舞台:「それ!ぼくのだぁ」~第一幕”ボビーとお父さんその2”~<2> | What aわんだふるワールド

What aわんだふるワールド

がむばるベアーズ:マンセル、グラハムくんの奮闘日記。

≪第一幕前半からの続き≫


What aわんだふるワールド

小さなボビーには、お父さんを探すのが大変だった。


近づいてきてようやく姿が見えてきた。


ボビー:「ジョージと一緒にきたよぉ~!


お父しゃん、おかえりなさい!!」。


ジョージはそっぽを見ていた、ボビーにはもう


お父さんの姿がはっきりと見えていました。


What aわんだふるワールド


港に着岸し、それぞれの家族、友人、恋人、子供を


出迎え。港では再会を心待ちにしてた人々で溢れかえっていた。



藤やん犬:「おいおいおい!オレだけ誰もいねぇ~じゃんか


よぉ~」。「北埠頭?フェリー?まだじゃん。ここじゃねぇし・・・」。


「小樽は遠いなぁ~」。



マンセル:「裕子しゃん、ボビー、それにジョージ。ただいま」。


裕子:「あなた、お疲れ様でした」。


ボビー:「お父しゃんおかえりなさい!」。


マンセル:「何か、変わった事はなかったかい?」。


家族の会話は尽きなかった。


ボビーは学校の事、裕子さんは家の事、話す事に話題を欠かない。




再会して間もなく、帰路についた。


ボビー:「お父しゃん、今度遊園地に行くんだよね」。


マンセル:「もちろんだよ遊園地に行こうな!約束だもんね」。


ボビー:「お母さんも一緒だよね?」。


裕子:「当たり前でしょ、お父さんだけだったら、


方向音痴でどこへ行くか分かりはしませんからね」。


マンセル:「裕子しゃん、それは酷いなぁ~」。


ははははは・・・。港に家族の笑い声が響いた・・・。


What aわんだふるワールド

マンセル:「帰りに、塩大福買って帰ろうね」。


ボビー:「やったぁ~~!」。


くまのジョージはだっこされながら、家族の他愛もない


会話をニコニコと聞くばかりでした。




<<その日の夜>>


帰ったばかりのマンセルくんを専属料理店の店長が、


店に呼び出し相談を持ちかけていた。


グラハム店長:「マンセルくん、今回はお疲れ様でしたね」。


マンセル:「いえいえ、とんでもないですよ。で、相談とは・・・」。


グラハム店長:「いやね、君の出向後に船会社の方からの正式なオファー


なんだけどね。今度新規に就航する定期路線の大型客船に専属料理


人として、君を採用したいと連絡があってねぇ。君の意見も聞かないで


決めるのもね・・・」。グラハム店長はバツが悪そうに言うが・・・。


What aわんだふるワールド

グラハム店長:「や、もちろんね、こっちもエースを取られる訳だから。


それなりの地位と、人的保証も必要だと迫ったよ」。


マンセル:「すると・・・」。


グラハム店長:「君を今度の客船の料理長として、メインに据えるそうだ。


20人位は纏める立場にはなるようだ。給料もここよりは断然いいぞ。


こちらへは、君を貸し出すんだからリースの契約金とコックを2.3人


新規採用する事になりそうだ・・・」。


「どうだろうか?やってみてはくれないか?」。


マンセル:「それにしても、何でボクなんです?」。


What aわんだふるワールド

(クリストファー伯爵夫妻の食事風景)


グラハム店長:「クリストファー伯爵ご夫婦を知っているよね?」。


マンセル:「ええ~、随分前ですよね。店にいらっしゃった時に、


呼ばれて顔を一度合わせましたよね」。


グラハム店長:「あのご夫婦がね、今度就航する客船に乗船される


そうだ。そこで、伯爵夫人が船の上であの牛フィレ肉のローストが食


べたいとおっしゃって。船会社に推薦されたそうだ・・・」。


「しかも、クリフトファー伯爵は、船会社にも出資をしていて。


断り切れなかったって事なんだろう」。


マンセル:「まっ、そんなところだろうな・・・」。
What aわんだふるワールド
(牛フィレ肉のローストと赤ワイン)


マンセル:「で、船会社はボクの料理を食べもしないで


オファー出してきたの?」。


グラハム店長:「それが、先月君が店にいる時食べていた


そうだ。だから知っていたらしいんだよ・・・」。


マンセル:「それで合格という訳ですか」。


紅茶をすすりながら困った顔をしてしまう、マンセル。
What aわんだふるワールド

マンセル:「で、何時出港するんですか?」。


グラハム店長:「1週間後の4月10日だ。明日からすぐ準備に


入って欲しいそうだ」。


マンセル:「もう明日からですか?困ったなぁ~・・・。


ボビーと遊園地に行く約束しちゃったのに・・・」。


出世とは言え、ボビーくんにはどう言えばいいのか・・・。


嬉しい申し出も、今夜ばかりは心苦しく辛い夜になってしまった。



≪第二幕前半へつづく≫