思い出したのが、この “誤訳” 騒ぎのことだった。でも、文庫で1650円とは、私にとって安いものではなかった。(T-T)
旧訳の翻訳者は無名の人ではない。訳書について聞くところは少ないけれど、間違いなく著名人だ。新訳の翻訳者も近年SF分野での活躍著しい人物である。両者の翻訳についてはいつかきちんと確認したいと思っていた。
新訳は今回キンドル本で入手して、あとは旧訳を古書店で探してみるか……お子ちゃまジジイはいま思案中なのである。(^^;
