電気と磁気の両側面からコイルを見ることで空芯コイルと鉄芯コイルとの基本的な差異を理解しましょう。
まずは電気系と磁気系をつなぎます。
●電圧と磁束の時間微分(磁束変化率)は比例関係にあります。
●電流と起磁力(磁界の強さ)は比例関係にあります。
電気系と磁気系の関係はこれが全てです。
つまり、これだけで電気系と磁気系がつながります。
次に、磁気回路における基礎式を考えます。
起磁力=磁気抵抗×磁束
という電気回路のオームの法則に相当する式があります。
実はこの式が原因でコイルの理解を混乱させている可能性があります。
どういうことかと言うと、電気回路の電気抵抗はエネルギーを消費しますが磁気回路の磁気抵抗はエネルギーを消費しないということです。
両者とも抵抗と呼ばれていますが、エネルギーに対する作用が違うことを認識しておかなければなりません。
英語では、magnetic resistance よりも magnetic reluctance と言う場合が多いようです。
私は、磁気回路を考えるときに、磁気抵抗ではなくパーミアンス(permeance)という物理量を使うことにしています。
パーミアンスとは、磁気抵抗の逆数であり、ヘンリー[H]というインダクタンスと同じ単位を持っています。
そして、「電気回路におけるコイルのインダンクタンス」と「磁気回路におけるパーミアンス」とが比例関係にあります。
ここで、電気回路と磁気回路で相互に対応する基礎式を考え直します。
●電気回路
電圧=インダクタンス×電流の時間微分
●磁気回路
磁束の時間微分=パーミアンス×起磁力の時間微分
この両辺を時間積分すれば
磁束=パーミアンス×起磁力
このように、電気系の【電圧・電流】と磁気系の【起磁力(磁界)・磁束】をつなぐためには、時間微分または時間積分を絶対に無視できないということを理解しておきましょう。
最後になりましたが、空芯と鉄芯の違いは、空気と鉄のパーミアンスの違いであり、パーミアンスは透磁率に比例します。
鉄の透磁率は空気の透磁率の数千倍ありますので、空芯コイルに鉄芯を入れるだけで、インダクタンスが非常に大きくなるわけです。 ▼ブログランキング参加中▼
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