うさぎ追いし かの山
小鮒釣りし かの川
夢は今もめぐりて
忘れがたき ふるさと 童謡『故郷』より
昔、祖母を訪ねた時のこと。
伯父と3人で話をしていたが、ちょっと場を離れ戻ったら
ひとり、ぽつんと居間で祖母がこの歌を口ずさんでいた。
独り言のように静かに。
幼い頃頻繁に預けられ世話になった頃は、はつらつとしていた祖母。
なんだか、この時はその姿がとても小さく思えた。
亡き祖母のことを思う時、まっ先に浮かぶ光景だ。
最近、会うごとに老いを強く感じる両親。
特に我が家の総指揮官&女王だった母が突然支障が出始め、
この頃は、特に夕食後、静かに微笑み座っている。
みんなといても、なんだかぽつんと、小さくいる。
両親には思うところが多々あり、共にいるのが辛く避ける時期もあった。
避けていた時を、受け入れられなかった時を後悔はしないだろう。
だけど・・・
小さく感じるその姿に、遠い昔の祖母の姿が重なったとき
哀しさと、さみしさと、困惑と、そろそろ恩を返す時なのかなどなど
複雑な感情に、一瞬この身が固まってしまう。
いつか、愛をもって抱きしめるときがくるのだろうか。
大村より