毎月お届けさせて頂いてるオーストリアの食卓。
今回はオーストリアの食文化から離れて、お料理とは関係ない、ちょっと面白い話をシェアさせて下さい。
ここ暫く面白い事が起こっています。
「(過去に食べた)あのお料理美味しかったなぁ」とか「このお料理食べたいなぁ」「あのお料理こんな味だったよね」と頭の中で思うと、そのお料理が出るんです。
お席に関しても、フッと頭に浮かんだお席に通されたり・・・・最近、そんな偶然をゲーム感覚で楽しんでいます。
そして今回も・・・・
まず1つめ。お席の話。
窓側の隅の席が実は私のお気に入り。1人訪問者には目のやり何処が良いので。
今回も、もう2年以上、そのお席に着いていないなぁ、とその席からの眺めを思い出しながら向かったところ、案内して頂いて席はドンピシャでした。
そして…いや~、これは凄かった!!
ここ2,3週間、無性に気分はチョコレート。
家でもコーヒーを飲む時に、一緒にリンツの板チョコをポリポリ食べていたのですが、先週か今週の頭の事、「あぁ~、チョコレートのデザートが食べたい」と思い、冗談で心の中で「デザートはショコラを使ったデザートね。宜しく~」とキッチンをイメージして向けて伝えてみたんです。
当然、その時の心境は「ははは…これで出て来たら笑っちゃうよねぇ」ってな感じ。
その日から数日経っても、ショコラ熱は冷めず、季節的にショコラ系は望めないだろうし「もし可能ならザッハ(ザッハトルテ)か何か他にイメージに近いケーキがあったら変えて貰おうかなぁ」位に思っていたんです。
アミューズが運ばれてくる頃、サーヴィスのSちゃんに「因みにデザートなんだけど、ショコラ系のデザートなんて無いよねぇ?」と聞いたところ、一瞬「えっ」と固まり、大きな目を更に大きくさせてSちゃんは「ありますよぉ。今日、まさにyumikoさんにチョコレートのデザートをおススメしようかと思ったんですぅ」と。
えっ、うっそ~!!と実はチョコレートが食べたかった事や、最近、頭に浮かんだ料理が出る事を話したところ「じゃあ、今日は私とyumikoさんの連係プレーでしたね」とSちゃん。
それだけでも「最近、凄い!!」と驚いているのですが、翌朝「あっ、そう言えばイメージの中でオーダーしたっけ」と、すっかり忘れていた事を思い出し、二度ビックリです。
↑これが、この日一番私を幸せにしてくれたデザート。
ドイツ語では何て言うのか覚えられませんが、私がお菓子教室で習った名前は「ワイシャツを来たムーア人」
オーストリアでも「白い服を着た黒人」と呼ばれていた様ですが、差別用語と言う事で、違う名前になった様ですよ。
この日もお料理ワイン共に好きなものオンパレード・・・・うーん、無意識に念を送っているのかしらん?
…と言うより「当然そうなるもの」と自然に思うと、その通りになっている感じかな?
それなら、もっと別の夢を叶えてくれ〜、私の潜在意識
アミューズは海老芋のスープと小鴨のロースト。
海老芋はごぼうに似た香りで、玉ねぎ等香味野菜を使ったフォンとの相性も良く、なんか懐かしい香りがするポタージュ。これも私の好きなヤツ。
メニューに変化がなければ、メインは絶対にまた小鴨のローストを食べるぞ!!と鼻息も荒く入店したのですが、小鴨のメインは終り。
その代わり、アミューズで登場です。
小鴨のローストの下にはモチ麦のグーラッシュ。
この鴨の塩加減がまた良いのよぉ~。
メインに至るまで最高の塩加減でして・・・・この日のお料理の感想は「塩加減がねぇ…」と塩加減の女になってしまいました。
オーストリア料理は香ばしい香りがする南瓜の種のオイルが良く使われます。が、今回に限っては南瓜の種のオイルとバルサミコ酢を使ったソースは無い方が好き。
前菜は、馬面ハギをそぼろ大にしてフレッシュチーズとディルでムース状したモノをプレープで包んだ一品。付け合わせはカリフラワーのフライ。
お魚ってクネルやミンチにすると食べた感があまり感じられないのですが、このお料理は美味しかったです。チーズの酸味とコクの中にディルの爽やかな香り。馬面ハギはミンチになっていますが、ちゃんと食感があって癖になりそうな美味しさ。
アンディーヴやセロリ、林檎をサラダ仕立てにして。
カリフラワーのフライですが、これも私、ハマったんだなぁ。以前食べた時、とても気に入ってしまって家でも作った位。
カリフラワーがホクホクして、この食感も美味しいですよ。
粒マスタードとケイパーを使ったタルタルと一緒に頂くと、粒マスタードの香りとフライの衣が合わさって、ソースを使っていないのに、ほんの一瞬だけ鼻孔にウスターソースに似た香りが通るのがまたイイっ!
