社長が全てを取り仕切るのはやっぱり困難。だから株式会社は取締役3人を必要としている。もうすぐ変わるけど。でもやっぱり社長の右腕と呼ばれる参謀にどんな人を持ってくるかで会社もずいぶん変わっちゃうよね。そういう意味ではこの参謀を見極める目が重要。


この前会った社長は頑固そのもの。でもすごい技術持ってんのよ、この会社。だからこの頑固社長の所にみんな仕事を頼みに行く。

全く人のいうことに耳を傾けない頑固社長が唯一ある社外の怪しいオッサンの言うことだけはフンフン聞くんだよね。

どうもこの怪しいオッサン、自分の懐に金を入れることを考えてるらしいんだけどその頑固社長には、

「自分はもう年だし、人のために色々とやってあげたい。自分は一銭もいらない。」

とか言ってんですよ。この頑固社長にオッサンのことちょっとでも悪く言おうものなら、

「あの人はそんな人じゃない。もうお前とは取引しない。」

ぐらいの剣幕になっちゃう。

あ~、頑固社長、ピンチ!


一訓

人を見るのは本当に難しい。なぜなら人の考えは場面によって変わっていくから。最初、悪いこと考えていても思いとどまるケースもあるし、悪いこと考えてなくても悪いことしちゃう場合もある。

でも色々な人の意見には耳を傾けるようにして、最終的に自分で判断するようにはしたいっす。

自己顕示欲が強い人って多いよね。自分のやってきたことを

「ホラこんなにすごいことしちゃった。」

みたいな社長本で示すなら、

「へ~、すごいなあ。」

と単純に感心するけど、世間では人様がやったといわれていることまで

「実はあれは、俺が・・・」

というとちょっとね~。


この前会った社長は自信満々。髭も生やして威風堂々。言ってることも実に立派だ。感心しながら

「ふんふん」

と聞いていると、調子に乗ったのか、

大ヒットしたあの商品、実は俺が考えたんだよ。あれは、絶対ヒットすると思ってたよ。」

と誰でも知ってるヒット商品の名前を挙げて自慢しだした。

本当かよ?

と思いながら会社の中を見回して、この会社のロケーションを思い出すと、とてもあの商品の売上をレベニューシェアしたとは思えないっす。

オイオイ、嘘つくなよ。


一訓

ま、すぐわかる嘘ならいっか。でも自分の実績がなかなか認められないと段々自己顕示欲が強くなっちゃうんね。

コーシコンドーはいかんよ。やっぱり大統領のように働き、王様のように遊ぶっていうキャッチが昔あったけど、こうでなきゃ。でも仕事場で遊ぼうっていう輩がいるんよ。


この前会った社長は、

「自分は家族が大事です。」

キャバクラなんかに行く男の気持ちがよくわかりません。」

とか言ってて、後で人に聞いたら社内で浮気してんの。

オイオイ、嘘つくんじゃねーよ。しかもオフィス内の会議室。

オフィスだと余計に燃え上がるんだろうかね?


一訓

浮気は格好悪いねー。めちゃめちゃ格好悪い。自分はもててるつもりでも、要は金。っていうか自分の会社の社員が働いている場所でそういうことする神経がわかんね。でも、最後には必ずバランスはとられるんよ。こんな社長の下でまともに社員が働くわけがない。

当然というかやっぱりというか、この会社はちゃんと傾きました。

人間誰しも見栄ってあるよね。自分を良く見せたいとか、人にすごいと思ってもらいたいとか。それはごく普通の感情。でも自分の実力以上に良く見せようっていうのはどうかなー?


