前回のお話で、ヤロゲー家との結婚が決まった瞬間、「チッ、何だ弟の方かよっ」とアンナパパだけでなく、花嫁となるアンナに迄ガッカリされちゃったフェルディナント君。
まぁ、兄カールは何と言っても、次期神聖ローマ帝国の皇帝…つまり、ヨーロッパの覇者ですからねぇ…。
因みに、神聖ローマ帝国「皇帝」の地位になんで皆が喰いつくのか?
その前に「…って言うか、神聖ローマ帝国って何?」と思う方もいらっしゃるかも知れませね。
この神聖ローマ帝国って言うのは、昔、昔、ローマ軍がこれら現在のドイツ語圏を中心とするヨーロッパの地を治めていた事に由来するんです。
平たく言えば名前だけ残っちゃったのね。
なので、キリスト教を信仰するドイツ圏の帝国、位に考えていればOK。
で、皇帝とはどんな立場なのかと言うと、カトリックの総本山ローマ教皇が神様のいる天国を守護するのに対して、皇帝は現世を守護する立場にあるの。
いわゆる名誉職っやつなので、当然、皇帝職だからと言って、特別手当ナシ。
それでも、この「王の中の王=皇帝」と言う甘〜い響きに皆が憧れたって訳なのよ〜。
「皇帝」チョーかっこいい〜…こんな感じ。
では、
兄カールが有名過ぎて、余り知られていないフェルディナントですが、ここで少しフェルディナントの人柄について触れておきましょう。
晩年のフェルディナント。写真はお借りしました
兄弟とはいえ、兄はフランドル、弟はスペインと夫々違う場所で生まれ育った事もあり、この兄弟は全ての面で対照的だったんです。
余談ですが、何故、兄弟違う場所で産まれ育ったかと言うと、カールとフェルディナントのお母さんが、あの有名な狂女ファナなの。
やおらイケメンの旦那さんと結婚したばかりに、夫の浮気癖と実家からの要請に精神を病んでしまって発狂しちゃったのよ
それで夫フリィップとスペインに里帰りした時、「こんな女とは暮らせない〜」と、偶々ファナが懐妊していた事を良い事に、フリィップはファナを置いてフランドルに帰っちゃったからなの。
自分にも責任の一端はあるのにね
で、話しを戻して、この兄弟、どんな風に対照的だったかと言うと…
華やかなフランドルの宮廷で生まれ育った兄カールは、内向的でやや陰気な印象があったのですが、母方の祖国の陽光眩しいスペインで生まれ育ったフェルディナントは、陽気で社交家。
物事にくよくよと捕らわれる事の無い性格でした。
が、厳格なスペイン流の教育を受けて育った為、生活は質素で、食事も1日1食お昼御飯を食べるだけだったそうですよ。
でも、
だからと言って、自分の生活スタイルを家族や他人に押し付ける様な事は全くなかったんですって。
文学や芸術を愛し、歴史や考古学にも造詣が深く、スペイン語の他にラテン語、フラマン語、フランス語等を話すフェルディナント。
そんな彼は、将来を嘱望されていて、祖父のフェルナンド(名前が同じで、ややこしいけど付いてきてね〜)はこの孫が大のお気に入りだったんですって。
スペイン国内での人気も高く、祖父だけでなく国民も誰もが、カールではなくフェルディナントをスペインの王様にしたかったそうですよ。
そりゃそうよね。
今迄、見た事もない余所者が突然来て王様面されるより、おらが村(?)の坊ちゃんに王様になって欲しいっ言うのが国民の心理ってもんです。
それにしても、フェルディナントって、中々の優良物件じゃない?
やがて…
結婚の為、オーストリアにやって来たフェルディナント。
初めて顔を合わせた新郎新婦の2人は、案ずるが易しで、一目見てお互いに気に入った様ですよ。
ちょっ、ちょっと待ってよ!顔合わせで気に入るなんて話しが出来過ぎじゃない?と思う方も多いでしょう。
しかし、お姫様は 深窓の令嬢として育てられる時代ですから、男性に対する免疫がなく、意外と、一目惚れする事も王女達は多かったんじゃないですかね?
因みに姫ブログでシモのハナシをするのも何ですが…
フェルディナントも王子としては珍しく、結婚するまで女性経験はナシ。
勿論、「素敵な人だなぁ」とか「こんな人と恋をしたらどうなんだろう」なんて、人並みにトキメク事はあった様ですが、側近達に「結婚前に、あのぉ…そのぉ…アチラの方をご経験遊ばされた方が…」と余計な忠告をされても、断固として拒否していたんですって。
誠実〜。
そして、結婚後は、ハプスブルク家の多くの君主達が愛妾や寵姫を持たず、生涯皇妃だけと仲睦まじく暮した様に、フェルディナントも生涯アンナだけを深く愛したそうですよ
女性側からみれば、1人の女性としてもアンナさんは素敵な旦那様を引き当てたんですね。
・・・・・to be continued