任期満了に伴う石川県知事選挙は8日投開票され,前金沢市長の山野之義氏(無所属)が,再選を目指した現職の馳浩氏(無所属=自民・維新推薦),新人でボランティア団体元事務局長の黒梅明氏(共産推薦)を破り,初当選を果たした。山野氏と馳氏は自民党系で,前回選挙では馳氏に約8000票差で敗れた山野氏だったが,今回は約6000票差で,保守分裂選挙を制した。投票率は54・68%で前回の61・82%を下回った。
石川県珠洲市在住の観光業関係者は,「能登半島地震後初の知事選となり,震災からの復旧・復興への取り組み姿勢が主な争点となっていた。山野氏については,被災地への『知事室』の設置やボランティア団体と連携した草の根運動など,徹底した現場主義の主張が徐々に復旧・復興への期待感として無党派層の間に広がっていた。一方,馳氏については,被災後の石川県防災会議の報告書などでも指摘されているように,馳氏の対応のまずさが復旧・復興の遅れに影響を与え,被災地のために今,もっとすべきこと,できることがあるのではないか,との思いが県民の中に不満・批判としてくすぶっていたようだ。先の衆院選では県内の小選挙区(全3区)全てで自民候補が勝利していたうえに,約340団体の推薦を受けて組織力では山野氏を大きく上回り,人気のある高市首相も応援に入ったが,震災後の馳氏の対応の評価が覆ることはなく,無党派層の支持は次第に離れていったようだ」と,被災地の復旧・復興政策の加速化を山野氏に期待する。
なお,石川県知事選で高市首相が馳氏の応援に入ったのは,米国とイスラエルがイランを先制攻撃した2月28日。このため,9日の衆院予算委員会では中道改革連合の小川淳也代表が「応援に行くこと自体に賛否があった」と疑問を呈したところ,首相は「不適切だったとは思わない。危機管理は十分行ったつもりだ」と主張した。先の衆院選では,石川県の全小選挙区で自民党が議席を獲得し,馳氏の異例の応援に高支持率を維持する高市首相があえて入ったにもかかわらず,敗北したことに戸惑う自民党関係者も多いようだ。
自民党の西村康稔選対委員長は8日,馳氏の敗北を受け,「激戦の中あと一歩及ばなかった。県民の審判を厳粛に受け止め,敗因をよく分析して今後の各級選挙に臨む」とのコメントを出した。
石川県知事選の敗北により,先の衆院選での自民党の勢いに陰りが見えてきたかのように,永田町では緊張感が走っている。