豊かさの贈り物 | Salon.de.Yからの贈りもの〜大事な事は全てお姫様達が教えてくれた。毎日を豊かに生きるコツ

Salon.de.Yからの贈りもの〜大事な事は全てお姫様達が教えてくれた。毎日を豊かに生きるコツ

元ワイン講師であり歴史家。テーブルデコレーションを習いに行った筈が、フランス貴族に伝わる伝統の作法を習う事になったのを機に、お姫様目線で歴史を考察し、現代女性の生きるヒントを綴ったブログ。また宝石や精神性を高め人生の波に乗る生き方を提唱しています。

どんなに通い慣れたレストランでも、その日に供される料理との出会いは一期一会。

最初の一口は期待と若干の緊張感が交差してしまう。

 

さて、詳細は後で記載しますが、この日も最初の一口を味わった瞬間「むふんっ」と顔が緩んでしまう。

が、その後、ふとこんな事を思いました。

 

私は最近、ペンキ画家のショーゲンさんの動画を拝見させて頂きます。

ショーゲンさんはペンキアートに出会いアフリカのブンジュ村迄習いに行かれ、その後ブンジュ村の村長さんから聞いた古代の日本人の教えを広めている方ですが、こんな話を思い出しました。

 

ブンジュ村の人達は「上を見ろ」と言うそうです。上を見ろと言うのは「空を見なさい。空を見ると心にゆとりが生まれるでしょう。心にゆとりが生まれれば感謝の気持ちが自然に起きてくるよ」と言う事なのだそうです。


そして感謝の気持ちが湧き上がったら、有難うを伝えに行くのだそうですよ。

 

ブンジュ村は電気が通るのは1日3.4時間。水は川へ汲みに行きガスは通いない至ってシンプルな生活をしている村。

お店も屋台がポツン、ポツンとある程度でスイカが1個50円位だと言う。


ショーゲンさんが家から100m位離れた屋台迄歩いていると、村のお年寄り達から「ショーゲン、上を見ろ、上」と言われていたのだそうですよ。

 

そんな話をふと思い出しました。

すると、何故か自分がこの様な贅沢な料理を食べている事に少しばかりの罪悪感を感じてしまう。

 

ブンジュ村の人達がレストランの手の込んだ料理を食べたらどんな風に感じるのかな?

 

もしかしたら、食べ物は土とお日様からたっぷり栄養を貰って、ただあるだけで完璧なのに、なぜそれをぐちゃぐちゃに混ぜないといけないのか?

そのものの、あるがままの美味しさでは不十分なのかい?

そんな風に思うのかな?と思いました。

 

私はどうだろう。

 

人の手によってアートの様に作られた料理も美味しい。

でも、皮を剥いたままのみかんを食べても美味しいと思う。

にんじんやキュウリ、トマトをそのまま齧っても美味しいと感じる。

 

どっちが上で何が下というのではなく、何を食べてもそれぞれの美味しさがある。

 

それに…


料理人の皆さんの想い。

その国の文化を料理を通して伝えたいと言う熱い想いは心から感謝に値する。


想いを放つ人がいれば、受け取る人か必要だ。


それで良いんだ、と納得したのですが、深堀すると素材を作ってくれた人、運んでくれた人、料理を作ってくれた人、それぞれに感謝の気持ちが湧いてきます。

 

そして何より、食材そのものに溢れる様な感謝の気持ちが湧いてきたんです。

 

勿論、食材が商品としてお店に運ばれてくるには細かく言えば光熱費がかかり、種代や人件費、輸送費などがかかります。

でも、もーっとシンプルに考えると、大地と太陽と水さえあれば、植物は育ちやがて実をつけます。

 

私たちは所有しようとするからお金が必要になるんですよね。

 

足りない、足りないと不足の心からより多くを所有しようとするからより多くのお金が必要になる。結果、お金がないという社会を生み出しています。

 

安価な服を大量に消費させる為には貧しい国に工場を作り低賃金で働かせる。

労働者達は何十時間も働いても一向に豊かにはなれないのが現実です。

 

