
時々、プラスチゾルインクでマット(艶消し)のものは無いのですか?」
という質問を頂きます。
答えは
「プラスチゾルインクは、適正な乾燥を行えばマットが正常です」

じゃぁ、なぜこんな質問が多いのでしょうか

それは、インクを販売する所がきちんとしていないから。ただそれだけ

インクの説明で「160度以上で乾燥します」とか
「プレス機でも乾燥できます」とかいう説明書きを見かけますが。
完全な間違いでもなければ正しくも有りませんし、これが「艶有り」になってしまう原因です

じゃぁ、水性バインダーはどうでしょう

水性バインダーはより高温にして乾燥しても、艶有りになる事はありません。
が、プレス機で乾燥すると、やはり艶有りになってしまいます

それぞれの原因ですが、まず「より高温にした場合」
プラスチゾルインクは、硬化温度で可塑剤が適度に気化し、硬化温度を超えると、主剤であるPVC(塩化ビニル)が溶けだします。
熱乾燥を停止すると、解けたPVCが再度固化します。この際に艶が出てしまいます。
対して水性バインダーは、液体媒質のアクリルやウレタンのエマルジョンで、乾燥温度でターペンがいなくなります。より高温になっても、再度融解する事はないので、艶は出ません。
原因その二のプレス機乾燥の場合。
こちらはとっても物理的な話です。
プレス機のコテがペッタンコのツヤツヤなので、インク表面の平滑性が出る為に艶有りに仕上がります。
どちらのインクをお使いになるにしても、温度管理がとても大切だというお話です

プラスチゾルインクは水性バインダーと違って目詰まりしないし、常温では半永久的に硬化しない。
こういうPRは言いすぎです。
水性バインダーは水系なので常温でもターペンが気化してしまうので硬化が始まります。
プラスチゾルインクの可塑剤は常温では気化しない(沸点が高温)ので硬化しない。
でも、劣化とは別問題です。プラスチゾルインクは常温でも劣化します。という事は使えなくなるという事でしょう

プラスチゾルインクは不要な部分、例えば手指についてしまったらどうしますか?
水性バインダーは水洗いで容易に落ちますが、プラスチゾルインクは容易には落ちません。有機溶剤で手指を拭かなければならなくなります

弊社は、プラスチゾルインクの味方でも、水性バインダーの味方でも有りません

プリントする方の作業環境等をお聞きして、より適したインクをご紹介しています
