ただ、生きていてほしい | メルボルン ベビーシッター&子育て奮闘記

メルボルン ベビーシッター&子育て奮闘記

オーストラリア メルボルンにて、2009年2月生まれの娘ローズと、2013年8月生まれの息子ディー君の子育てに励む日々。

メルボルンでベビーシッターサービスを提供しています。

娘が異常に痩せ始めてから1年半、

正式に拒食症という診断を受け、入院となってから1年がたちました。

 

入院しても口から食べることはほとんどできず、強制的に押さえつけて鼻からチューブを入れて栄養を流し込むだけで、

何とか体重を増やして家に帰ってきても、水を飲むことさえできず、

1週間で5キロとかすぐに減ってしまい、また病院に戻る。。。

これを15回繰り返しました。

 

拒食症の子たちが集められた病棟なので、娘と同じように入退院を繰り返している子もいて、

毎回、だれか知っている子がいるという感じでした。

でも、だいたい、3,4回の入院を経て良くなっていく子がほとんどです。

娘は誰よりも重度に思えました。

 

でも、一人だけ、娘と同じように、数週間置きにいつも入院している子がいました。

年齢もだいたい娘と同じくらい。

娘と同じように、だれとも話さず、食事は一切拒否で、鼻からの栄養注入のみでした。

痛々しいリストカットの跡が日々増えていて、それも娘と同じで、

わたしは心苦しい思いでそのOちゃんを見つめていました。

 

そのOちゃんが、自殺で亡くなったという話を聞いたのは2か月前。

鎮痛剤のオーバードーズによる、腎不全ということでした。

 

同じ鎮痛剤のオーバードーズは、娘も昨年末にやりました。

どの薬局にもスーパーマーケットにも普通に売っているパナドール。

娘は、わたしのカバンや引き出しからすこしづつ入手して、貯めていたようです。

そして定期健診の前日、大量に飲み込みました。

幸運なことに嘔吐して、すこしは吐き出されたのと、発見が早かったため大事には至らず、

それでも臓器はダメージを受け、黄疸がひどく、ICUに1週間以上入って回復しました。

 

でも、手軽に入手できる市販薬だし、わたしはその時、まさかその薬で死に至る可能性があるとは考えていませんでした。

軽くとらえすぎでした。。。。

 

今回、まったく同じ状況で(Oちゃんが何錠飲んだのかはわかりませんが)死に至ってしまったことを聞き、自分の娘に起こったことが、今更ながら恐ろしく、震えてしまいました。

そして、あの美しいOちゃんがこの世を去ってしまったことが、

悲しくてむなしくて、涙が止まりませんでした。

何とむごい病気なのでしょうか。

 

 

いろんな病気がありますが、たいていの病気は、患者は「良くなりたい」と思うものです。元気になりたい。あんなことがしたい、こんなことがしたい。

その「良くなりたい」という気持ちが、治療を後押しするんだと思います。

 

でも、この拒食症という病気は、「良くなる」ことが恐怖なのです。

良くなるということは、体重を増やすこと。それが世界で一番避けたいことなのですから、何としても良くなりたくないのです。

体重をもっと減らして減らして、消えてしまいたい。

体重を増やすくらいなら死んでしまいたいと思いながら、娘は日々過ごしているのです。

 

元気になってほしい、良くなってほしいという親の思いは、娘を苦しめます。

本人は痩せていたい、つまり病気のままでいたいのです。健康になりたくないのです。

拒食症という病気に脳が乗っ取られていて、まともに考えることができていません。

 

そして、治療(食べること)を頑張ってるね!なんて言おうものなら、

体重が増えてしまったんだ!と大パニックになるので、

励ましも、力づけることも、なにも言えません。

 

本当に、毎日娘がパニックを起こさないように(自傷にはしるので)、ただ腫物に触るように、

どうやったら彼女が落ち着いて過ごせるかを模索しています。

 

編み物や読書など、彼女が好きなことのためには、お金は惜しまず使い

(最近は読書にはまっている娘。そして、書き込みしたいので図書館で借りるのはNGです。

1日に1冊以上読んでしまうので、今月の本代、なんと700ドル!)

少しでも笑顔が見たいと思って過ごしているのですが、

 

どうしても避けられない、食事の時間。

いつ心不全を起こしてもおかしくないと言われているギリギリの体調ですので、1食も抜くことはできません。

この地獄の時間が、一日に3回やってきます。

 

栄養を注入できる注射とか魔法の薬とかあればいいんだけど、

とにかく今娘が必要なのは食べ物。

そして、家で看病するのであれば、口から食べさせるという方法しかありません。

何時間かかっても、叫ばれても、殴られても。

 

でも、とにかく今は、娘に生きていてほしい。

それだけです。

今日も明日も生きてさえいてくれれば、いつか元の娘に戻ってくれるかもしれない。

 

生きてさえいれば、もう今はそれで充分です。

 

学校も1年行ってなくて、勉強も全然してなくて、(私以外)だれとも一言も話さなくて、

娘の将来はどうなるんだろうって心配になることもあるけれど、

でも今はとりあえず生きていてほしい、それだけ。。。

 

病気になるまで、

優しくていい子になってほしい、良い成績を取ってほしい、親の言うことを聞いてほしい、

たくさんのわたしの願望に、完璧にこたえてくれていた娘。

そしてわたしは、もっと、もっとと期待が膨らんでいました。

 

本当は、生きてさえいてくれれば、十分だったのに。

どうしてもっと感謝しなかったんだろう。。。

 

 

Oちゃんの悲しいニュースは、もちろん娘には伝えていません。

 

拒食症は、死亡率が非常に高い精神疾患です。

栄養不足で臓器が機能しなくなるか、Oちゃんのように、自殺もかなり多いようです。

 

どうして、わたしの娘がこんな病気になってしまったのか、、、

わたしはどうすれば良いのか、どうすることが正解なのか、

だれも教えてくれません。

 

ただ、わたしは、娘に、生きていてほしい。

そのメッセージだけは、嫌がられても、拒否されても、毎日伝えていきます。

 

 

・・・弱気なブログでごめんなさい。

メルボルンの寒い冬は、滅入る気持ちに拍車をかけてしまいます。

 

でもすこしづつ日が長くなっていて、冬も折り返しです。

梅の花が咲き始めましたラブラブ

春になれば、すこし心が晴れるかな。

それまで、1日1日、乗り切っていきます。


そして、天国のOちゃんが、苦しみから開放されて、安らかでいることを願っています。

天国で、美味しいものを思う存分食べられてるといいな、、、


でも、わが娘は、まだそこには行かせません。

何としてもびっくりマーク