二十歳だった1983年(昭和58年)に劇場で観た映画「竜二」を約37年ぶりに観た
自らが脚本を書き主演を務めた「金子正次」さんが「竜二」封切り8日後に33歳の若さで
癌でお亡くなりになったのは当時ちょっと話題になったが個人的には映画自体は
そこまで強く印象に残った作品ではなかったので内容もほぼ忘れてた(笑)
金子正次さんは個性派アウトローの役者で素晴らしい才能を持っており
将来を嘱望されていたが若すぎる突然の死で逝ってしまったのでコアなファンも少なくない
しかしながら個人的には当時はまだ駆け出しで
人気は一部マニアに限定されていたように思いますがね~
<あらすじ>
別れた妻と娘への未練からカタギになった新宿にシマを持つ
ヤクザ三東会の常任幹事・竜二
それでも彼を慕う舎弟分と慣れないカタギの仕事
ある日、配達中に職場の先輩が「俺も昔はワルだった」と
吹かしを入れた途端に大人しくしてる事への我慢の限界が来た
家に帰ろうとしたときに商店街の安売りに群がる愛妻の姿を見た竜二は
愕然として自分の本当に帰るべき場所はシノギを削った歌舞伎町だと悟り
白いスーツを着て歌舞伎町に舞い戻っていく
<感想>
仁義なき戦いなどのヤクザ群像路線と違い殆ど抗争や暴力シーンのない
ヤクザヒューマン映画という事で当時はイマイチ、ピンと来なかったが
今回観直したら意外と、良く出来た映画だと思った
先日劇場で観た、舘ひろしさん、綾野剛君主演の
「ヤクザと家族」に通ずるテイストだと感じた
ヤクザ社会でキャリアを積んできた男が妻子のために足を洗い転職したが
カタギの世界に馴染めなかった苦悩が何だか切ない
で、「竜二」をレンタルする時に目についた2002年(平成14年)の「竜二forever」という作品
「竜二」の続編?リメイク?金子正次さん亡くなってるのに竜二役を高橋克典君が演じるの?
って思ったのだが、観てみるとどうやらforeverの方は金子正次さんのドキュメンタリー映画で
高橋克典君が金子正次さんを演じて「竜二」制作から金子さんの死後までを
キャスト・スタッフ側から描いている作品だった
これが意外にも高橋君の金子正次役がハマって良い味出してるし
ドキュメンタリー監督・吉田豊さんをモデルにした田中豊を演じた
香川照之君はさすがの演技力で素晴らしいと思った
foreverを観て、より「竜二」が深く理解出来ました
foreverに出てくる高杉亘という役者が演じる羽黒大介のモデルは
松田優作さんだが金子さんとは深い関係だったようだ
時には衝突する事もあり距離を置いてた事もあったようだが
金子さんの危篤時には病院に駆けつけ看取られたそうだ
金子さんが癌で亡くなったのは1983年11月6日だが奇しくも
その6年後の1989年11月6日に松田優作さんも癌で亡くなられた
何かの因縁がそうさせたのか偶然かはわからないが
お二人が唯一無二の俳優だった事には違いないだろう
ジャンジャン!!