大谷だけは特別なのさ | 日記「ウクライナ人の戦い」 Masanori Yamato

日記「ウクライナ人の戦い」 Masanori Yamato

「ウクライナ戦争」を描くことで、プーチンとは何者なのかを書きたい。

大谷だけは特別なのさ「大谷効果で敵地に広がる異例の光景」 2024/5/27 0:30

 

この項も、Youtube動画「MLBタイムリーヒットチャンネル」からの引用である。

 

4月の終わりにトロント・ブルージェイズとの3連戦が行われた。その初日、大谷は2番DHで出場した。打席に入ると、敵地のファンから盛大なブーイングが起こった。異様なムードで迎えたこの第1打席で、大谷は7号先制ホームランを放った。ダイヤモンドを一周して本塁に戻るあいだも、敵地ファンからのブーイングは鳴り止まなかった。いきなりの一撃に敵も味方も騒然とした表情を見せていた。ちなみに、ベンチでホームランを見守っていたドジャースナインがファンと一緒に大谷をブーイングで出迎え、笑いを誘っていた。

 

スタジアム全体が初回から大盛り上がりを見せたが、スポーツ紙の記者は

「ブルージェイズは大谷の移籍先として最終候補に残っていました。ドジャースとの契約発表直前、『大谷がトロント行きの飛行機に乗った』と米メディアが報じるなど、現地での期待が高まる中、大谷のドジャース入りが発表されたという経緯があります。ブルージェイズファンは来てくれると信じていた大谷に『裏切られた』という思いがいまだにあるのでしょう」

と解説した。

 

トロントのファンにとって大谷選手は「振られた恋人」と言えるが、そんな相手からのブーイングに対して大谷は

「ドジャースファンでもブルージェイズファンでも、『野球好きなんだな』っていうリスペクトを逆に感じるところかなと思います」

「結果的に行ける球団は一つ。ぼく的には声をかけてもらった球団ってのは、もう本当に感謝しかないですし、そこに関してぼくは、ファンの人がどう思っているかは置いといて、ぼくとしてはファンの人たちも含めて感謝しかないかなと思います。

 

 別にブーイングもイヤではないというか、野球の一環ですし、ファンの方たちがそれで楽しいのが一番だと思う。選手は気にしてもらえるだけ選手にとってはいいんじゃないかと思います」

と試合後のインタビューで語っている。さらに

「ぼくがブルージェイズのファンだったら普通にブーイングすると思いますし、そこはスポーツの一環かなと思います」

と満面の笑みを見せていた。

 

ここまで「粋」な対応を見せられては、ブーイングを浴びせていたブルージェイズファンも流石に白旗を上げるしかなく

「ブーイングをエールに変える選手を初めて見た」

「悔しいけど、オオタニは最高の選手だ」

「ドジャースは強すぎて相手としては手ごわいけど、ショウヘイのホームランだけは見たい」

などのコメントが寄せられている。

相手チームにも関わらず、「大谷だけは」という反応を見せているのは、ブルージェイズファンに限らない。特に今年は敵地に大谷が登場すると、地元選手を上回るほどの歓声を受ける光景が「当たり前」になりつつある。全米各地のファンが大谷の試合を待ち望んでいると言われており、ドジャースのライバルであるサンフランシスコ・ジャイアンツの本拠地でも思わぬ光景が広がっている。

 

ドジャースは5月13日からジャイアンツの本拠地であるオラクルパークで3連戦を行ったが、14日の一戦では、大谷が12号ソロを含む5打数3安打2打点の大暴れを見せた。大谷がホームランを打った瞬間には、敵地にもかかわらず、ジャイアンツファンも大喜びする姿が目立ち、「オオタニマニア」で知られるベン・バーランダー氏はいう。

「被っている帽子がオレンジ(ジャイアンツ)なのか、ブルー(ドジャース)なのかは関係がない。みんなその打球を見つめて口を開けるだけさ」

 

地元ラジオ局「KNBR」は公式Xに

「ドジャーブルーが今夜のオラクルパークですごく目立っている」

と投降した。サンフランシスコはロスアンゼルスから気軽に行ける距離ではないが、1塁側の内野席は青のドジャースファンで埋め尽くされていた。大谷がバッターボックスに立つと、ブーイングはなく歓声が注がれた。

 

ドジャースとジャイアンツはライバル関係にあるが、ここ数年はドジャースの攻勢が目立っており、今シーズンもジャイアンツは19勝25敗の借金6で地区4位に沈み、すでにドジャースに10ゲーム差を付けられている。ライバルに差をつける勝利に加えて、スタジアムがブルーに染まっていたことには、ドジャースのロバーツ監督もご満悦の表情を見せていた。試合後の取材でロバーツ監督は

