若い時は仲良し親子だったのに、娘さんが30代の半ばを迎える頃から、辛く当たる様になった。
新聞等でこの様な話を目にすると、お嬢さんの巣立ちの時期なのだなぁ、と思います。
何故って、恥ずかしながら、私も内心、親に対して苛々していましたから。
私も20代の頃は、一緒に買い物や食事、時には映画を見に行く等、仲は良かったです。
しかし、30代を迎えて、仕事も恋も思う様に行かなくて、毎日が苦しいと「何故、自分はダメなんだろう」と思ってしまう。
自分の思い癖を探る内に、子供の頃の事まで、色々と思い出してしまうんです。
あれが出来なかったなとか、これもダメだったなとか、こうされて傷付いたとか。
その中で、親との関わりが浮上してきます。
例えば、姉だからと言う理由で我慢ばかりして来た→甘え下手→恋愛が下手と言う様に。
特に母と娘は近い関係にありますから、成長過程で、母の価値観・社会基準が刷り込まれて行くのでしょう。
子供にとって親は絶対的な存在なので、親の感情で叱られると、萎縮したり、どうせ分かってくれないと開き直ったり、我慢して、その場をやり過す内に、上手く感情表現が出来ないまま、大人になって行く様な気がします。
甘えと言えば甘えです。
娘に良かれと思って、一生懸命育てて来たのに、子供の頃の事をほじくり出して親を責めているのですから、親御さんは辛いですよね。
しかし、子供目線で弁解させて頂くと、子供は親の期待に応えたいんです。
大人になっても、親は親。親御さんから愛されたいと思っています。
そして、無意識レベルで、期待に沿えない自分が情けなく思う。
その結果、私がこんなに辛いのはアナタのせいだ、となってしまうんです。
勿論、親御さんは必要以上に期待をかけたりしなかったし、ひたすらお子さんを大事に思っていた事でしょう。
でも、子供って、親御さんが思う以上に「こうすれば、お母さんが喜んでくれるから」と言う事を敏感に察知して、行動しているんです。
それに子供だって、親に対して見栄を張りたいんですよ。
苛められている子が、親に心配をかけたくなかったから、と言って黙っている事がありますよね。
心配をかけたくない気持ちもあるし、親御さんの前では、理想的な良い子でいたいんです。
そして親が喜ぶ様な選択をする内に、親の価値観や想念が刷り込まれて行く。
でも、娘さんには別の価値観があります。
お母様の生まれて来た目的と娘さんの目的は違うのですから。
すると、娘さんは、知らず知らず刷り込まれた他人の価値観を生きる事が窮屈になってしまう。
本人が、それが親御さんの価値観と気付いているか否かは分かりませんが、そろそろ自分の人生を歩きたい為に、ついつい言い方がキツクなってしまうんです。
例えば、中世のカスティリア女王イザベラとファナやマリア・テレジアと娘達母娘も同じでした。
共に母性に溢れた女性なだけに、娘達に対する心配の種は尽きませんでした。
お嫁に行って不幸な目に遭わない様に、家名を汚す事が無い様に、向こうのご両親や旦那さんから可愛がられる様にetc。
娘が一歩国を出たら、もう守ってあげる事は出来ないのですから。
2人共、可愛い我が子が国家の道具として利用される事を思うと、身を削られる様な気持ちでしたから、ついつい、過干渉になってしまう。
目の前にある石を少しでも退けてあげたいと願うのは、古今東西、親御さんは一緒です。
しかし、ファナはお輿入れの時、これで母親の影から離れられると思うと、ホっとしたそうです。
幸せになって欲しい一心で心を砕いてきた事も、それはお母様の価値観。
そうして、知らずして刷り込まれた、母親の価値観の元に成長してしまう。
幼い頃はお母様の価値観と自分の価値観の違いに気づいていなくても、心の奥で蓋をしていた本来の自分が、徐々に浮上してくるんです。
尤も、お姫様達の場合は、一国の存亡がかかっていますから、致し方ありませんが。
・・・・・to be continued