今月のオーストリア料理と居心地の良いレストランについて | Salon.de.Yからの贈りもの〜大事な事は全てお姫様達が教えてくれた。毎日を豊かに生きるコツ

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元ワイン講師であり歴史家。テーブルデコレーションを習いに行った筈が、フランス貴族に伝わる伝統の作法を習う事になったのを機に、お姫様目線で歴史を考察し、現代女性の生きるヒントを綴ったブログ。また宝石や精神性を高め人生の波に乗る生き方を提唱しています。

いつもディナーの訪問ですが、久し振りにランチ時間の銀座ハプスブルクさんを訪問いたしました。

 

16時からマッサージを予約していたので、少し遅い13時30分の入店。

偶々、昔溜池山王でお店をされていたK.U.K当時に似た…大人が集まって建築や旅行等の話しをしている文化的な…客層で、くつろいで過ごすことが出来ました。


古のサロン文化ではありませんが、文化的な話しを皆でシェアされているお仲間の集まりって羨ましい。

 

ここ暫く左脳優位な生活が続き、本当の自分を置き去りにしていたせいか、改めて「やはり私はこの様な空間が好きなのだぁ」と痛感しました。

 

 

↑予約ホームよりお借りしました

 

趣向の違いはあるものの、多くの女性は非日常を感じさせる空間が好きだと思いますが、特にホテルやレストランは女性にとって品格を上げる最高の場だと思います。

 

今から30年程前、今田美奈子氏の元で「伝統の作法」としてプロトコールを学んだ際、お姫様の条件の1つとして「食について語れる事。芸術様式を理解している事」がありました。


でも、文献を読むと、中世の初期の時代は食事について語る事はハシタナイと言われていたのだそうですよ。

 

では、いつ頃からグルマンである事が教養の1つとなったのか考えてみたところ…


オーストリアの食の話しにフランスの文化を引き合いに出すのは話しが混同しそうですが、プロトコールはフランスのマナーが基準ですので、少しお付き合い下さいね。

※日本はイギリス流のマナーが主流でした。


派手好きで儀典づくめだったルイ14世の時代は、食卓も豪華に盛り付けられ、どちからと言えば見せる食卓。

食事を楽しむと言うより、王様の食事は公開制で一種のショーの様なものでした。

 

その様な堅苦しい宮廷に辟易した貴族達が、ルイ14世の死後、摂政となったオルレアン公フィリップが築いたレジャンス様式の時代には、小さなサロンで個人的な集まりを楽しんだと言われています。

 

大切なお客様と共に生きる喜びを謳歌した食卓には、例えば苺を食べる為だけのスプーンが作られたり、アスパラガスの為のトングが作られる等、こだわりを突き詰めた食器やカトラリーで設えられた美しい食卓。

 

その様な家庭的な集まり(と言ってもゴージャス)ですから、食事を頂きながら感想を言い合ったり、季節を感じたりした事でしょう。

 

親しい人同士で同じ食卓を囲み喜びを語り合う事で、心身共に満たされ皆で幸せを分け合っていたのでしょうね。

 

その後、ルイ15世の時代のヒロインはポンパドゥール夫人でしたから、寵姫のサロンに集まる貴族たちは食や文化についてエスプリの利いた会話を楽しんだ歴史があります。

 

今でもグルマンと言うと何か1つのステイタスの様な印象があるのは、美食は一部の人のモノと言うイメージも手伝っているのではないでしょうか?

 

食について語ると言っても、食レポをする必要はありません。

あれは、TVの情報番組だけの世界です。

 

「爽やかな香りが良いね」と誰かが言ったら、「こんな風にハーブを使うと良いんだね」とか、「5月も中旬を過ぎると段々アスパラガス(白)にエグ味が出てくるね」等、自分が感じた事で良いんです。

 

旬を知り、自分はこの料理を食べてこんな事を感じたと言う様に喜びを語り合う事が大事です。

料理法や食材の名前などは場数を踏めば覚えていきますから…。

 

そこに、気の利いた例えや表現が出来れはエスプリと言うものです。


また、居心地の良い空間とはコンセプトが統一されていると言う事。

芸術様式が統一されている事が大事です。

 

例えば、ハンバーガーを提供するお店がクラシックな曲線のあるロココ風のお皿や立派な銀器のカトラリーで出されたらチグハグな感じがしませんか?

