ラノベ「双頭の鷲―ハプスブルク家物語―」
カール6世の悩み②
スペインの親戚がフランスに領土を譲り渡そうとしている…
「ちょーっと待ったぁーーーーー!」と待ったをかけたのはヨーゼフである。
幾らハプスブルク家がスペインとオーストリアに分かれて統治をして来たとは言え、スペインはフランスからも妃を迎えている訳だから、何も親戚筋はオーストリアだけではない。
しかし、ヨーゼフにしてみれば「血脈をたどれば、正式な継承者はうちだろう。それを何故フランスにやらればならん」と思っても無理のない事でもある。
そこで弟のカールにスペインの統治を任せようと考えた。
「おい、カール。お前、スペインの王冠に興味あるか?」
「えっ?でも兄さん、スペインはフランスに継承させるんじゃ?」
「でも、それっておかしくね?元を辿ればスペインは我がハプスブルク家の家領じゃね?」
「あぁ、まぁ・・・・」
「それなら、カール、自分の手で王冠をつかみ取って来い。そうしたらスペインはお前にやるよ。カルロス3世として戴冠するのも悪くないだろ?」
(カルロス3世かぁ・・・・いいかも!!)
「よっしゃぁぁーーーっ‼︎」
カールは俄然やる気になった。
バルセロナに拠点を置き、ハプスブルクの為、王冠の為に戦った。
対するフランスはルイ14世の長きに亙る治世で膿み、倦怠モードが蔓延していた事も手伝って戦況はカールに有利に進んでいった。
そして、スペインの王冠は99%カールの手に入ったも同然となった、その時・・・・。
何たる運命の仕業か、兄ヨーゼフ1世が天然痘に罹病し帰らぬ人となったのだった!!
つづく