シシィとゾフィーのお話しも、残すところあと2回です。皆さん、長い事、有難うございます。
16歳で結婚をして、間隔も置かず、たて続けに3人の子供を出産したシシィは、3度目の出産後、中々、体力が回復しませんでした。
加えて、妻と母の綱引きに疲れた夫が、別の女性に慰めを求めた事を知り、フランツ・ヨーゼフを寝室から締めだしたのです。
体力の消耗と過度のストレス。
これでは誰でも精神のバランスを崩しても可笑しくありません。
元々、シシィは咳き込みやすい性質だった様ですが、咳が止まらず、死の病だった肺病を疑われたのです。
「シシィが死んでしまうのでは?」と心配したゾフィーがつけた宮廷付の医師では、一向に良くならず、遂に、ミュンヘンから、シシィのかかり付けの医師が呼び寄せられ、転地療養をする事が決定されました。
療養地はイベリア半島沖に浮かぶ、マデイラ島。
尤も、療養地をマディラに決まったのは、シシィも一枚絡んでいたそう。
シシィはフランツ・ヨーゼフの弟マクシミリアン大公から、マデイラの話を聞いて、自分も行って見たくなり渡りに船だった様です。
なんだか、ちゃっかりしたお嬢さんって感じもしませんか?
療養に旅立つ時、「哀れなシシィの事を思うと悲しくなります。これで二度とあの子の姿を見る事がないのかと思うと、胸が張り裂けそうです」とまでゾフィーは日記に書いているのに。
最初の転地療養では、シシィは自分はもう長くは無く、死に向かって弱って行く姿を夫や義母に見せて苦しませたくないと言う思いがあった様で、ゾフィーもシシィの気遣いに涙を詰まらせ、シシィの身を思いやる優しさがまだ残っていたんです。
帝都を離れると健康を回復するシシィ。
すると、紺碧の海と空だけで、あとは何~んにもないマディラ島は、退屈で仕方がなかった様子。
頃合いをみてウィーンに戻ってくるものの、宮廷とフランツ・ヨーゼフを見ると具合が悪くなる。
最初は本当に療養目的だった旅が、徐々に、口実を設けては旅に出る様になり、ウィーンにいる時でさえ、些細な口実を付けては公務を避ける様になってしまったのです。
そして、旅を重ねる度、シシィはフランツ・ヨーゼフの扱い方を完全に掌握。
皇妃の義務を果たさず、自分の事だけを考えて生活をする様になればなる程、宮廷貴族達は皇帝と子供達、そしてゾフィーに同情が集まって行くのです。
・・・・・to be continued