前回のブログでは、「れいわのへいわソング2021」で歌われた曲について、簡単に解説しました。

 

番組の中では、出演者たちが平和へのメッセージを強く感じる楽曲を選び、“わたしのへいわソング”として、その曲についてコメントする企画も行われており、Sexy Zoneの佐藤勝利さんは「We are the world」を選んでいました。

 

この曲は、制作された背景や当時の情勢などを踏まえると、たくさんのことを考えさせてくれる曲ですので、今回は「We are the world」について解説してみようかと思います。

 

 

 

アフリカの飢餓がますます深刻化していた1984年、イギリスのミュージシャンのロバート・フレデリック・ゼノン・ゲルドフが発起人となり、イギリスとアイルランドのロック・ポップ界のトップスターたちが集結し、Band Aidが結成されました。

エチオピアで起こった飢餓をきっかけにボブ・ゲルドフとミッジ・ユーロによって書かれたチャリティーソング「Do They Know It's Christmas?」は大ヒットしました。

 

それに触発される形で、アメリカの歌手のハリー・ベラフォンテがアメリカで同様のプロジェクトを作ることを提唱。

まずライオネル・リッチーに呼びかけ、そこからマイケル・ジャクソン、スティーヴィー・ワンダー、クインシー・ジョーンズなど、数々の大物アーティストが芋づる式に呼びかけに応じ、最終的に集まったアーティストは45人に達しました。なお、参加アーティストは全員が無償で参加しています。

 

マイケル・ジャクソンとライオネル・リッチーが共同で曲を書き、プロデューサーのクインシー・ジョーンズの下、1985年1月28日、ついにレコーディングが開始されました。プロジェクトは「United Support of Artists」のイニシャルとアメリカ合衆国の略称とのダブルミーニングで「USA for AFRICA」と名付けられ、3月8日、「We are the world」がリリースされました。

 

 

 

この1985年は、飛行機事故が相次いで発生しており、8月12日には日本航空123便が墜落。坂本九さんをはじめとする520名もの方が亡くなりました。

他にも、ソ連が東カザフスタンで核実験を行ったり、 南アフリカが異民族間の結婚を禁止する法律を廃止したりと、さまざまなことが起こった年です。

 

それだけではなく、第二次世界大戦・太平洋戦争関連では終結から40年、広島県物産陳列館(現在の原爆ドーム)竣工70周年、国連発足40周年と、節目を迎えたものも多い年でもあります。

 

 

 

そのことを踏まえて、歌詞を見てみると、

 

There comes a time when we heed a certain call
When the world must come together as one
There are people dying
And its time to lend a hand to life
The greatest gift of all

We can't go on pretending day by day
That someone, somewhere will soon make a change
We are all a part of Gods great big family
And the truth, you know,
Love is all we need

We are the world, we are the children
We are the ones who make a brighter day
So lets start giving
There's a choice we're making
We're saving our own lives
Its true we'll make a better day
Just you and me

Send them your heart so they'll know that someone cares
And their lives will be stronger and free
As God has shown us by turning stones to bread
So we all must lend a helping hand

We are the world, we are the children
We are the ones who make a brighter day
So lets start giving
There's a choice we're making
We're saving our own lives
Its true we'll make a better day
Just you and me

When you're down and out, there seems no hope at all
But if you just believe there's no way we can fall
Let us realize, that a change can only come
When we stand together as one

We are the world, we are the children
We are the ones who make a brighter day
So lets start giving
There's a choice we're making
We're saving our own lives
Its true we'll make a better day
Just you and me

 

「今こそ立ち上がり、力を一つにして救いの手を差し伸べる時だ」というメッセージの力強さが伝わるのではないでしょうか。

 

 

 

そして、調性(キー)に注目すると、この曲はホ長調(E-dur、E Major)で始まっています。

ホ長調は明るく屈託のない感じや、栄光、自然の息吹を表す調です。

1985年というと、もうすでに環境問題なども取り上げられるようになっていた時代。それを踏まえると、自然の息吹を表すホ長調が使われている理由も納得です。

 

曲の後半には転調し、半音上がってヘ長調になります。前回のブログでも少し触れましたが、ヘ長調は平和を表す調です。

後半のサビをエンドレスで繰り返す部分でヘ長調に転調しています。

また、そのサビの繰り返しの部分は、参加アーティスト全員による合唱になっています。

「みんなで力を合わせれば、必ず平和な世の中は訪れる」という確信に満ちたメッセージが読み取れます。

 

 

 

リリースから今年で36年になりますが、この曲は今も世界中で歌われているだけでなく、2010年1月12日に発生したハイチ地震による被災者支援のため、同年2月1日に「We Are The World 25 Years for Haiti」として再レコーディングが行われています。また、2019年末からは、新型コロナウイルス感染症の流行を受けて、世界中のさまざまなアーティストによってオンラインを通して歌われています。

この曲は、これからも人々の心の中で生き続け、未来へと歌い継がれていくべき曲と言えるでしょう。