 

シャトーレストランで有名な恵比寿にあるロブションはルイ16世様式の内装でネオクラシックなフランス料理が、マキシムではアールヌーボーの内装でバターを使ったクラシックなフランス料理が供されると言う様にバブルの時代は食は美味しさとお腹を満たすだけではなく、文化として芸術性とセットに楽しまれた時代でした。

 

今は人気があるレストランと言うと、シャープでモダンな設えの中、フランス料理風懐石と言った感じのシェフの趣味が全面的に出ている様な感じのレストランが主体でしょうか?

 

何か機能性ばかりで、私には少し味気なく感じてしまいます。


冒頭に戻りますが、私が銀座ハプスブルクさんが居心地が良いと感じるのは、19世紀の古き良きオーストリアのコンセプトで統一されている事です。

 

料理は、ド・オーストリアと言うよりは、現代の日本人が美味く食べられる様に若干寄せてはいるものの、オーストリアの伝統を踏まえたお料理とビーダーマイヤー様式の店内。

 

プレザンタシオン(位置皿)を置き、サーヴィス1つにしても接待される側には値段のついていないメニューを用意するか否かの確認もして下さる、カジュアル仕様の多いレストランの中で、様々なシーンに対応出来る素敵なお店だと思います。

 

レストランは時代と共に客層は変わります。

 

でも、レストランの格を上げるのはスタッフさんだけではなく、お客様の責任でもあります。

 

何も堅苦しいマナーでぎっちぎちになる必要はありませんが、例えば普段スニーカーを愛用しているのであれば、お店に入る前にパンプスに履き替えるなど、最低限の敬意は表したいもの。

 

お客様は何でも許されるのではなく、そこで働く皆さんのお家にお呼ばれする様な気持ちで…。

レストランは料理人やサーヴィスをされる方の聖域でもあるのですから。

 

 

さて、長くなりましたが今回のオーストリアのデジュネ

 

今回は訪問前に「キュウリのスープと前菜はお魚のマリネ。スープはジャガイモのスープでメインはお魚(うーん、平目かマトウダイ?)。デザートはスフレか何か、フワッフワッとした感じのデザートにべりーやクリームと一緒に食べる様なレストランならではの…」と自分が食べたいモノを想像していたら…ハイ!こんなん出ました~。

 

ナント想像通りのお料理ばかりでした。


少し先の時空間にアクセスしているのかしらん?

 

大枠は決まっていますが、その日の気候に合わせる等微調整をして下さる身体に優しいメニュー構成です。

 

 

 

 

キッチンからのご挨拶はキュウリのスープ。

浮身はホタテ貝の貝柱を解したもの。ホタテの下にはチーズのムースが。

 

爽やかなキュウリの風味に今回はライムがキュッとアクセントになっていました。

チーズはヤギのチーズかな?と思い伺ったところ、ミルクの水分を切りフレッシュチーズにしただけとの事。フレッシュ感と若干の乾草の香りがヤギかと…。

 

昨年、これが生涯の食べ収めかと思いながらキュウリのスープを頂いた事を思い出し感慨深いです。


キュウリのスープとコンソメスープは私のお気に入りNo.1です。


このあとマッサージ(飲酒はダメ)なのに、グリューナーヴェルトリナーが飲みたい病。

ポラーホーフさんのグリューナーヴェルトリナー2022

 

 

 

和をイメージさせるラベルは、前の畑の持ち主のマイヤーさんと言う女性が高齢で引退したそうで、小柄なおばあちゃまだったそうです。

ラベルは彼女のイメージをお花に例えたそうですよ。

 

リンゴやグレープフルーツの様な果実味でスッキリとしたワイン。

前菜までこちらのワインで…。

 

 

 

前菜はサーモンのマリネ。

緑のソースはほうれん草、手前はマスタードのソース。大根のサラダと一緒に。

 

サーモンをカットしようと動かしたところ、下からほうれん草のムースが!!

