今回は、1次側電源から負荷までの電磁誘導方式ワイヤレス給電の等価回路を明らかにします。
最終的には、結合係数をどのように計測すればよいのか?
という検討につなげたいと考えています。
以前書いた記事 → T型等価回路とは、回路の何が等価なのか?
では、相互誘導と磁気系の基礎を解説しましたが、
今回はコイルの巻線抵抗を考慮した1次側電源から負荷までの現実的な回路で考えます。
統合回路モデル
電磁誘導方式のワイヤレス給電システムの構成要素を、「1次側電源」「1次側コイル」「漏れ磁束経路」「結合磁束経路」「2次側コイル」「負荷」とすれば、上図のような電気と磁気を統合した回路モデルで表すことができます。
図中の各記号の意味を以下に示します。
【1次側電源】
● 出力電圧:v1 [V]
● 出力電流:i1 [A]
【1次側コイルおよび2次側コイル】
● 巻数:N1,N2 [Turn]
● 巻線抵抗:R1,R2 [Ω]
● 起磁力:Fm1,Fm2 [A]
● コイル磁束:φw1,φw2 [Wb]
【漏れ磁束経路】
● 漏れ磁束経路のパーミアンス:Ap1,Ap2 [H]
● 漏れ磁束:φp1,φp2 [Wb]
【結合磁束経路】
● コイル間のパーミアンス:AM [H]
● コイル間の起磁力:Fmg [A]
● 2つのコイルを通過する磁束:φg [Wb]
【負荷】
● 負荷抵抗:RZ [Ω]
● 負荷電圧(受電電圧):v2 [V]
● 負荷電流:iL [Ω]
この磁気系を含む統合回路モデルを、電気系の要素(コイル・理想トランス・抵抗)だけで等価的に表したのが、下図のような等価回路モデルです。
等価回路モデル
この統合回路モデルと等価回路モデルとでは、電源と負荷の電圧・電流 (v1 i1 v2 iL)の相互関係(伝達関数)が理論的に同じになります。
巻線抵抗を考慮した等価回路モデルでは、コイルの巻数比を無視することができないため
等価回路は理想トランスを含むモデルで表現することになります。
また、どちらのモデルで考えたとしても、結合係数 は
ここで および は、コイル単体の自己インダクタンスを決定するパーミアンスです。
ワイヤレス給電システムの設計や解析がうまくできない場合は、
このように回路モデルを見直してみると良いかもしれませんね。
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