久し振りに宝石ネタです。
ダイヤモンドが大好きだったと言われるマリー・アントワネットですが、実は、彼女が愛したと言われている宝石が「アクアマリン」。
少し意外な感じがしますね。
でも、アントワネットは派手で豪奢なモノより、本当は花でも矢車菊が好きだったり、お菓子もクグロフ等、可憐で可愛らしいモノや素朴なモノが好みでした。
きっと、透明感のある可愛らしいブルーの宝石をダイヤと組み合せて身に着けたのでしょう。
マリー・アントワネットと言うと、多くの方は、スイートなピンクをイメージしますが、実は落ち着いたブルーを好みました。
「アントワネット・ブルー」と呼ばれる、ややグレーがかった淡い水色が有名で、王妃のセンスの良さが伺われます。
現代の様に技術が発達していなかった時代、ブルーは人工では作れない色だったのだそう。
海や空など自然しか作れなかった色だったので、神様を象徴する色でした。
また、マリア様のベールの色でもある事でとても大事にされたんです。
その為、教会のステンドグラスのブルーを作る事に成功したガラス職人は、外部に技術を漏らさない様、幽閉されたんですよ。
アクアマリンはストレスを緩和すると言われています。
宮廷のしきたりに馴染めなかったアントワネットは、自然が作り出した神秘的なマリンブルーに心を惹かれた事でしょう。
さて、アントワネットの他にもアクアマリンを愛した高貴な女性がいました。
それが、ロシアの女帝エカテリーナです。
ドイツの片田舎で生まれた少女は、いつか自分は王子様と結婚する事を夢見ていました。
そして希望通り、従兄でロシアの皇太子となったピョートルの花嫁候補となったのですが、ピョートルはエカテリーナが夢見た様な王子ではなかったんです。
18歳になっても、玩具の兵隊で戦争ごっこをするのが何より好きと言う、かなり残念な王子様。
しかも、姑にあたるエリザベータの気に沿わない花嫁候補達は、続々と帰されると言うロシアは、西洋からは得体の知れない極東の国と思われていたんです。
普通、そこで怖気づいてしまう女性が多い中、エカテリーナは「自分はロシアの皇妃となる!」とピョートルではなく、国家と結婚する事を決意したんです。
エカテリーナの決意は固く、宗教や言葉、身に着ける物も全てに亘りロシアの習慣を取り入れ、姑である女帝エリザベータの模倣に徹底しました。
寒さと疲労や緊張で体調を崩し起き上がられない時は、ベッドにロシア語の本を持って行きエリザベータが見舞いに来る際は、勉強が出来る位自分は元気だと言う素振りを見せたり、気分が優れない時も勉強を怠らない嫁を演じてみせた程。
この様な血の滲む様な努力が実って、エリザベータに気に入られたエカテリーナは晴れて皇太子妃となるのですが、兵隊ごっこしか頭に無い為夫のピョートルから愛される事はなく、女帝が崩御した後は、帝位についた夫とその側近達から命を狙われたエカテリーナ。
ついに恋人であり側近の力を借りて、クーデターを起こし、夫を倒して実権を握ったエカテリーナは、エルミタージュ美術館に代表される様に、繁栄を極め、数百人とも言われる恋人を持ち、贅を凝らした生涯を送ったと言われています。
しかし
彼女は自分の生涯を振り返って果たして幸せだったのでしょうか?
彼女の恋人は、所詮、地位や財産で買われた様なモノ。
側近の中には、ビジネスパートナーとして長い年月を添い遂げる様な人も僅かにいましたが、結局は女性として寂しさを埋めてくれる男性を求め、その代り、年若い恋人からは地位や金品をねだられる。
エカテリーナを愛したわけではなく、彼女の持つ権力に魅力を感じていたのですから、恋心を抱いた人とは心を通わせる事の殆どない生涯だった様に感じます。
「自分はロシアと言う大国と結婚したのだ」と言う割り切りが、彼女を支えたのでしょう。
そんな彼女の愛したアクアマリンと言う宝石は、判断力を研ぎ澄ませると言う効果がある石。
女帝として、そして、自分がかつて夫を殺した様に、いつ自分が暗殺されるか分からない立場で、常に的確で素早い判断力を得られる様、身に着けていたのでしょう。
そして、これは私の想像ですが、豪奢で権力のままに振舞う生活を手に入れても、少女時代の純真な気持ちが、この可憐なブルーの輝きを放つ宝石を愛したのかも知れません。
もしかしたら、この石を見る時だけは夢見る少女の頃に戻れたのではないでしょうか。
アントワネットも天真爛漫な王太子妃から、いつ殺されるか分からない暗澹たる生活を余儀なくさせられましたね。
生きるか死ぬか分からない中、判断力をサポートするアクアマリンの力を必要としたのかも知れません。
可愛らしい見た目からは想像もつかない、とても力強いパワーを秘めた宝石アクアマリン。
ビジネスの場では、女性らしさを封印しがちな現代女性ですが、ペンダントやリング等でさり気なく身に付けられたら、きっと雰囲気が柔らかくなる事でしょう。
ビジネススーツでも、オフィスカジュアルにも合うアクアマリンは、常に、正しい判断力を求められるキャリア女性の強い味方かも知れません。
ベルエトワールさんのセミナーで拝見したアクアマン。
こちらは私のサンタマリア・アクアマン。写真は暗めに写っていますが、アントワネットブルーに近い落ち着いた色合いです。