巨大パーラーパネルは環境破壊を助長し、より健康を求めても現時点での医療はさらなる病人を増やします。

 

何も自然が一番と言っているのではありませんが、シンプルに当たり前にある事に目を向ければ必要な事は必要な分だけちゃんと配分されるんですね。

 

まぁ、土地は所有に分類されますが、そもそも一番最初は誰のものでもなかった、土地は地球のものだったのですから。

土地、太陽、水、これらが循環していれば、本来食べるものは十分にあるんです。

 

完璧なバランスです。

 

そう思うと、いまあるすべてに感謝です。

そして、SNSがなければ出会う事がなかったであろう人達との出会い、これにも感謝です。

 

では、私に気づきと豊かさを与えてくれた料理たちを紹介しましょう。


まず最初の一皿、キッチンからのご挨拶は、蕪のポタージュと真ダイのフリット。

 




蕪のポタージュはグラスの下にスクランブルエッグが入っていて、かき混ぜながら頂きます。

 

衣の上にすりおろしたチーズがかかっているフリットは衣がサックリ。



サックリ感、伝わりますか。


アミューズなのでそれほど大きなフリットではありませんが、あまりのサクサク感にナイフは一度真ん中に入れ、衣をテーブルに飛ばさない様二度に分けてナイフを入れると綺麗に食べられます。

このサックリ感が最高‼

 

前菜は信濃雪鱒をロールしたパラチンケンと燻製にかけたアーティチョークと牛肉のゼリー寄せ。

 



パラチンケンはピリッとしたマスタードソースが絶品。これをサンドイッチのからしマヨネーズの代わりにしたら、どんなに美味しかろう…。

 

アーティチョークは…私なんぞ、そんもん茹でたのをボンと出してソースをつけながらガクを食べさせれば良かろう、と思うのですが流石にそんな手荒な事はしません。


丁寧に下ごしらえをしてもホント食べる部分は少しなのがアーティチョーク。こりゃ、シェフが嫌がるわ…でも、燻製香りが口の中に広がり、ホックリとしたアーティチョークが病みつきになりそうな一品。

 

パプリカのムースや手前にあるジャガイモとブラックオリーブのピュレと一緒に絡めて頂きます。

手前のピュレはパンと一緒に頂いても美味。

 

この日のスープはフェンネルのポタージュに浮身はポーチドエッグか押し麦の入ったコンソメスープのどちらかを選ぶスタイル。

 

フェンネルのスープはこれまでお目にかかった事はないのでひじょ~に悩ましいところ。

サーヴィスのS君が来月もいらっしゃれる様でしたら、多分来月までメニューに残ると思いますの一言に、「来ますとも!ええ、絶対に来ますとも!!」と言うことで、押し麦のスープに。

 



「リンドズッペ」と言う、いつも私が紹介させて頂いているコンソメスープをベースに押し麦、牛ほほ肉や野菜が入った食べるスープ。

 

いつものコンソメスープより若干濃厚な感じ。漉していないので旨味が濃いです。

そしてコリアンダーやフェンネルの様な爽やかなスパイスの香りが時折フワッと口中や鼻孔をかすめます。

後で問い合わせたところ、聖書に出てくる13種類のスパイスを使用しているとの事。

流石にオーストリアは熱心なカトリック教徒の国。ハプスブルク家がキリスト教の守護者だった文化が偲ばれます。

 

因みに、前々回、サーヴィスのS君と副料理長のHさんと3人で18年の歴史の中で印象に残ったスープの話をしたのですが、10数年以上前に食した押し麦のスープが滋味深く、派手ではないものの本当に美味しかったんです。

 

スープと言うよりリゾットの様な感じで、風邪で熱が出たとしてもこれを食べたらすぐに治りそうな、そんな元気が出そうなスープ。

 

その話をした後の登場だっただけに・・・・・来年の春以降は訪問回数がぐぐーっと減る事を宣言しているだけに送別の意味が込められているのかなぁ?とよからぬ考えが頭をよぎります。

 

前から実力のある方でしたが、また一段と腕を上げているHさん。

スープはいつもHさん担当で評判も良いので「Hさん作?」とイジったところ「これはシェフです。僕は隣にいただけ…」と。あっそ・・・。

 



