シシィが準備に準備を重ねた晩餐会をドタキャンした数日後、突然、女王に会いに来たと言うのが前回のお話。
この非常識な謁見の後、ヴィクトリア女王はシシィについて、こんな辛辣な手紙をのこしています。
「どうしても今日オーストリア皇后が私に会いと言うから会いました。しかし、私周りが言う程、飛び抜けた美人だとは思えませんでした。」
そして、その後はこのように綴っています。
「確かにスタイルは良いし、小さな目は可愛らしかったけれど、鼻の恰好は余り良くありませんでした。
一番素敵だったのは彼女の髪で、あれだけ美しい髪をしているのだか ら、きちんと正装すればもっと美しく見えると思います。それでも、私は、私達の皇太子妃の方が可愛いと思います。」
シシィに対する怒りと共に、晩年はすっかり肥満体になってしまった女王は、細身のシシィに対する嫉妬も加わったのではないか、と諸説は色々ありますが、私は、
「うちのお嫁さんの方が可愛いわよ!」
この一言に思わず笑ってしまいました。
何故って、一番人間性が出ていると思いませんか?
大人であれば、個人の感情を抑えて付き合わなくてはならない事は沢山あります。
ましてや公人となれば、私情は禁物。例え敵国同士でも、最高の敬意を示す事は必至です。仮にお互いの手の内を探り合っていてもね。
でも、そこは人間ですから、お腹の底では色々と思う所はあって当然ですよね。
シシィの非常識さが、余程面白くなかったのでしょう。
「美人だ、美人だと言うけど、そんなでもないじゃない!うちのお嫁さんの方がよっぽど可愛いわよ!」と私的な感情を洩らしてしまう女王に
人間味を感じます。
しかも、「普通は○○じゃない?」と言う様に、考え方や行動を問うのではなく、容姿をチクリと言うのですから、女王も人の子、やはり女です。
でも、「ここは素敵よね」と相手も良いところも、ちゃんと認めてあげる大らかさは、素直だと思いませんか?
女王に限らず、人はチョットした心の行き違いや苦手意識から、あれこれ嫌な部分ばかり目についてしまう事があります。
自分の価値観を人に当てはめたり、自分と同じ様に出来ないからと言って腹を立てるのは筋違いだとは分かっていても、一度「嫌だなぁ」と言う事をされると人の記憶に残るものなのです。
当事者が思っている以上に、相手に嫌な印象を与えてしまう事もあります。
「坊主憎けりゃ、袈裟まで憎い」
「嫌だな」と感じた事は些細な事なのに、「何故あの人はこうなんだろう」とか「きっと、こうに違いない」「あの人に比べて私はこうだし・・・」等と思い始めたら最後、次々と嫌な所に目がいってしまう・・・・女王ならずとも、女の本音かもしれません。
二念を持つべからず。
怒りは我慢しないで、きちんと認めてあげる。
でも、そのわだかまりを手紙に書いて手放した女王は、正解です。
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