1996年(平成8年)公開の、伊丹十三監督作品「スーパーの女」は
劇場だったか、テレビ放送だったか、DVDだったかは
よく覚えてないが、昔確かに観た記憶がある。
スーパー好きの主婦が、売れないスーパーを立て直そうと
奮闘するコメディという事くらいしか覚えてなかったですがね。
<あらすじ>
スーパー「正直屋」の専務・小林五郎は商品も売れず
店員も覇気がなく困り果てていたある日ライバル店「安売り大魔王」へ
調査に出向いたところ偶然幼馴染みの井上花子と再会する。
五郎はスーパー好きである花子の鋭い視点を買って、花子を正直屋で雇う。
花子は早速問題の解決に取りかかるが
プライドだけは高い職人たちの協力を得られず苦労する。
それでもめげない花子は的確な改善策を提案し成果を上げ始めるのだが・・・
個人的な感想を言えば手に汗握るような決してスリリングな内容ではないが
同じ商売人としての視点で観て面白いと思ったし勉強にもなった。
僕はスーパーで働いた事はないが、本作公開から四半世紀経つので
スーパーの裏事情も大きく様変わりしてるとは思われる。
しかし、店側と客という立場での金のやり取りは今も昔も変わらない。
従業員と客、従業員と経営者、職人の扱い.、商売の理念・鉄則・・・
本作で描かれた彼らのやり取りから学べる要素も沢山詰まっている。
本作には実在したスーパーマーケットや日本スーパーマーケット協会が
全面協力したそうで、実際にあったスーパーの闇事情が描かれている。
・変色した肉を赤い蛍光灯でごまかす、古い肉の加工品への使い回し
・売れ残りの食品をパックし直して新しい日付で売るリパック
・輸入牛を和牛と表示して売る、脂身の分厚いステーキ肉や
肩ロース肉をばら肉で底上げする行為
・前日の売れ残った惣菜を翌日の弁当に入れる、等々。
これらは数年後に社会問題として大問題になったが
そうしたテーマを映画化した伊丹十三の先見性を世に知らしめる事になり
映画による影響で改善されたスーパーマーケットも数多くあったそうで
スーパーの社員教育・研修に本作が活用されるケースもあるそうだ。
ちなみに、本作は第20回日本アカデミー賞優秀作品賞などを受賞。
しかし、本作の翌年に遺作を残し伊丹監督は突然の死を遂げた。
日本映画界はとんでもなく惜しい天才を失ったなと思いますね。
ジャンジャン!!