こう言う気取らないのがオーストリアらしさ。
和牛を煮込んだグーラッッシュ。
旨味が凝縮して・・・パプリカで煮込むせいか身体の芯から温まるのがグーラッシュ。
まぁ、生憎(?)この日は季節外れの暖かさだったけどね(笑)
ワインはアラフォンの弟分アキラ。
熟したプルーンの特に皮の部分を思わせる凝縮した黒系果実の香りに、甘草や少し乾燥させた樹の内側を思わせるバルサミックの香り。
何となくイタリアワインに似た印象のワイン。
前衛のK.U.K時代にアキラはハウスワインとして使われており、私もボトルで何本か購入した事があるお馴染みのワイン。
協同組合のワインですが、オーストリアの協同組合モノは美味しく、コストパフォーマンスが良い事を教えてくれたワイン。
ブラッドオレンジのソルベ。
オレンジの皮の苦味も感じられて、フレッシュなママレードを頂いている様な味です。
メインのお魚は鰆のソテー。アサリのフォンと少量のバターを使ったソースで。
付け合わせの縮ホウレン草もサッとバターソテーされて、懐かしい印象。
他に蕪と千住葱がガルニチュールとして添えられていますが、アサリのソースに僅かに葱の香りが移って深みのある味わいでした。
これも塩加減がねぇ…本当に絶妙な塩加減って大事なんですね。
ホワッと柔らかくて…身も厚みで。
本当はアマダイなのですが、今日は鰆も入ったとの事。
脂のノリ具合もホント良くて鰆好きには堪らんわい!
ワインはピヒラーさんのグリューナーヴェルトリナー。スマラクトの2016年。
骨格の強さを残しながら、酸も角が取れてまろやかさが出てきました。
K.U.K時代は本当によくピヒラーさんを飲み「ピヒラーよりクノルやプラガーの方が好きだなぁ」と大きな口を叩いていたのですが、最近はピヒラーさんの値上がりが激しい上に、市場に無い為、プライベートでもすっかりご無沙汰。
インポーターAWAさんの社長テッシュさんでさえ、最後の1本を持っていただけなのだそうですが、その最後の1本がコレ。Lucky!!
さて、最後にお知らせです。
これまでオーストリアの食文化を伝えて参りましたが、食文化とはその国の歴史と共に培われてきたモノです。
私はお姫様や王侯貴族の話もブログで綴っていますが、オーストリアの食文化を伝える上で、やはり外せないのがハプスブルク家の事。
しかも、ハプスブルク家ってホント知られていないのよねぇ。
と言う事で、来月か年明けか…その辺りからライトノベルとして、「ラノベ双頭の鷹-ハプスブルク家物語-」を投稿していきます。
私のブログに来て下さる方の中には「歴史なんて興味ないよ」とつまらないと思う方もいらっしゃるかも知れませんが、私のライフワークの1つとして簡単稚拙ではありますが、1つ形にしたいと思い掲載したいと思います。
勿論、これまで通り色々なお話を挟みながら・・・。
と言う事で、これからも宜しくお願い致します。