この前会った社長の会社は新宿、渋谷、青山、麻布、六本木、丸の内、銀座といったようなあこがれの場所にはなくて、都内で山手線内だけどちょっと地価もぐっと落ちるようなエリアにあった。まわりはちょっと寂れた商店街。廃墟とまでは言わないけど。

そこの社長が会うなり、

「いやー、こんな所にあって恥ずかしいよ。本当は表参道とか青山にバーンとオフィスを構えて事業をやりたいよ。」

とまくしたててた。でもその会社の業績は赤字続き。シャチョーッ!場所より業績、業績。


一訓

事業がしっかりするまでは固定費は抑える。これ常識。見栄え気にするなら決算の方が見栄え悪いだろ。オフィスをいい所に移りたいという意識を持つのはいいし、場所は人の採用でも重要なファクターではあるけど、まず他にできることがあるんじゃないの?


営業トークは商売やる上では必須。でも難しいよね、これって。謙遜すると大した事ないなっておもっちゃうし、自慢話になっちゃったらもはや売り込みじゃなくなっちゃうし、ましてややりすぎちゃったら・・・


この前会った社長はそういう意味でもすごかった。

「私の情報分析力は卓越している。1時間半以内に4つの新聞を読破する能力は現役MI6(イギリス諜報機関)も顔負けである。情報の方向性の正確性を含めればスーパーコンピュータも凌駕する。その俺が始めたビジネスがこれだ!これで30年は食えるぜ!」

と上唇と下唇を逆方向に向けた口をしたままで力強く何十回も頷いてた。(真顔で)

僕にできることはハニワになることだけだった。


一訓

今の時代、30年食えるビジネスは存在しない。過去の偉大な経営者の最近の様子を見ていればよくわかる。時代の変化を事業に如何に早く反映できる体制で事業推進しているかが重要。

・・・っていうか、それ以前に新聞読めてもそんなにすごくねーだろ

人間って追い込まれるととんでもないことを口走っちゃうよね。前に電車の中で痴漢が女子高生に捕まっているところを見たんだけど、

痴漢!さわってんじゃねーよ!キメーんだよ(キモいの活用形か?)、ジジイ。」(女子高生はやっぱり怖い)

と大声で恫喝され、

「ちょ、ちょっと待って。私は寝てないんだ

などと訳のわからないことを口走ってました。何年か前に不祥事をおこした会社の社長も記者から厳しく問い詰められたときに同じ言葉を口走ってたなー。


この前会った社長も経歴だけ見るとえらく立派で、さぞ頭もキレキレなんだろうなーと思えるような感じなんだけど追い込まれて訳のわからないことを口走ってました。ずーっと業績が悪くてステークホルダーも溜まりかねてこの社長を問い詰めたときの会話。

「いったい、どんな経営をやってるんだ。こんなに赤字を続け、その都度増資で凌ぐなんてやり方はこれ以上容認できないぞ。」

「いや、もう既に黒字だよ。」

「黒字?じゃあ前月の月次の経常利益を教えろ。」

「いや、売上総利益で黒字だ。」

って、あんた・・・どこの世界に粗利黒字で自慢する経営者がいんのよ。ケーヒ引けよ、ケーヒ。粗利で赤字だったら売れば売るだけ損するってことだから通常は事業やらんでしょ。


一訓

苦し紛れの言い訳は余計経営者を無能に見せるね。


競合他社優位性を保つのは会社としてヒジョーに大事。他社にとっては参入障壁ともいえるけど、自分の会社が他の会社よりもここが優れているっていうところが一つは欲しいよなー。そういう意味からすると特許があったらサイコーだよね。


この前会った社長はナンダカなー。製品の説明を聞いて結構斬新なアイデアで、こりゃ面白いっていう感じだった。でもこれだけのものを開発しててこの社長、話しててなんかちょっと垢抜けない感じだったんでもうちょっと製品の話を聞いてみたら、

「自分は特許とかは興味ないの。そういうのは興味ある人がやればいい。」

って、あんた・・・。他の人が特許とったらあんたこの商品売れなくなるで。しかも軽~くこの製品の説明ペラペラしてて。

こういう商品だったら取り扱うのもちょっと怖いよね。競合製品はまだなくてもどっかが特許とって競合製品出したら売れなくなっちゃうから。


一訓

学校の授業じゃないんだからいいもの作ったら特許とっとこーぜ。やっぱり会社を防衛し強みを作ることは社長の責任


社長はバランス感覚が重要だよね。やっぱり人間の体に例えると社長がで、神経の役割をする管理職が一般社員である筋肉に命令を伝えていく。だから特定の場所にばっかり命令を送ってても前に体が進んでいかないんよ。


