高市早苗首相の台湾有事を巡る「存立危機発言」以降,冷え込んだ日中関係の修復の兆しが見えない中,自民党の岩屋毅・前外相は,日本国際貿易促進協会の会長として訪中し,9月28日に中国の王毅外相と,29日には経済政策を担当する何立峰副首相と会談した。
岩屋氏は会談で,日本に対する「『新型軍国主義』という批判は控えて欲しい」などと要請。王外相や何副首相が高市首相の発言を批判はしたものの,王外相が日本への注文として,「台湾問題における指導者の誤った言動を速やかに是正することだ」と指摘したことと,何副首相が「AIなどの経済で共に発展していきたい」と経済協力では柔軟な姿勢を見せたことが注目されている。特に,王外相の「撤回」から「是正」への表現の変化は,中国側から何らかの関係修復に向けたシグナルなのではないかとの憶測が広がっている。
在米シンクタンク関係者は,岩屋氏の訪中に関連して,「米中首脳会談で習主席を自ら空港で出迎えたことからも明らかなように,今のトランプ大統領にとっては,中国は特別なビジネスパートナーとして魅力的な国となっている。トランプ大統領は,今後も中国だけでなく,ロシアとも政府レベルでの対話を継続し,アメリカの経済政策や泥沼化するイラン戦争の打開の糸口を探っていくことになるだろう。日本の高市首相も中国やロシアを敵視し続けるのではなく,政府レベルでの対話の機会をあらゆるチャンネルを活用して探るべきだろう。高市首相は,国連で国連憲章に記載されている『敵国条項』の削除を唐突に訴えたが,今の日本から敵視されている中国やロシアからすれば,日本は周辺を脅かす国となっており,安保理常任理事国である中国やロシアが批准しないことは明らかである。にもかかわらず,高市首相はあえて『敵国条項』に言及したことには驚いた。高市首相は相手国を刺激するような発信をわざわざする方なのだろうか。先ずは,中国やロシアとの友好関係を築き上げることが優先課題だろう。岩屋氏の訪中を関係改善のチャンスと見て,日本政府からも何らかの関係修復に向けたシグナルが発信されることを期待している」とコメントする。
木原稔官房長官は29日の記者会見で,岩屋氏の訪中に関して,「民間経済団体の動向だ。逐一コメントすることは控える」と語るだけで,王氏の「是正」発言については論評しなかった。
年内,米中首脳会談や米朝首脳会談も予定されており,米中関係がさらに接近する可能性がある中,高市政権はどのような外交努力をこれから繰り広げていくのか,中国からのシグナルにどのように応えるのか,その展開次第では,高市政権の支持率に大きな影響を及ぼすことになるだろう。〆