歴史の裏話・一触即発?!女同士の争いが国際問題に③ | Salon.de.Yからの贈りもの〜大事な事は全てお姫様達が教えてくれた。毎日を豊かに生きるコツ

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元ワイン講師であり歴史家。テーブルデコレーションを習いに行った筈が、フランス貴族に伝わる伝統の作法を習う事になったのを機に、お姫様目線で歴史を考察し、現代女性の生きるヒントを綴ったブログ。また宝石や精神性を高め人生の波に乗る生き方を提唱しています。

マリア・テレジアの統治時代統治、最大の汚点と言われたポーランド割譲。


テレーゼは皇帝ヨーゼフに締結書類を突き付けられ、目の前の戦争を避ける為には、息子の署名に泣く泣く同意せざるを得なかっただけなのに…。


それでもポーランドの人々の心情と今後予想される惨めな生活を慮ると、甘んじて非難を受け様と言う思いだった事でしょう。

 

フランスの出方1つで、再びヨーロッパ中を戦争の渦に巻き込むのではないかと女帝と側近達が案じる中、その戦争回避の切り札となれるのが、マリー・アントワネット。

 

それなのに・・・・

 

オーストリアとフランスの仲を取り持たなくてはならない時に、暢気に、ルイ15世の3人の娘達の言いなりになって、国王の寵姫と喧嘩をしている場合ではありません。

 

そりゃ、「デュバリーvsアントワネットwith姥桜3人」での範囲なら良いけれど、今や問題は、アントワネットとフランス国王との意地比べになっている。

 

しかも、その背後では、戦争勃発の気配が燻っているとすれば、オーストリア大使達は、アントワネットが折れてくれる事を固唾を飲んで見守るしかない。

 

そこで、オーストリアの女帝宛に急使が飛ぶ。


「どうか女王陛下から王太子妃様に一筆申し入れて下さいませ」と。

 

あの子が、一言声をかけてさえくれれば……。

 

女帝自身も夫の浮気に苦しめられ、その反動で風紀の取締りを厳しくした女帝は、娘達には、デュバリー夫人の様な女性がいかに好ましくないか諭して来ました。

 

その女帝が、今更娘に義祖父の愛人と仲良くしろとは流石に言い難く、ずっと、メルシーを通してあの子に上手く言い含めてやって欲しいと、逃げていたのです。

 

しかし、もしも戦争にでもなったら…

 

きっと、女帝の筆は重かった事でしょう。

 

あの子は言い出したら聞かないし、寵姫の存在をふしだらと言い聞かせていたのは、他でもない自分ではなかったか?

 

「お祖父様のお友達は大切にしなさい。心根の優しい貴女は一体何処に行ってしまったのですか?

たった一言挨拶をすれば済む事です」


流石に、度重なる母親からの命令には逆らえず、怒りで蒼白になりながら母からの手紙を読んだアントワネットは、とうとうお正月の挨拶をする為に集まった貴族達の前で、デュバリー夫人に声をかけたのです。


王太子妃が娼婦に屈服した!


それにしても、まだ15歳の少女を心を弄んで、自分達の暇つぶしの道具にしては楽しむなんて、底意地の悪いですね、3人の叔母様達って。

 

「何を大袈裟な!」と思うかも知れませんが、現代とは違い、国民が政治どころか、ろくに読み書きも出来ず、君主の風向き次第で国の行く末が委ねられていた時代です。

 

教科書では取上げられない世界史の裏話として、王侯達が勢力争いをした裏には、自分のプライドや恋心をはねつけられた腹いせに相手を窮地に追い込んだが為に、その相手から仕返しをされて戦いに負けると言う様な、漫画やコメディの様な事が普通に起こっていた程、君主制とは、ある種の野蛮さがあり、人の業が国を巻き込む様な時代だったのです。

 

天真爛漫なアントワネットは、マナー尽くめのフランス宮廷では、現代で言えば、インフルエンサーでもありお騒がせ女子と言ったところ。

 

現代人の多くが、デュバリー夫人との対決を単なる女の意地の張合いとして面白可笑しく取り上げますが、実は、一寸した他愛もない事が何を引き起こすか分からない、デリケートな世界でもあったのです。

 

そんな世界の中で国家を代表して周辺諸国の仲を上手く執り持つのがお姫様達の役割でした。


だからこそ、忠臣だったメルシーは、あちこちにスパイを放ってアントワネットの行動を監視させていたんですね。


流石に現代では私的な感情がこじれて戦争に発展する事はありませんけど。


でも…


自分達の正義を振りかざし、「うちの神様が絶対だ」とか、「この土地はうちのものだ」「そのやり方は通用しないぞ」など根底にある理由は余り程度としては変わらないような気がします。


戦争は儲かる…と言ったのはナポレオンでした。


確かに、ある一部の人には戦争は儲かります。

だから無くならないんです。


分かり合えない、分かろうとしないエゴ


今も昔も究極のエゴの果てが戦争なのですね。