第一次世界大戦へ② -メキシコ皇帝処刑- | Salon.de.Yからの贈りもの〜大事な事は全てお姫様達が教えてくれた。毎日を豊かに生きるコツ

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元ワイン講師であり歴史家。テーブルデコレーションを習いに行った筈が、フランス貴族に伝わる伝統の作法を習う事になったのを機に、お姫様目線で歴史を考察し、現代女性の生きるヒントを綴ったブログ。また宝石や精神性を高め人生の波に乗る生き方を提唱しています。

ラノベ「双頭の鷲―ハプスブルク家物語―」

第一次世界大戦へ② -メキシコ皇帝処刑-

 

 

「ねぇ、ねぇ、マクシミリアンはYesって言ってくれた?」

 

ナポレオン3世妃ウジェニー皇后もマクシミリアンの皇帝就任を熱望する。

マクシミリアンをメキシコ皇帝にする話を持ってきたのは、他でもないウジェニー皇后だった。

 

カトリック国スペイン出身の皇妃は、南米にカトリック君主の国家を再建したくて、ナポレオン3世にマクシミリアンを推していたのだ。

 

「ここに居ても意味ないか…兄貴からは嫌わてるしなぁ。ねぇ、シャルロッテ、君、皇妃になりたい?」と何気に、オランダから輿入れした大公妃シャルロッテにも聞いてみる。

 

皇妃になれると聞いて「なりたくない」と答える大公妃はいないだろう。

 

「貴方皇帝になるの? 勿論よ。私、皇妃になれるのね、最高だわ」

 

かくして、良く調べもせずマクシミリアンとシャルロッテはメキシコに渡り、メキシコ皇帝として即位した。

 

しかし、メキシコ軍は手ごわく、折しも南北戦争が終結した為アメリカ軍の目はメキシコに向かう。

その為アメリカ軍から反発にあったフランス軍はやむなく撤退をせざるを得なかった。


メキシコ皇帝となったマクシミリアンは自由主義で理想的な国家を作ろうと新天地で奮闘したが、メキシコ軍に捕らえられてしまった。

 

シャルロッテは夫の危機を何とか回避しようと単身ヨーロッパに渡った。

 

「陛下、夫の命が危ないんです。どうか助けて!!

ナポレオン3世への謁見を懇願するシャルロッテ。

 

だが…

 

(煩いな…今、フランスだって大変ないんだよね。自分の火事は自分で消して!)


フランス財政逼迫の為、ナポレオン3世はあっけなく直訴しに来たシャルロッテをスルー。

態の良い言い訳を付けられ、シャルロッテは追い返されてしまう。

 

フランスの援助を得られなったシャルロッテは、余りにもメキシコは危険な状態となり帰るに帰れなくなってしまった。


悲劇は起きた。


皇妃がヨーロッパで足止めとくっている間に、マクシリミリアンはたった1人、かの地で銃殺刑に処されてしまったのだ。

 

ウエストの細さを競って互いに計り合うほど仲が良かったシシィとウジェニー皇妃の仲も、マクシミリアンの殉死を機に気まずい雰囲気となる。


あと少しだけマクシミリアンが長く生きていたら、彼は皇太子の座を手に入れた筈だったのに…。



マクシミリアン、皇太子ルドルフと後継者をなくしたハプスブルク家に残った駒は、甥のフランツ・フェルディナントしかいなかった。

 

「うーん、後継者はフェルディナントしかあるまい。ヤダけどな」


渋々、フランツ・ヨーゼフは次期皇帝をフェルディナントに指名した。

 

 

つづく