≪小学校の教室≫
礼華先生が教室に入り、生徒達に宿題だった
作文の朗読を促している。
礼華先生:「それでは、宿題の提出をしてもらいますが。
一人ずつ作文を読んで、みんなに聞いてもらって
から提出する事にしましょう。
まずは、ボビーくんから読んでください」。
ボビー:「はい!」
ボビーは立ち上がり、作文を読み始めた。
ボビーの作文。
ぼくのおとうさん。3年1組、ボビー
ぼくのお父さんは、船の中で料理を作るコックさんです。
≪船内の様子≫
トントントントントン・・・。野菜を軽快に切る包丁の音が響く
厨房で仕事をする、左:中華担当の礼華さん。
右:洋食を担当する、マンセルお父さん。
(訳:焼き餃子四人前デキタアルヨ!)
右:「ハンバーグ3人前あがったぉ!」
≪作文のつづき≫
船に乗って、お客さんに料理を作って出すのがお仕事です。
一度船が出てしまうと、長い時は1か月は会えません。
でも、ぼくは全然寂しくありません。
お父さんがくれた、クマのジョージくんがお父さん代わり
です。いつもお話をしています。
お父さんも帰ったら、ジョージくんとよくお話をしています。
お父さんのハンバーグは、世界で一番美味しいです。
クラスから、拍手が沸き起こる。
礼華先生から一言。
礼華先生:「ボビーくん、よく書けてますね・・・。
確か、明日帰ってくるんでしたね。よかったですね」。
ボビー:「帰ったら遊園地に行く約束なんだよぉ」。
礼華先生:「先生も今度ボビーくんのお父さんの作る
ハンバーグを食べてみたいですね」。
右下の黄色いジョーヌさんが、ボビーに話しかける。
彼女は、ボビーくんが好きみたいだ。
ジョーヌ:「ボビーくんのお父様は、コックさんなんだねぇ。
私もハンバーグを食べてみたいわ」。
ボビー:「いいよ、今度お父さんに頼んでみるね」。
ボビーくんにとって、お父さんは自慢のお父さんでした。
<<港にて>>
港には長旅を終えて、船が帰ってきた。
出向かえる人々。家族、友人、恋人、子供・・・。
船の甲板から手を振る、マンセルお父さん。
港で待っている、裕子さんそして、ボビーとくまのジョージ。
マンセル:「おーい!ボビー!裕子さぁ~ん!」。
「ただいまぁ~~!」。
大声を出すも、彼の声は汽笛と波音でかき消されてしまう。
マンセルの目には二人がはっきりと見えていた。
久々の再会に沸き立つ港に、マンセルお父さんを
待つボビーは声を張りあげて出迎えた。
ボビー:「お~い!お父しゃ~ん!」。
裕子さんはそんな姿を微笑ましく見てから、小さく手を
振って出迎えた。
ボビーも小さな手を大きく振ってお父さんの帰りを出迎えた。
≪第一幕後半へつづく≫