この前会った社長は、バランスが極端に傾いてたなー。取締役が揃って営業面、財務面、組織面、戦略面、技術面のあらゆる角度からディスカッションをしてたんだけど、この社長は難しい顔をしてなかなか喋らんのよ。他の取締役が売れない理由の分析とかキャッシュフローからファイナンスの必要性を示唆してもロウ人形のように固まってる

おーい、起きてるかーっ?

目は一応開いてるな。

そうこうしてて技術の話になったとたん、急に喋りだした。マシンガンのごとく。

な、なんだ?

専門的過ぎて誰も技術についてのコメント出せずに終わってしまいました。


一訓

技術あがりの社長だと財務や営業を見れない人が多いんよ。でもそういう人はCTOをやって社長はトータルバランスがとれてる人の方がいい。そんな簡単にバランスいい人は見つからんと思うけど。


要点を短く簡潔に説明しろ。子供の頃、だらだらと話をしてるとよく注意されたなあ。やっぱり先生の言ってることは正しかった。大人になってから特にこれは重要。売込みをするにもコミュニケーションするにも相手の印象が全然違っちゃう。


この前会った社長は、小さい頃、先生に注意されなかったのかなあ?

めちゃめちゃ営業トークが炸裂する社長で、ずうーっと聞いてると、

じゃ、か、買います!売ってくださいっ!

って言いたくなっちゃうぐらい滑舌がいいんよ。吸い込まれちゃいそう。でも、ちょっと待てよ。

こ、これはどうなんですか?

って聞いたら質問の答えじゃない説明を5分ぐらいする。

なるほど!

ん?なるほどじゃないぞ、質問に答えてないじゃないか!?また別の質問をしてみる。

と、また質問の答えじゃない説明を延々と続ける。

は、はーん。こりゃどっちかだな

質問の答えがわからないからはぐらかしている。

都合の悪いことを聞かれたから誤魔化している。

トーゼン、商談は流しました。


一訓

やっぱ、コミュニケーションやるには相手の言ってることを理解するところから。わからなくたっていいんよ、後で答えりゃいいんだから。

会う度に何聞いても、

わかりません。後で調べて答えます。

って言う人がいたんだけど、ミーティングが終わってから、毎回その日のうちに電話かメールでちゃんと聞いたことを回答してきたんよ。僕は一発でこの人のトリコになりました。



初志貫徹。難しいけどやっぱり社長ならやり通す気概を持ってほしいね。間違えたら素直に認めて直していく柔軟な発想も必要だけど、これだけは譲れないという一本筋の通った強い意志も重要だよ。これを会社に置き換えるとコアコンピタンスというのだろうか。


この前会った社長は、対極にいるような人だったなー。言ってることがコロコロ変わるんですよ。最初に会った時はIT関連の会社作って

今の日本のIT業界に革命を起こすぜ。

とか言っておいて、次会った時は健康関連の会社を興そうとしていて、

最近、健康ブームだけどこれはまだ日本でやってるやつはいないぜ。

と血気盛んで、つい先日会った時は教育関連の会社を作っていて、

こういう人材が日本には不足しているからこういう人材を輩出する教育の仕組みを作ったら左うちわだぜ。

と言っていました。会う度にこれだけやることを変えるやつは今の日本にはそういないぜ。次に会う時に何をしてるか楽しみだぜ。ある意味逞しいけどね。


一訓

やっぱり事業をやる上ではそれなりに社会的な責任と使命感を持ってないと一つの事業をやり続けられないんよ。なんと言っても企業で最も重要なことはゴーイングコンサーンだからね。