歴史から学ぼう・無関心と言う罪④ | Salon.de.Yからの贈りもの〜大事な事は全てお姫様達が教えてくれた。毎日を豊かに生きるコツ

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元ワイン講師であり歴史家。テーブルデコレーションを習いに行った筈が、フランス貴族に伝わる伝統の作法を習う事になったのを機に、お姫様目線で歴史を考察し、現代女性の生きるヒントを綴ったブログ。また宝石や精神性を高め人生の波に乗る生き方を提唱しています。

歴史から学ぼう・無関心と言う罪④

 

 第4話は、マイヤーリンクで何が起こったのか、ルドルフとマリーヴェッツェラの死の旅路を辿ってみましょう。


1月28日。ルドルフは友人コーブルク大公とホヨス伯爵と共にマイヤーリンクにある狩猟館に出かけました。


代々の君主同様ルドルフも狩猟好きだった為、ルドルフの外出に、誰もが不審に思ってはいませんでした。
ただ、ホールブルク宮にあるルドルフの部屋からマリー・ヴェッツェラが忽然と消えた事を知る、ヴェッツェラ男爵家の者を除いては。

1月29日。ホーフブルク宮では、ルドルフの妹マリー・ヴァレリーの婚約披露晩餐会が予定されていました。

本来ならルドルフは友人のコーブルク大公と共に晩餐会に出席する為ウィーンに戻る予定だったのですが、風邪の具合が思わしくないとの理由でコーブルク大公だけがウィーンに戻る事になったのです。

マイヤーリンクにはルドルフと執事のロシェック、ホヨス伯そして秘密裏にマイヤーリンク入りをしていたマリー・ヴェッツェラの3人だけ。

夜7時、ルドルフがホヨスとダイニングルームで夕食を摂っている間、マリーはロシェックがはこんで来た夕食を1人小部屋で摂っていました。

そして9時頃、ホヨス伯が別棟にある部屋に引き上げると、ルドルフはマリー・ヴェッツェラを呼び寄せ恋人と最期の一時を楽しんだのでした。


マリー・ヴェッツェラと共に、親しい友人や家族宛に遺書を残すルドルフ。

死を前にして、ルドルフに暗さはなかった様です。


マリーもまた、死によって永遠に二人が結ばれると言う少女らしい夢の方が、恐怖よりも勝ったかの様でした。

 

マリーの肩越しに覗き込んだ遺書の中に、共通の友人の名前を見つけると、余白に「元気でな」と走り書きをするルドルフ。


…こういう茶目っ気のあるところが民衆に好かれた由縁でもあり、お坊ちゃんの気まぐれとでも言うか、物事を真剣に考えない我が儘っ子なのでしょう。

 

翌朝、遺体で発見されたルドルフと男爵令嬢のこめかみにはピストルの穴の後がありました。

 

ルドルフによって先に死を迎えたマリー・ヴェッツェラの組まれた手の上には1輪のバラが添えられていました。

 

訃報は直ちに宮殿に伝えられます。


意外にも、最初に訃報を聞かされたのはシシィでした。

そして最大のショックを受けるであろう皇帝には、シシィから伝えられたのです。

 

息子の自殺を受入れられない皇帝夫妻。

 

受け入れない事は誰かのせいにするのが一番。


シシィは、マリーによってルドルフは毒殺でもされたのだと思い込もうとしたのです。

 

しかし、皇帝夫妻の儚い望みは打ち砕かれます。


検死によってマリーはルドルフによって殺された事が判明しました。


その後ルドルフは直ぐにマリーの後を追ったのかと言うと、そうではなかった様です。


この時、幾度か銃口を自分のこめかみにあてるも、ルドルフは死ぬ事に躊躇したのです。


明け方、もう、自分は後戻りが出来ないと悟ったルドルフは、執事が部屋にやって来るであろう時間との板挟みになりながら、自らこめかみに銃弾を込め自殺を図った事が判明されたのです。

 

皇室のスキャンダルを隠す為に、精神錯乱状態による発作的な衝動とされたルドルフ。

 

日頃、シシィから「うすのろ」扱いをされ嫌われていたシュテファニーは、直ちに皇帝夫妻に呼ばれ、質問攻めにあった挙句、ルドルフの自殺の原因は妻であるシュテファニーにもあると、シシィから酷く責められたのでした。

 

あまりのショックに葬儀には参列しなかったシシィ。


その夜、蝋燭の灯りを頼りに、暗いカプツィーナ霊廟に眠るルドルフの棺の前で、崩れ落ちる様に何度もルドルフの名前を呼びながらシシィは泣き続けたと言われています。

 

もっと、ルドルフの心に寄り添っていたら、この悲劇は避けられたかもしれないのに・・・。

 

 

・・・・to be continued