ツヴァイゲルトとイチジクのソルベ。

熟したベリーを食べている様な甘酸っぱさとジェラートの様なねっとり感がいつまでも食べていたいアイスです。

 

メインに合わせて二グルさんのツヴァイゲルト2007年。マグナムボトルです。



↑マグナムの隣だと750㎖のブティーユサイズもハーフサイズに見えてしまいます。


レットさんの220種類の葡萄で作られているゲミッシュターサッツのどちらか好みの方を…と言うことで、これまた迷いに迷いました。

 

料理に使われている寒じめほうれん草のソースに合わせるなら野菜の甘味を引き立てるゲミッシュターサッツ。すっきりとしつつお花やフルーツのブーケの様な香りがするワイン。


行者ニンニクと鱈をピュレ状にしラビオリの様なパスタで包み、焦がしバターを使ったソースと言う料理本体に合わせるなら、少し樽香がかかった、どっしりとしつつも軽やかな二グルさんのグリューナーヴェルトリナーと言うことで、二グルさんのワインをチョイス。

 




実はこのワイン、シェフも美味しいと気に入って8本入ったところ6本確保出来たらしい。

 

グレープフルーツ、リンゴ等の果実味を邪魔しない程度の樽の香りについついワインが進んでしまいます。酸もしっかりとワインを支えていて文句なく美味しいワインでした。

 


↑今回のメイン



パスタをどかすどかすたっぷりの寒じめほうれん草。まだまだ、たっぷり隠れていました。



今回の赤ワインはブラウフレンキッシュとサンローランをブレンドしたワイン。





エスターハージーさんのブラウフレンキッシュとメルロも滑らかさの点では捨てがたいのですが、実は私、エスターハージーさんには惹かれない。綺麗すぎると言うかツルっとしていて引っ掛かりがないんです。

ワインに関してはイケメンはつまらないのよん。個性派俳優の方が面白い、と言うことでこちらに。

 

ブラウフレンキッシュは若い時はカリフォルニアのカベルネソーヴィニヨンの様に果実味が強く、暴れん坊将軍なんだけど熟成してきて良い落ち着きをみせると本当に良いワインになる。


思わず「これよ、これ、これ!」と言ってしまった程。

イタリアワインっちくな、ちょっと日向っぽい感じの香りが良い感じです。

 

今は差別用語に当たるとして別の言い方になってしまったらしいのですが、私がお菓子教室で習ったネーミングで紹介すると「ワイシャツをきたムーア人」と言うお菓子。

 




チョコレートを使った生地をカップに入れてスフレの様に焼いたコロンとした姿の可愛らしいケーキ。

これに生クリームをワイシャツに見たててかけるのですが、太っちょの身体からワイシャツがはみ出てしまったムーア人の使用人をイメージしたお菓子です。

 

これはフランスのお菓子にもありますが、昔、貴族のお屋敷ではムーア人を使用人として雇っていた時代があったので、それをお菓子にしたのですが、今はムーア人と言う言い方が差別用語にあたる様で伝統菓子でも名前を変えざるを得ない様です。

 

手前のチョコレートとバニラのソースはチョコレートアイスかと思い溶けない内にとパクついたところチョコレートクリームでした。

 

こちらのお店はチョコレート自体が香り高くて美味しいんです。

なので文句なく美味しい。

 






最後はアインシュペナーとプティフール。プティフールはクリスマスシーズンなのでシュトーレンです。

 

シュトーレンはキリストのお包みをかたどったドイツのお菓子ですが、個人的には昨今シュトーレンが注目を浴びているのが不思議。


まぁ、素朴で美味しいお菓子ではあるけれど。   


因みに我が家クリスマスの定番のお菓子はパネトーネ。


パネトーネはお菓子と言うよりブリオッシュ生地のパンですが、同じクリスマスのお菓子なのに、なぜ巷に広まらないのかしら?


ヴィンサントやパッシートなどデザートワインと一緒にパネトーネを食べるのもオツなものですよ。