「間違いなくオオタニ効果だね。わたしがもし地元の球場に彼がプレーしに来ると聞けば、何をさておいても駆けつけたくなる。そんな気持ちはファンもわたしも同じなんだ」

 

観客席で起きた異変を敵軍地元紙も「青い波に無抵抗だ」と嘆きを交えて報じた。地元紙「サン

フランシスコ・クロニクル」は

「ジャイアンツとドジャース間の巨大な隔たりは狭まる兆しが見えない」と題する記事を掲載し、100年以上続く両球団のライバル関係に起きた異変を伝えた。著者のアン・キリオン記者は

「連戦初日の月曜日、わたしは観客としてスタンドにいたが、3万5000人のファンの60%ほどはドジャースを応援しているようだった」

と印象を伝え、FAで大谷を取り逃がした点について触れつつ

「苦々しい、振られたジャイアンツファンからブーイングが聞こえたが、それより遥かに多くの人たちが真新しいオオタニのユニフォームを着ていた」

とジャイアンツファンも大谷びいきであったことを記している。さらに

「ドジャースが街にやってくる時、青い波がマッコビー湾を一掃することに無抵抗だ」

と、宿敵による「侵略活動」がかつてないレベルに達していると嘆き節を披露し、それは

「そして、間違いなく見る価値があるドジャースというチームが組み合わさった当然の結果だ」

と分析している。

「仮に自分が敵チームのファンだとしても、大谷の活躍を目の当たりにできるのなら、背番号17のユニフォームを着用してスタジアムに駆け付けてしまいますよね」

と、コメントしている。

 

この青いユニフォームを着て躍動する大谷の姿を「敵軍番記者」として見ていたMLB公式サイトのジャイアンツ番、マリア・グアルダード記者には様々な思いがこみ上げてきたようだ。実はグアルダード記者は2018年にエンゼルス番の記者として、メジャーデビューを果たした大谷を取材しており、お互いをファーストネームで呼び合う間柄であった。改めてマリアの写真を眺めていると雰囲気が真美子夫人に似ているような気がする。

 

グアルダード記者は敵地を埋め尽くしたドジャースファンを見渡しながら、「彼が7億ドル契約を手にすると、2018年に想像していたかどうかは、わたしにははっきりわかりません」と微笑みを見せていた。

 

大谷がメジャーでキャリアをスタートさせた直後から取材を開始した同記者は、2019年から現在までジャイアンツ番記者を務めている。

二刀流として鳴り物入りで入団したとはいえ、当時は今のように大量の日本メディアがアメリカに大挙して押し寄せることもなかった。

 

「わたしがここ(サンフランシスコ)で見た中で、日本メディアは今が圧倒的に多いですね」

大谷はメジャーデビューの年(2018)に新人王を獲得したが、同年は右ひじの靭帯損傷が発覚。オフにトミー・ジョン手術を行うなど、投手としては10登板で4勝2敗、防御率3.31に終わっている。

 

グアルダード記者は当時を懐かしむように

「日本で才能がある選手だとは知っていたけど、メジャーで疑問もあった。当時は、わたしが二刀流を見れたのは最初の2、3カ月だった。それでも、彼が健康でいつづけられれば、(二刀流として)活躍できるということを初めて垣間見ることになりました」

と語り、今でも忘れられない試合があるとして、敵地アスレチックス戦でのメジャー初先発振り返った。大谷は初先発のマウンドで、相手打線に苦戦しながらも、6回を投げ、3安打3失点、6奪三振で初勝利を飾っている。

 

グアルダード記者は当時を

「あの試合で、われわれは彼の剛速球だったり、スプリットだったり、打者を愚かな姿にさせるところを見たんです。最初のテストでしたし、メジャーでやっていけるのかどうかの最初のテストでしたし、彼ならできるとわれわれは目撃したんです。マウンド上でしびれる球を投げていました。彼の新人のシーズンを思い返すと、それが一番印象に残っています」

と振り返り、6年経っても鮮明に思い出せると語った。

 

「二刀流をする能力があると、彼が証明する姿を今こうして遠くから見るのは興味深いことです」

と言い

「デビューからスーパースターへの階段を上がり続けている大谷選手を見ることは、とても感慨深いことよ」

と締めくくった。

 

写真はジャイアンツの番記者マリア・グアルダード 「MLBタイムリーヒットチャンネル」から