ティント・ペスケラ レゼルバ2011
アレハンドロ・フェルナンデス
スペインの内陸部リベラ・デル・ドゥエロのワイン。
リベラ・デル・ドゥエロでは国際品質のワインが作られているところです。
アレハンドロ・フェルナンデスは、ティント・ペスケラで「スペインのペトリュス」と称される高品質なワインを生産している造り手。
テンプラリーニョを100%使用し、アメリカンオークで24カ月熟成させた後、瓶詰後12カ月の熟成を経てリリースしています。
さて、総評ですが・・・買いです。美味しいです(笑)。
先ず、スペインのワインについてザックリ言わせて頂くと、白ワインより赤ワインの方が、満足のいくワインは見つけやすい。
そして、その赤ワインも伝統的な作り(多分大樽で発酵しているのよ)にベクトルを合わせるか、国際品質(小樽を使ったワイン)を選ぶかで、赤ワインでも好みが分かれます。
個人的には、例えて言うならブルゴーニュ的かボルドー的かと言うところなのですが、ブルゴーニュ的な印象の大樽で熟成した、エレガントな作りの偉大なるテンプラリーニョに出会ってみたい・・・・それが夢です。
さて、今回のワインは例えて言うならボルドー的。ですが、アグレッシブなボルドーではなく、果実味豊かな国際品質に値するワインです。
香りは、ブラックチェリーのコンフィ、イチジク、プラム等黒系の果実。
チョコレート、バニラ・・・・これはアメリカンオークの影響です。
他には、ハーブキャンディの様な、オリエンタルスパイスの香り。樹脂。
味わいは、アタックに豊かな果実味。この果実味は最後までしっかりと持続します。
ティスティングに慣れていない方は、一気にゴクっと飲んでしまうと思いますが、その様に普通に飲んでしまうと、タンニンと果実味、酸味が全体的に綺麗に纏まって、こ慣れた印象になると思います。
但し、ワインスクールに通ったり、ワインに従事している方が、きちんとテイスティングすると、アタックに豊かな果実味を感じますが、直ぐにこ慣れてはいますが、しっかりした酸が全体を支え、アフターまで果実味と程良いバランスを携えながら、引っ張る感じ。
その為、余韻が長いワインとなります。
そして、タンニンがまだ若干アグレッシブなのが印象的。
口に含んでいると、段階的にグッ、グッとタンニンが出てくる・・・・これはアメリカンオークの影響かも知れませんが、樽のロースト具合はどの位なんだろう?と違う意味で興味がわいてきます。
こう言うワインを飲んでいると、美味しいワインってビオとかオーガニックとか関係ないんだなぁと痛感します。
確かに、ビオやオーガニックは身体にスルスル入ります。二日酔いで重い胃を抱えていても飲めてしまいます。
でも、本当に美味しいワインは、アルコールが高かろうが、敢えてビオを謳っていなくても、ゴクゴク飲めてしまうんです。
このワインが、まさにそのタイプ。
こう言うワインこそ、本当に美味しいワインであって、本物なんですよ。
その好例が、ワインは苦手で何も分からないと言う方が、試飲会でロマネ・コンティを飲んで、ゴクゴク飲んで「美味しい」と言う事例が何件もあるのが、それなんです。
さて、このワイン、どんな料理を食べる為に開けたと思いますか?
答えは鰻です。
このワイン評を公開するのは、大分後になると思いますが、このワインを開けたのは土用の丑の日。
川魚専門店から鰻の蒲焼と白焼きをお願いし、それに合わせて開けました。
このブログを読んでいる方で、「えっ、鰻にワイン?」と思う方もいらっしゃると思いますが、鰻でワインは飲めます。
鰻と言うと、メルロ。ピノ・ノワールも悪くない。
しかし、個人的にスペインワインも絶対にいける思っていたんです。
スペインも鰻を食する文化がありますから、絶対に外す事はないんです。
ただ、カベルネソーヴィニヨンが多いのは避けたいかなぁ・・・・。
個人的な好みでは、鰻は白焼きが好きですが、ワインと食材の出会いも一期一会。
鰻も蒲焼と白焼きをハーフ&ハーフでお願いしています。
鰻に合わせるワイン・・・・基本は赤ワインの方が良いかも知れません。
鰻は若干土っぽい香りがあるので、白焼きにわさびでサラッと頂くにしても、軽めのピノ等。
今回は、白焼きもわさびではなく、添付の山椒だったので、ワインのオリエンタルスパイス的な香りはベストマッチです。
また、蒲焼はタレの味が鰻に染みている為、しっかりした赤ワインに合わせるなら蒲焼です。
白焼きでも、今回のワインは合います。但し、白焼きならピノ・ノワールでも良いかもしれませんし、もしかしたら白ワインで面白しろい合わせ方もあるかも知れないと探求心がうずくのです。
スペインの赤ワインは、2、3千円でも十分面白いワインを探せます。
が、今回のワインは私が購入した時はフェアで5千円チョット、現在6千円チョットで売られていますが、この位の価格で、結構良い作り手に会えるところがスペインの良い所です。
スペインワインの良い所はコストパフォーマンスの良さ。
このワインのヴィンテージは2011年ですが、まだまだ熟成に耐えられるワインです。
スペインワインは、日本では未だ未だメジャーではないだけに、ポテンシャルの高い面白いワインに出会う可能性を秘めています。
コストパフォーマンスの良い高品質のワインを買うなら、ねらい目のワイン。
ここからは、ワインの知識がある方向けの内容となりますが、このワイン、作り手さんが相当努力している事を伺え知れます。
老婆心ながら思うのですが、作り手さんの心情としては、アメリカンオークよりフレンチオークを使いたいとい言うのが本音だと思うんです。
が、価格的にフレンチオークは高い。かと言って、古い樽より新樽を使いたいところ・・・そのあたりの兼ね合いを考えて、作り手さんは樽選びをされているかと思いますが、この作り手さん、アメリカンオーク特有のバニリンの香りに負けていません。
逆に上手く利用している。
スペインで国際市場で食い込むのはまだまだ難しい地域かと思います。
その中で、採算を考えながら国際市場に売って行くには、作り手さんの頭の痛いところ・・・・ではないかと思うんです。
だって、そうでしょう?
ワインを勉強してきた人・・・そりゃ、醸造とソムリエは違うけれど・・・・が、「こう言うワインが良いよね」と言って作り手さんと完全無欠のワインを作れるとしたら、お金に糸目をつけないで作りたくないですか?
そうしたら、葡萄作りから樽のロースト具合、どこの産地の樽を使うか、最高級の物を取り揃えたくなるのが本音ですよ。
でも、ワイン醸造者は、先祖代々伝わる畑のポテンシャルから、資本力、そして、売買した時にどのくらい儲けが出るか、それらをトータルしなくては商売にならないのですから、その選択の中で、スペインの作り手さんはアメリカンオークを選択する作り手さんが多い。
もしかしたらテンプラリーニョ自体がアメリカンオークに合っているのかも知れませんが、バニリンの多いアメリカンオークにも負けない果実味を保持すると言う点でも、評価したい作り手。