抉る 3

 

鋏がよく切れる理由 キリバシ

 

キリバシとは地域性で言うと京都という狭地域で機能汎用性から派生した道具であると想像できる。

 

その一つは華鋏からの進化、五・六寸の大きさから、地堀作業(移植等による根伐堀取)での底部側面の根伐、根巻き時の網針、縄締め、竹垣の雨調整、槌など葉枝切断以外の万能性を兼ねた利便性の高い万能工具として重宝していたと想像しています。

 

その後の明治後期から大正期、御所内裏整備や博覧会等の復興期を迎え邸園文化を経て樹木管理の利便性を鑑みた頃になると、現在のツルの付いた京鋏へと化身したと考える事は自然な進化と云える。

 

鋏の部分名称に「蕨」手と云われる名称は誤りで正確には「蔓」手。

 

えっとメガネのツルはワラビとはいいませんよね^ ^

 

口清の近藤さんが言う「輪鋏」と云う言い方の方が相応しいのかもしけません。

 

おそらく輪鋏を蕨手と云う呼称の名残りは華鋏の進化系であったかとも想像できる。蕨形状がどの様な形状であるか植物を扱う同業諸兄であれば附し判別できるはず。

 

さて、キリバシが華鋏の進化系であるとすれば持ち方や保ち方と云った表現は、開閉の機能と手中動作に委ねる他ない。

前回まで輪鋏(蔓手)の抉りを解析した指動作の中でキリバシの動作と似ているのは打ち辺り付近が張った形状の京鋏が近い動作を示している。

キリバシの持ち方が親指と中指で保ちながら小指と薬指で引き上げ親指下太陽丘の反作用の力点が働き支点を経て作用(切断に至る)する。

 

となると、この時点でキリバシの持ち方が華鋏に準じているとなると保持の時点で親指と人差し指でつまむ様に持ち、小指薬指へと引き上げる白洲さんの持ち方が基本であるといえる。

白洲正子さんの持ち方は鋏の保持、切断時には親指を除く指で裁断作用が働く。

 

いずれにしてもキリバシの持ち方は使う人によって其々で怪我さえ無ければこれといって決まりはない。

参考に、板金鋏の場合は先ず人差し指中指と親指で上部分をつまみ支え、下部は中指を入れ支え小指薬指へと引き上げる。

 

これはおそらく確実に板金を切断するにあたり、力点を持ち手後部で行う指動作の為指の働きを全て使う持ち方になると想像出来ます。

 

しかし、板金鋏と異なる連続動作は枝切除に伴う動作と明らかに異なり、単発故に持ち方は人差し指と親指で支え残り三本で引き上げる動作が自然と思われる。

2016年 再び キリバシ・京鋏 2016-12-27 18:52:48