 

 

 

こういう隠れたところも手を抜かないと言うか、隠れたところにこそ手が込んでいるのがハプスブルク流?

 

マリーアントワネットが一見シンプルなのに細部が凝っているデザインが好きだった(こだわり屋さん)と言われていますが、ハプスブルク家の料理人達ってこう言う感じだったのでしょうか。

因みに、神田シェフもハプスブルク家お料理が作れますよ。

 

ほうれん草のムースはドーンと大きめのサイズが1つではなく、サーモンの下にまるで、タルトの生地になる様に丁度良い大きさのムースが1つ、1つ丁寧に配置されいました。


この細やかさも素敵です。

 

 

スープはカルトシャーレズッペ。

2年土の下で寝かしたメークインを使ったスープ。最初の一口はスープそのものを楽しんで、その後はクミンシードを混ぜながら頂いて下さいとの事。

 

じゃがいもの甘味だけなのですが、すごーく甘味があります。

まるで栗の様な甘さ。


そこで…ワイン遊び!

 

ワインは前菜・メインと2杯だけにする予定が「シュペートレーゼ、ありますか?」と私。

シュペートレーゼとは「遅摘みの果実から作られたデザートワインの事ですが、デザートワインの中でも酸味がしっかりとある方です。

 

残念ながら今あるのは、アイスヴァインとトレロッケンベーレンアウスレーゼのみとの事でアイスヴァインを少しだけ頂きました。

なんでも、デザートワインが入って来ないらしい。

 

 

 

 

 

さて、アイスヴァインとジャガイモのスープの相性はと言うと、最高だがね~!!


こう言う遊びが「お姫様なのよん」と自画自賛です。

 

 

 

私と言えばソルベ。と言う事でソルベが出てきました。


八丈島レモンのソルベとの事で、兎に角フレッシュ!後味にレモンの苦みがスーッと来て、暑かったこの日(28度)にはピッタリです。

 

 

 

ヨハネスホーフ ライニッシュのローターヴェルトリナーのワイン。

樽熟成をかけていて、ワインが少し冷えているので最初は樽の香りが前面に出てきます。

ローターヴェルトリナーはお花の香りが特徴的なワイン。そのほかリンゴの様な香りも。

 

それ程肉厚なワインではありませんが、メインのアサリの出汁を使った料理にはピッタリ。

 

 

 

 

 

 

メインは平目のソテー。春キャベツと新玉葱のラグーと一緒に。  


ほわっほわっの平目に貝の出汁の味が堪りません。

パンにソースを染み込ませて残さず最後まで頂きました。

 

 

 

お待ちかねデザートはパルフェをグラスではなくお皿で表現したデザート。

手前は小さなロールケーキ、これにバニラやベリーのパルフェと共に。


ここ数年でメキメキと腕を上げ注目のパティエさんです。


以前、定年後はおいそれと訪問出来なくなるのかなぁ?と思った時、こちらのデザートが食べられなくなると思うとヒジョーに残念でした。


デザートを食べる為だけに行ってもよいなぁ、と思う位です。

 

こんど宝石屋さんのセミナー前に寄って、ケーキを購入してから参加しよう!

 

 

 

写真奥はプティフールとアインシュペナー。

シトラスのスポンジケーキとショコラのクッキー。


シンプルですが、シトラスの爽やかな味わいが食後のカフェタイムに嬉しい。

お料理・デザート共にバター等のミルクの質が良いのでもたれず、体感的にも軽いのが嬉しい。

言うまでもありませんが、風味も良いです。


ショコラのクッキーは、ショコラ味のクッキーでチョコレートクリームがサンドされているチョコレートづくしのプティフール。


ここのチョコレートを使ったお菓子はチョコレートの香り高くて非常に美味。

チョコレートのデザートがある時は迷わず選ぶ程です。


写真撮影が遅く、クリームがへたってしまいましたが、ここのアインシュペナーは好きです。

 

 



   

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