ラノベ「双頭の鷲―ハプスブルク家物語―」
ヨーゼフ帝とレオポルト帝②〜アントワネットを救え!〜
妹のアントーニアのいるフランスで王制が崩れ去ろうとしている。
アントーニアもルソーの哲学に影響を受けている。
加えて国王ルイ16世もこれまでの因習を変えたいと思っていた。
しかし事は複雑だ…何しろ、ルイを玉座から引きずり降ろそうと言う謀反と、謀反者に煽動された国民の長年にわたるブルボン家への怨念…ヨーゼフの時代は、まだこれらの多角的な問題がまだまだ源流で湧水が湧いている程度の状態だったが、これらが合流して濁流となりオーストリアに襲い掛かってくるのは時間の問題だった。
アントーニアからも不安の声が届く。
手遅れになる前に何とか妹夫妻を助け出さねばと、ヴェルサイユに駐留している大使メルシー伯やアントーニアを保護しようとする貴族達と情報を交わし合う。
黒幕は宮廷内にいる。
今後の王家の繋がりの為にもデリケートに動かなくてはならない。
何しろ、ヨーロッパのパワーバランスがかかっているのだから。
多民族の寄せ集めである神聖ローマ帝国の舵取りと、妹の救出はヨーゼフの体力を蝕んでいった。
ヨーゼフはテレーゼ亡き後、僅か在位10年で帰らぬ人となってしまった。
ヨーゼフの後を登板するのが、弟のトスカーナ大公レオポルトだ。
つづく