秋のオーストリア料理 | Salon.de.Yからの贈りもの〜大事な事は全てお姫様達が教えてくれた。毎日を豊かに生きるコツ

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元ワイン講師であり歴史家。テーブルデコレーションを習いに行った筈が、フランス貴族に伝わる伝統の作法を習う事になったのを機に、お姫様目線で歴史を考察し、現代女性の生きるヒントを綴ったブログ。また宝石や精神性を高め人生の波に乗る生き方を提唱しています。

美味しい料理を前に色々と思い浮かぶ事は多く、それを書いていたら膨大なブログになってしまう為、今回は「秋のオーストリア」として単なる食レポブログに変えさせていただきます。

 

季節外れの暑さが続いていた11月初旬から一転して、この日(11月17日)は初冬の雨と言ったところ。

真冬程の寒さでもなく、それでも昼間に降った雨が物思いを連れてきそうな…11月ってクリスマスの様な賑やかさもなく、なんか中途半端と言うか寂しげと言うか…。

 

そんな夕方に出てきた先付の最初の一皿が、根セロリの小さなスープと煮込んだ牛肉の入った小さなパイ。

お財布の形をしたパイの下にも甘味が出るまでクタクタになるまで煮込んだ根セロリが敷いてあり、バターの香りの中に根セロリの爽やかな香りが感じられます。

 




アミューズに暖かいパイってなんだか贅沢な気分です。

気持ちもほっこり和み、おもてなしの気持ちに包まれます。

 

前菜が鱒と野菜のゼリー寄せ。

ゼリー寄せの周りには大根や蕪のサラダや、ほうれん草なのかしら?こちらはソテーしたもの、パプリカのファルシと目にも鮮やかな一皿。

 



野菜が主体の料理ですが、株や大根は微量な塩加減。

野菜によってパーツ、パーツ味わいが違い、引き算をするところは潔く引き算をする事でその野菜本来の味わいがグッと前面に出てくる感じ。

1つ、1つの個性を大事にしながら調和がとれてて、大地の恵みを頂いている事を実感するお料理です。

 

そして、

 

オーストリアと言えばスープ。そして、ここのコンソメスープは何度飲んでも…仮に毎回ずっと続いても飽きないであろう愛すべきスープです。

 




先月、「コンソメ、コンソメ」と煩く言っていたせいか、伝統的なスタイルでご登場。

 

この浮身になっている細切りにしたクレープですが、生地から出る脂が旨味となって、これがまたよく合うんです。

 

それを伝えたところ、通常は浮いた脂を取ってしまうのですが、敢えて残しているのだそう。

 

マイボトルを持ってスープを買いに来たい位だ!と言ったら、オンラインで販売してるそうです。

 

メインに合わせて、スープの人足前に出てきたのがブリュンデルマイヤーさんが作るシャルドネ2020。

これ、ダブルマグナムと言う非常に珍しいワイン。

 






先日、作り手さんをお迎えしてのワイン会で数本購入する事が出来たそうで、何本かは10年程熟成させる為にストックし、私がお店に来るので最後の1本を残して下さったとの事。

 

シャンパーニュもマチュザレムやソロモンと言う呼び方で大きなボトルがありますが、瓶代はダブルまでは通常のボトルの2倍の価格。このダブル・マグナムになるとマグナム2本分+アルファと単純に倍になる訳ではなく、作り手さんにとって経費がかさむんです。

 

とは言え、瓶の中での熟成もその分ゆっくり進みますので、ポテンシャルの高いワインなら奥行きのある美味しいワインに…。

 

良いワインを含むと、頭の中で謎解きが始まってしまう。

 

このワイン、バリックタイプなのですが、1erクラスのシャサーニュモンラッシェ風の香りがあります。

オーストリアのシャルドネはMLFをかけていないので酸がしっかり残り、しかも巨大瓶ですから非常に還元的な状態にあるだけに、焼けた火打石の様な香りも…。

 

また、オーストリアのバリックタイプの白ワインは下手をすると香りは良いのに味わいに酸が欠けてのっぺりした印象になりやすいんです。

 

オーストリアの固有品種であるグリューナーヴェルトリナーですら、やはりアカシアの大樽で熟成させる位にとどめておいて欲しいと感じてしまう中、シャルドネと言う事もありますが酸がしっかりとボディを支えていて文句なく美味しい。

 

上質のシャサーニュ・モンラッシェを飲んでいると言っても過言じゃない位。

※あぁ、また熱く語ってしもた。

 

それも「ラム」と言うフラッグシップの畑じゃないのに…流石、ブリュンデルマイヤーさんだ。

 

しげしげとラベルの絵を見ると、取り立てて斜面と言うわけでもなさそうですが、畑の仕立て方もハイカルチャーの様です。

 

さて、この優れたワインに合わせるのが、寒鰆のソテー。

これにキノコとネギに鶏の出汁を少し使ったソース。秋トリュフを添えたメイン。

 




実は、私はトリュフってそれほど好きじゃないんです。

 

こう言うと賛否両論ありますが、なんだか「アナタどんだけ昨日ニンニクを食べたの?」と言いたくなる様な息の人が隣に来たような香りに似ていません?

