pray's Wine Bar -3ページ目

偶然を手に入れる勇気

「マスター・・あたしって駄目だ~」

そう言いながらお越しになったこの女性
32歳 独身 彼氏なし でも美人。

望さま。。

「やっちゃいましたか?」

「なにを?」

「出会いのチャンスを逃しましたね」

「なっ・・・なんでわかるの?」

「望さま・・もう私の何年の付き合いになりますか?」

「え~っと・・・」

「6年です」

「そっか・・そんなに
  でもそれと何の関係があるの?」

「6年も見ていれば、望さまに何が起きたかぐらいはわかります」

「へ~そんなもんなの? ってマスター他のお客さんも・・・?」

いや それは決してそうではなくやはり気になる方だけなのですが
そこは・・話をはぐらかして。

「じゃぁ望さまの大失態を私が聞かせていただきますので
  よかったら話してみませんか?」

「 うん・・・実は 今朝のことなんだけど・・

   先日の雨の時、濡れるの嫌だったから
   車で通勤していたの。
   信号待ちで車を止めたら
   後ろの車の人が下りてきて
   あたしの車の下に手を伸ばして何かしてるの
   雨の降る中をよ

   びっくりして 窓を開けて 何か?
   ってちょっと不機嫌そうに言ったの

   そしたら、 その人 
     『車の下に木の枝が引っかかってて危ないから』
   って、すっごい笑顔で 私に言うの

   あたし ものすごく恥ずかしくなって
    その枝くださいってわけのわからないこと言って
   ・・・・

   あ~ ちゃんとお礼を言って 連絡先聞いておけば
    何かつながったかも・・・って 

   そのあとも なんか恥ずかしくて いつもと違う道を通って
   会社行っちゃうし。。。 」


「望さん ちょっとすみません」

私はすこしカウンターを離れました

「マスター まだ話し終わってないよ」

「あっ すみません、フルーツのオーダーミスがあったのを思い出して」

「もう、そんなのよりあたしの恋愛が大事でしょ
  で~ ずっと探したんだ、同じ通勤時間を狙って
 その場所で・・・・ でも結局見つからなかった。
  是対チャンスだったよね、あ~こうやって
 逃していちゃうんだ・・あたしの恋 」

「 望さまにしては進歩では? 」

「なんで??」

「今まででしたら、チャンスだったとさえ気づかなかったのですから」

「え~そんなことないよ、あたしだってそれぐらいはわかってたもん」

私は 思わず天を仰ぎ・・・『はぁぁ?』という顔を。

「マスター 酷い」

とそのとき 勢いよくお店の扉が開き
一人の男性が飛び込んできました。
息を切らせ彼が最初に言った一言が

「マスター彼女は?」

私は何も言わずに、カウンターに座る望さまを見つめました。

「あっ こんにちは・・・いや こんばんは か」

その瞬間の望さまの驚いた表情は たぶん 人生で最大の驚きで
人生で最大の幸せを表現していたのではないでしょうか。


実は先日、同じように・・・前田様が話されていた
朝の出会いの話・・・それが望さまだたようです。

「マスター・・・いつわかったの?あたしの話・・
   最初から・・気づいてた?」

そんなはずはありません・・が、 
 なんせ 私は ちょっとお魔法が使える「バーテンダー」ですから。


「では お二人の再会を祝してこんなワインはいかがですか

  シャルボニエール[2001]ル・マゼル

 15年の熟成を経て 味わえる 圧倒的なボリューム感
 このワインのようにお二人の関係が深く熟成を迎えることが
 できることを望んで」

素敵なシャルドネ・・皆様も大切な方との関係が
熟成を迎えることができることを望んで。


リカーMORISAWA