ハプスブルグ家を偲ばせるバロックやゴシックの優雅な佇まいがあるかと思えば、クリムトやユーゲントシュティル(19世紀の世紀末様式)の影響を受けた斬新な建築物が突如現れたりもする。
それらが混然一体となったラビリンスの様な側面を見せるから、ウィーンは面白いと思う。
さて、かれこれ10年のお付き合いを経ても、なお、まだこんな顔があったのか!!と今も新鮮な驚きをさせて頂いたのが、今回のディーターシェフおまかせのお料理です。
実は、来週からメニューが変わるらしく、ディーターさん「あれも食べたよね、これも食べたよね」と悩んで下さったらしい。
今夜ご用意出来るのは、こんな感じですが・・・とご提案頂いたのが、これからご紹介させて頂くお料理の数々です。
私的には、素晴しいコンサートは2回、3回を足を運びたくなる様に、メニューから適当に組み合わせてもOKなんですけど・・・・細々とご配慮をして頂いて、とっても嬉しいです
だからこそ、なんですね。
うっ、こんな顔もあったのか、と思わず唸ってしまう。
何年通っても、オーストリアの新しい側面を発見するレストランですが、特に昨年の春にディーターシェフがいらして、オーストリアの伝統を忠実に伝えたいと言う神田シェフと、祖国の味が血肉に染み込んでいるからこそ、伝統をベースにより現代的に洗練した表現をされるディーターシェフ・・・まぁ、個人的解釈だけど・・・このお二人の熱い想いがお互いを研磨させている様子が伝わって、益々目が離せません。
ディーターシェフの表現するオーストリアもまた素敵な世界です。
さて、最初のワインはシュタインガーさんのスパークリングワイン、リースリング。
こちらはお任せですが、フレッシュなリンゴの香りと優しいミネラル感のバランスが取れたワイン。
ブリュンデルマイヤーさんのブリュットは、味わい的にはゴッセや上質なフランチャコルタの様な感じですが、それよりも軽く爽やかな感じのワイン。
ワインでは面白くないけれど、かと言って泡の様な重さは要らないかな?と言う時にピッタリです。
通常のスティルワインの延長で・・・と言うのも、このワイン前菜迄、良い仕事をしてくれます。
アミューズは、左が炙ったカンパチのマリネとパプリカのレッチェ。右側が菜彩鶏のゼリー寄せと平茸ですが、平茸の香りとハーブの香りが良い感じにアクセントとなっています。
お魚の間から少しだけ顔を覗かせている赤いのが、パプリカのレッチェ。レッチェとはクタクタになるまで煮込んだ野菜の事です。
ハムにもリースリングのスパークリングワインは邪魔しません。
そして、
今回、最初の「おぉ、こんな前菜もあったのね」と、テンションが上がったのが、花ズッキーニとフレッシュな生ポルチーニのフリット。
チーズを詰めた花ズッキーニをシンプルに素揚げした料理は良くTVでも見かけますが、こちらのフリットはフィリングは生のホタテを小さく角切りにしたもの。
ゼンメルのパン粉は衣が微粒なので、香ばしさだけをかんじさせて、アッサリとしているのが特徴です。
フィリングがホタテというのも、これがまた贅沢。ホタテの香りがふわっと口中に広がります
ズッキーニも花びらのすぐ下は味も香りも凝集しています。
生のポルチーニの瑞々しさと食感が溜まりません。
やはりポルチーニ茸は美味しい。
フリットにタルタルと言う定番組合せも溜まりません。
ちょっと素朴でワイルドな前菜。
苺の様な甘さまで熟したフルーツトマトが…お料理の脇役まで手を抜きません
シンプルな味わいのスパークリングワインは料理の邪魔をせず、それでいてサッパリとして中々の組合せです。
・・・・to be continued