しかも触感は紙食べているみたいで…。

 

今回「秋トリュフ」ですが、一般的に「トリュフ」と皆が言うトリュフの旬は冬。2月を過ぎた当たりがピークです。

このトリュフとは別にサマートリュフなど種類があるようですよ。

 

さて、世の中「この料理にトリュフは必要?」と言いたくなるトリュフ使いをする店が多い中、ここのお店は、ホント要所要所にトリュフを使う。

 

トリュフの魔術師と言いたくなる位、使い方が上手なんですよ。

 

トリュフ嫌いな私も、これは美味しいよね、と言いたくなってしまう。身贔屓じゃなくて…。

 

今回、「おっ!」と思ったのが、ナント、ブラックペッパーが時折良い感じにピリッと効いているんです。もちろん香りも。

それがトリュフと良いアクセントになっていて驚きました。

 

秋トリュフは、旬を迎えた一般的なトリュフに比べると香りは優しめ。

 

食べ勧めていくうちに「あっ、そうだ、ネギは何処よ」と思っていたところ、ネギはピュレで鰆の下に敷かれていました。

 

最後はちぎったパンをフォークにさして…はい、犬が舐めた様にお皿は返って行きましたとさ。

 

スープとメインの間にはザクロのソルベ。

 




食後、デザートの前にお決まりの赤ワイン。

 

今回はツァーヘルさんのザンクトラウレントを主体に、ツヴァイゲルト、カベルネのブレンドで2016年。

 




グラスからはバラの香りと共に、凝縮したイチゴや、ややカシスっぽさも少なからず。

香りの構成要素は比較的シンプルですが、ビロードの様なタンニンで美味しいワインでした。

 

ツァーヘルさんはオーストリアのボジョレーヌーボーにあたるホイリゲの名手。

特にゲミッシュター・サッツと言われる様々なワインを混醸してつくる白のホイリゲは絶品の作り手さん。

 

あっ、私がボジョレーヌーボーを不味い!!と一刀両断する私が美味しいと言うのですから、飲んだ事がない方は一度オーストリアのホイリゲを飲んでみるべし‼です。

 

デザートはやはり秋の定番、アップフェル・シュトゥデューデル。

暖かいバニラのソースかバニラアイクスリームが選べて、これまたどちらも悩ましいのですが、今回はアイスクリームに。

 




暖かいシュトゥデューデルに冷たいアイスを乗せて食べるのは最高だがね!!

 

…と、どこぞのテーブルで「マローネ・パラチンケンとケーキのどちらにししますか?」とマローネ・パラチンケンと言う言葉が聞こえてくる。

 

「なんだって!!」 

 

マローネ・パラチンケンは…いや~、これも何度食べても良いのよぉ。

でも、前回、散々、栗にするかリンゴにするか迷って「次回はリンゴね」と言った手前仕方がない…ちっ、覚えていたか…と臍を噛む私でした。

 

食後の飲み物はアインシュペナー。朝から絶対に「コレ」と決めてたヤツ!

 



そう、やはりオーストリアがご本家のアインシュペナー(ウィンナーコーヒーの事ね)なので、ここのは美味しい。

 

何故って、地コーヒーが美味しいから。

 

次月はクリスマスの月なのでちゃっかり予約をして来ましたが、「アインシュペナーでよろしく」と一緒に伝えておけば良かった…次月もアインシュペナーにしよう。

マジ美味しい‼

 

と帰りに雑談をしていたところ、ジビエの話になりました。

 

私は食べる側と食べられる側…それは良いのですが、同じ哺乳類と言う同種で、食べられる為に生を受けるってどうなのよ?と最近思い始めこの1~2年は自分から牛肉は所望しません。勿論、出されれば感謝をして食べますけど。

 

とは言え、今年の夏の様な厳しい環境下に豚肉を少し頂くだけでも元気が出る位、お肉自体はやはり人間の身体には有益です。
 

まぁ、ジビエはそれも寿命。天寿を全うしたよね、と意地の悪い人から見れば「都合の良い理屈」と言われそうですが、少し位なら頂くのも良いなぁと思い、「今日あたりお肉は鹿かな?、って思っていたんだよねぇ」と話したところ、「あ~、来月、鹿も良いですねぇ。」と。

どうやらまだ来月のメニューは決まっていないようでしたが、オーストリアのクリスマスと言えばガチョウの煮込み。

 

銀座ハプスブルクの12月のメニューと言えば、レープクーヘンと甘く煮た鬼ぐるみを添えた鴨のソテーとガチョウの煮込みが定番。

 

そうだ、そうだ、ガチョウもいたねぇ、と言った瞬間、「ツキノワグマも良いですよ。植物しか食べていない熊の肉が来るので臭みが全然ないんですよ」と熊さんの方向へ。

 

今、熊の駆除には「可哀そう」と言う抗議があると聞きます。

そんな中、大きな声では言いづらいですが…熊、食べてみたいっス!! 

 

 熊プリーズ‼︎