オーストリアの食卓①-牡蠣と言えばこの二人。運命で結ばれたグルメなカップルー | Salon.de.Yからの贈りもの〜大事な事は全てお姫様達が教えてくれた。毎日を豊かに生きるコツ

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元ワイン講師であり歴史家。テーブルデコレーションを習いに行った筈が、フランス貴族に伝わる伝統の作法を習う事になったのを機に、お姫様目線で歴史を考察し、現代女性の生きるヒントを綴ったブログ。また宝石や精神性を高め人生の波に乗る生き方を提唱しています。

ジビエには少し早い9月。

 

少しずつ秋めいては来たけれど、多少暑さも残るこの季節。

今回は、食材と言うより、オーストリアらしさと、素敵なカップルのエピソードを思い出させる素敵なお料理を楽しんで参りました。

 

オーストリアと言えばチロルの山々に抱かれた内陸の地。

でも1500年代と言う、今の様に空輸や冷蔵技術もない時代に、オーストリアでも牡蠣が食べられていたんです。

 

アウグスブルクにある世界に名を知られた豪商がフッガー家とヴェルザー家

 

神聖ローマ帝国の皇帝選挙が行われた際、カール5世を皇帝に就任させる為に融資をしたのもこの両家でした。

 

この様な皇帝一家と繋がりのあるアウグスブルクには、皇帝家は時々保養の目的で訪れていたんです。

 

ある時、雅やかに着飾った皇帝一家の行列をヴェルザー商会の窓から眺めていたのがフィリッピーネさん。

このフィリッピーネさんを熱い眼差しで見つめていたのが、皇帝家の次男のフェルディナント大公だったんです。

 

大公の視線を感じて「えっ?もしかして大公は私を見てる?」ときっとフィリッピーネさんはドキっとしたでしょうね。

 

普通なら、ここで終わってしまうのですが、フェルディナント大公はフィリッピーネさんの叔母さんの社交仲間の1人だったんです。

 

そして、フィリッピーネさんが叔母さんの居住するボヘミアのプレズニク城に滞在していた時に、フェルディナント大公と再会して二人はお付き合いを深めていったの。

 

フェルディナント大公は誰にも縛られず自由でいたかった為に独身生活を楽しんでいたのですが、フィリッピーネさんに出会ってから、自分の結婚相手は彼女以外には考えられないと長い時間を掛けて父である皇帝を説得して、フィリッピーネさんと結婚したんですよ。

 

ヴェルザー家は皇帝家を凌ぐ豪商とは言え一般市民です。

当時は、王族と一般人との貴賤結婚はヘタをすると一族共々八つ裂きにされかねなかった時代。

 

フィリピーネさんも家族や一族に降りかかるであろう困難を思うと、慎重に考えたのですが、それでも大公以外の人との将来は描けなかったんですって。

 

そんな大公と大公妃だから、生涯とてもアツアツだったとか。

 

フィリッピーネさんはとても頭の良い人だったから、ハーブを調合して病気や怪我の手当てをしたり、貧しい人には幾ばくかのお金を用立ててあげたり、大公のパートナーとしてチロルの人達の手助けをしていたんです。

 

それだけに、フェルディナント大公はフィリッピーネさんとの離婚を条件に王座を譲ると言われても、決して奥さんを手放す事はしなかったんです。

 

さて、そんな話をすると、フィリッピーネさんって、何か完璧過ぎる雲の上の人の様に感じるかも知れませんが、実は、料理上手でもてなし好き。

 

大公が元気で仕事が出来る様に、健康に配慮した料理を思いついてはレシピを書いていたんですって。

 

そして、お酒好きな大公は、男女、夫々、ある大きさの器に入ったお酒を全部飲めた人だけがメンバーになれるサークルを作ったのですが、フィリッピーネさんも見事合格する程、中々お酒も強かったそうです。

 

メンバー帖には「恥ずかしながら、私も」と署名の側に走り書きをした、と言う茶目っ気たっぷりなエピソードも残っています。

 

そんなお2人が大好きだったのが、牡蠣。

 

でも、二人は牡蠣を食べるといつも胃腸の具合を悪くしていたんです。

 

と言うのも、1500年代の事ですから、チロル地方まで牡蠣が届く頃には傷んでしまって、食当たりを起こしていたのだとか。

しかも、生牡蠣がお好きだったと言うのですから、無謀ですね。

 

さて、エピソードが長くなりましたが、実は、今回もお任せでお料理をお願いしたのですが、前菜で出して頂いたのが牡蠣のお料理です。


私が子供の頃は、牡蠣というと「R」の付く季節しか食べちゃいけないと言われていて、店頭に並ぶ事もありませんでしたが、最近は、夏は岩牡蠣が出回る為、1年を通して美味しい牡蠣が食べられる様になりました。

 

こちらのレストランは吟味して吟味して、選び抜かれた素材が集まるお店ですので、健全で美味しい素材を頂けるのが嬉しいところ。

 

今回頂いたのは、北海道は昆布森産の牡蠣と渡り蟹をクレームエペスと貝の出汁を使ってマリネしたお料理です。

 

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クレームエペスは、生クリームに乳酸菌を使って発酵させたサワークリームの事。

 

クリームですがコクがありながら重くなく、何より、口に入れた瞬間、牡蠣の香りが口いっぱいに広がるお料理。

それだけでも、充分美味しいのですが、牡蠣の下に敷いてあるのが渡り蟹のタルタルの様なお料理。

 

牡蠣とはまた違った、蟹の濃い風味も味わえるのですから、とても贅沢なお料理です。

 

思わず、黒いパンに渡り蟹と牡蠣を載せて、カナッペ風にして一口でパクリっ。

 

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↑パンと一緒に食べるものまた格別です



牡蠣の上に沿えてある有機野菜のサラダも、ホワイトバルサミコのほんのり甘い味わいでアクセントになっています。

 

このお料理に合わせたのが、チャルモネックと言う作り手さんのワイン。

 

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↑ピノ君(彼の名前。ハーフなんです)手先だけの登場。写真を撮り易い様に傾けてくれました。気が利くなぁ照れ


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3種類のトラミナーを使ったワインとの事。

香りは、バラやライチ、マスカット、スパイス、ハーブ、ミネラル香そして若干、シベットを思わせる様な麝香の香り。

 

トラミナー系は、酸がしっかりあるのですが、酸が決して鋭角的ではありません。

ですから、クリーム系のお料理にも違和感なく、美味しく頂けました。

 

マスカットの香りはテルペン香と言われるのですが、兎に角、華やかな香りがいい。

そして、ゲヴェルツトラミネール1本の様に、酸味が穏やかで苦味が勝負と言うワインと違って、丸みを帯びながらも生き生きとした酸があるので、とても美味しいワインです。

 

シュタイヤーマルク州の作り手さんですが、チャルモネックは要チェックです。

 

おっと、フェルディナント大公とフィリッピーネさんが暮らした場所もシュタイヤーマルクの近くですね。

 

さて、次もオーストリアらしいお料理をご紹介します。

 

・・・・・to be continued

 

 

 

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