ベルンハルト・フーバー
ゼクト・ロゼ ナトゥーア2007
桜も今週末が最後の見頃
結構、散り始めてきましたね。
と言う事で、リーゼロッテの最終話をお休みして、お花見にピッタリな泡モノをご紹介します。
今回ご紹介するのは、ドイツのバーデンに位置するベルンハルト・フーバーさんのワイナリー。
バーデンは温泉で有名ですが、ドイツでも最も南にあるワイン産地。
シュペートブルグンダー100%のロゼのゼクトです。
因みに、シュペートブルグンダーはピノ・ノワールの事。
20年位前はドイツのピノ・ノワールと言うと、ドイツは寒冷地の為、少々軽めのタイプが多かったのですが、最近は温暖化の影響も受けて、中々しっかりとしたワインを産出するまでになりました。
そこにきて、バーデンのピノですから、期待がかかります。
「極限まで理想を実現させたワインを造り出す天才」と言われ、「世界最高峰の醸造所の1つ」と言われる、フーバーさんのワインは、バーデンのマルターディンゲン村にあります。
このマルターディンゲン村というのが、土壌は貝殻石灰岩の風化土壌で、太古の昔海であったこの地は、貝殻石灰岩の地層の隆起が激しい為、ミネラル豊富で赤ワインに欠かせない複雑味を多く備えていると言われています。
なんでも700年前にシャンボールミュジニと地層が似ているとして、シトー派の僧侶がピノ・ノワールを植えたのだとか。
ブルゴーニュに負けないバリックタイプの美味しいピノノワールを作りたいと、ワイン作りに情熱を注ぎ、超一流のワイナリーに育てたフーバーさんは、惜しくも2014年、55歳の若さで帰らぬ人となったとの事。
さてこちらのゼクトですが、ドイツでは珍しい瓶内二次醗酵のブリュット。
しかも、ドザージュはゼロです。
あまりデーターがない作り手さんですが、データをみるとルミアージュ(瓶を少しずつ回転させて澱を瓶口に集める作業)は手作業、3年の熟成を経てリリースされるとの事です。
さて、そろそろ桜も名残の美しさ。
今年は余りにも多忙な為、桜を堪能出来なかった口惜しさをワインで穴埋めと言ったところです。
やはり、桜の時期はロゼが似合う。
オレンジ色がかったサーモンピンクで、見た目には熟成感が感じられます。
香りは、リンゴ、いちご、パンの白い部分等。
外観の割に、まだまだフレッシュ感が残る香りのトーンですが、全体に綺麗に纏まっています。
僅かながら、アップルティーの様な紅茶っぽい香りも感じられます。
味わいは、ドライですが全体的に綺麗に纏まっています。
アタックはスマートな印象ですが、心地よいエレガントな酸がスーッと口中に広がり、優しく心地よい苦味が中盤からアフターにかけて広がりコクに繋がる印象。
シャンパーニュのロゼ程苦味は強くなく、あくまでも優しい。
チャーミングでありながら上品なロゼ。
とは言え、シャンパーニュのロゼとは一線を画します。
単なる泡モノと言うより、軽めのロゼワインを飲んでいる様な印象を持ちながらも、泡モノの良さを兼ねそろえたワイン。
幾ら良質なピノが出来る様になったとは言っても「ブルゴーニュワイン」と言えば、上物ピノの風格を思い起こせば、ドイツのピノにとってはフェアではありません。
その分のハンディはありながらも、素直に美味しいゼクトです。
特に、ゼクトで良いモノは少ないので、その中でもロゼで美味しいとなると、やはり作りが上手いんだなぁと感じます。
家で楽しむなら、白ワインのカテゴリーで合わせて行くと良いと思います。
鳥やボンゴレ等。ライ麦パンにバターを塗った様なシンプルでありながらコクのあるものと合わせたい感じ。
お店で飲むなら、食前としてアミューズから前菜位まで。
昼間、お花見をしなが飲むのもワインの色に合って良さそうです。
が、個人的には、ライトアップされた桜が見えるレストランで、夜桜を楽しみながら飲みたいかな。
ピンチョスなどカジュアルな前菜を楽しみながら・・・・でも、ちょっと気取った雰囲気で。
お花見って地べたに座って飲食をするでしょう?
意外と冷えるんですよね。
それより、室内で適度な温かさを保ちながら、ゆっくり桜を堪能したい。
そのお供として、綺麗な泡モノを飲みたいって感じかなぁ。
シャンパーニュの持つエスプリとはまた違うのですが、ちょっとドレスアップして、大切な人と桜の季節ならでは1シーンを楽しみたい、そんなゼクトです。
やや淡めのサーモンピンク。この色合いは熟成から来る色ですが、ドイツのピノらしい優しい色合いです。