この度、我々「広島文学資料保全の会」は、ユネスコが制定した「世界の記憶」(国際登録)に、「広島の被爆作家による被災直後の資料」を広島市と共同で申請することを決定し、現在準備を進めています。

 

 1945年8月6日午前8時15分、広島に原子爆弾が投下され、人びとの暮らしは一瞬にして失われ、被爆直後は「75年間は草木も生えない」と言われてきました。それから78年経った今、広島という街は、市民の絶え間ない努力によって見事に復興を遂げました。

 その裏側には、「核兵器廃絶と世界恒久平和の実現」のために、文学の力で訴え続けた作家たちがいます。その中には、直接被爆した作家たちが後世に伝えようと、言論の自由がない時代の中、被爆した直後にその惨状を命がけで残した数少ない資料があり、それらはまた作家たちの創作過程が伺える貴重なものでもあります。

 申請する資料は、次の通りです。

 今回は、『屍の街 』(大田洋子)の自筆原稿(日本近代文学館所蔵)も追加予定で、現在デジタル化を進めています。

 

 ユネスコ「世界の記憶」とは、世界的に重要な文書、絵画、フィルムなどの保存やアクセス促進を目的に、ユネスコが1992年に始めた事業で、1995年から登録が開始されました。『アンネ・フランクの日記』『ベートーヴェンの自筆譜』などが登録されており、日本からは『山本作兵衛炭坑記録画・記録文書』が2011年に初登録されました。

 今回申請する資料は、いずれも直接被爆した作家たちが後世に伝えようと、被爆した直後にその惨状を命がけで残したものであり、また作家たちの創作過程が伺える貴重なものです。彼らは戦前から創作活動を始めていましたが、 被爆体験を経て人類の未来に思いを馳せ、世界の平和と核兵器の廃絶を祈る作家となりました。

 

 広島・長崎への原爆投下は多くの新聞や雑誌で20世紀最大の事件として取り上げられています。それは20世紀最大の「負の遺産」ですが、その原爆投下による悲惨な被害を描いた原爆文学や絵画などは未だ「世界の記憶」に登録されていません。その一方で、ナチスの迫害を受けたポーランドのワルシャワ・ゲットーのアーカイブスやオランダのアンネ・フランクの日記は、それぞれ1999年、2009年に「世界の記憶」に登録されています。「負の遺産」には、人類がその未来のために学ばなければならないことが記録されているからです。

 我々 「広島文学資料保全の会」は、広島の原爆文学の一部を「世界の記録」に登録するために、これまでも運動してきました。被爆から78年が経ち、 被爆者の高齢化とともに被爆体験の風化が大きな問題となっています。この問題を克服し、世界に核戦争の危険に対する警鐘を鳴らすためにも、私たちは広島の原爆文学を「世界の記憶」として登録することを2014年6月以来提案し、これまで広島市と共同で2度申請をしてきました。今回は3度目の挑戦となります。

 

 広島は世界で初めて原爆による壊滅的被害を受け、その体験は数多くの文学作品や手記などとして残されてきましたが、敗戦後の占領下におけるGHQのプレスコードによる「原爆を悲惨な事件として描写してはならない」という制限により、発表を禁止されたり修正を求められたりしたため、広くその被害の実態を知られるためには時間がかかりました。しかし、現在では20世紀の最大の事件として多くのマスコミが取り上げるようになりました。原爆投下とその悲惨な体験は 「人類の忘れてはならない」歴史的な事件であり、それを記録し、人々に伝えようとした原爆文学はまさに 「人類の忘れてはならない歴史的な文章であり、記録である」といえるでしょう。

 

 これまで核戦争の危機を未然に防ぐための警告として重要な役割を果たしてきた原爆文学ですが、核兵器禁止条約が発効した今、「世界の記憶」に登録されることによって、「核兵器のない世界」の構築に一層貢献することになるはずです。

 「世界の記憶」登録が実現すれば、広島の被爆作家による原爆文学資料に関する情報を、広島市及び広島平和記念資料館の案内パンフレットなどに掲載するとともに、世界の記憶に関する情報を広島市及び広島平和記念資料館のホームページから容易にアクセスできるようにし、8月6日前後には、申請資料が平和記念資料館を訪れる各国の人々にも見られるように、特別展示をするなど企画したいと考えています。

 特に教育の分野では、平和学習の一環として、平和ガイド、ピースウォーク等を通して、栗原貞子・原民喜・峠三吉・大田洋子の4人の作家の足跡巡りを企画することで、被爆の実相や平和への想いを若い世代へ継承していくプログラムをより一層充実させていくことも考えています。

 広島の被爆作家による原爆文学資料が「世界の記憶」に登録されることによって、「核兵器のない世界」を目指す動きを強めるとともに、原爆文学に対する関心をさらに高めていきたいと思っています。

 

 

 

 そこで、「世界の記憶」登録実現のため、そしてより多くの方々に知っていただくために、署名を始めました。皆様、署名・拡散のご協力、よろしくお願いします。

 

 署名用紙は、こちらからダウンロードできます。

【署名用紙ダウンロード】
個人用:https://drive.google.com/file/d/1yQRqx23Yr2TTia3CXwqbAYSzmF8znUxj/view?usp=drivesdk
団体用:https://drive.google.com/file/d/12TFrtBHs6tiWZ3MW6jaZR9VSPjUmXw6A/view?usp=drivesdk

 

 オンライン署名も行なっていますので、こちらも併せて、ご協力お願いします。

【オンライン署名ページ】
https://www.change.org/hiroshima_bungaku

 

 

 

 終戦を迎えてから今日まで、日本は確かに戦争をしなかった。しかし、学校ではいじめや差別が起こり、その事実を隠蔽することが当たり前のように行われているだけでなく、芸能人や政治家までもが当たり前のように差別発言を行っているのが今の世の中です。戦争をしていないからと言って、今のこのような世の中を「平和」といえるのでしょうか。

 今を生きる我々も78年前に生活を送っていた人々も、「人生」という線があります。その線をつなぎあわせ、「自分事」として捉えることは大切です。核兵器禁止条約が2021年1月22日に発効したにもかかわらず、核兵器使用について囁かれ、第三次世界大戦の可能性も指摘されている今だからこそ、戦争放棄を掲げた戦後平和主義の原点に立ち戻り、78年前に広島で起こった出来事から本当の意味での「平和」とは何か考えるきっかけを作るためにも、みなさんの力をお借りしたいのです。

 

 

 

 なお、後日改めて記者会見をし、詳しい説明を行う予定です。

 

 

 

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