米国とイスラエルによる先制攻撃が始まった2月28日に,イラン南部ミナブにある女子校が攻撃され,女子児童や学校職員ら多数の民間人が犠牲となった。イラン国営メディアによると,この攻撃により生徒168人と教員14人の死亡が既に確認されているとのことである。
この極めて深刻な事態に,トランプ大統領は7日,記者団に対し「イランがやったことだ。彼らは弾薬の扱いが不正確だ」と一方的に主張していたが,米紙ニューヨーク・タイムズが11日,「米軍による暫定調査の結果によれば,米軍の巡航ミサイル『トマホーク』」よる誤爆が引き起こしたものである」などと報じると,国内外に大きな衝撃と波紋が広がった。トランプ大統領は記者団から「誤爆」報道について,「米軍の最高司令官として責任を取るか」と問われると,先の主張とは一転し,「知らない」と答えた。
なお,ニューヨーク・タイムズの報道によれば,「誤爆」の主な要因は,軍事攻撃対象を決めるのに古い地図データを使用し,同じ区画内に塀で区切られて女子校とイランの「イスラム革命防衛隊」の海軍が使用している施設があるにもかかわらず,米軍が区画内にある全部の施設をイランの軍事基地と誤認して攻撃したことによるものである。
在米ジャーナリストは,「ニューヨーク・タイムズの報道の内容が事実であれば,米軍は絶対にあってはならない致命的な誤りを犯したことになる。現地で取材するジャーナリストによれば,今も破壊された女子校のがれきの下から子供たちを懸命に救おうしている人々がいるとのことである。この攻撃がもたらした悲劇により,イランへの攻撃に反対するアメリカ国民がさらに増えることであろう(※直近のCNNテレビ世論調査では,攻撃を『支持しない』が59%,『支持する』が41%)。また,トランプ政権に対する批判が米国内外でさらに強まるとともに,アメリカ各地やヨーロッパで行われているイラン攻撃への抗議集会やデモがさらに世界中に広がっていくのではないか」と,犠牲者を悼む。
イランのセアダット駐日大使は3日,米国とイスラエルの軍事攻撃に対して,「僅か数日前まで外交交渉が続いており,合意の可能性があったにもかかわらず,一方的に攻撃が行われた。イランに核兵器は存在せず,自衛以外のためのミサイル計画もなく,米国に対する脅威も存在しなかった」などと主張。また,南部ミナブの女子学校への攻撃で児童と教師ら約175人が殺害されたことや,テヘラン市内の病院が攻撃対象となったことに,「これはイランが始めた戦争ではなく,イランに対する侵略戦争であり,戦争犯罪だ」と訴えた。
また,同大使は11日,日本共産党の田村智子委員長と会談(※詳細は3/12付しんぶん赤旗参照)し,「国の最高指導者,子どもを含む多くの市民が殺されている。国連憲章と国際法,国際人道法に違反したアメリカとイスラエルの侵略は,国際の正義そのものも攻撃している。継続中だった核問題をめぐる交渉もアメリカ自らが破壊した」などと,米国とイスラエルの軍事攻撃を非難した。
高市首相は,米国とイスラエルによるイラン攻撃について,「しばらく時間をいただかないと、法的な評価ができるものではない」などと,法的な評価は避け、米国に配慮を見せている。
一方,イタリアのメローニ首相は11日,上院で演説し,「国際法の範囲外」の介入だったと批判。「イタリアはこの介入に参加しておらず,参加する意思もない」と強調し,米国・イスラエルの軍事行動から距離を置く姿勢を改めて表明。また,「国際秩序が崩壊しつつある状況に直面しており,国際法の範囲外で実施される一方的な介入が増えている中,アメリカとイスラエルによるイランへの介入もこれに位置づけなければいけない」などと批判した。さらに,イランの女子校への攻撃について,「子どもたちをはじめとする民間人の安全確保が重要だ。この悲劇の責任が速やかに明らかにされることを求める」などと真相究明を要求するとともに,犠牲者やその遺族に哀悼の意を表した。
「力による現状変更は許さない」という規範はもはや過去のものとなり、「力による新たな現状変更の試み」が始められたことで,戦争による悲劇が再び繰り返されている。〆