メンタリストと心理操作 | 初瀬蒼嗣の保守言論

初瀬蒼嗣の保守言論

保守の立場から政治思想を中心に意見を述べていきたいと思っています。

2019年01月11日
心理操作のおはなし

 





最近のテレビ番組では、例えば、1からKまでの13枚のトランプの中から、出演者がどのカードを選ぶのか、あるいは、何色かあるカラーから出演者がどの色を選ぶのか、恐ろしいまでに当てる者が、メンタリストという名で出演している。

彼は未来を予見する特別な能力があるわけでもなく、いわゆる霊感なるものを感じる能力があるわけでもなく、カンニング、つまりインチキによってその答えを知らされているわけでもなく、その本質は相手の心を操作することによって、現出されるシグナルを観察し、そのシグナルから相手の心を読んでいるのである。

ここで考えてみるべきだが、このような技術は、彼が編み出したものではなく、既に世の中に多くの人間が人間の心理を科学的に分析・研究してきた活動の存在がメンタリストなるものの心理操作あるいは読心術を支えているということであり、この分野に精通している知的エリートはこの技術を少なからず活用する術を知っており、実際に活用している人間が存在するということである。

あるいはこの心理操作あるいは読心術の技術者を雇い入れて、あるいは自分たちの仲間として取り込むことによって、自らの利益のためにその知識を活用している人間も存在しているのである。

このような活動が仮に裏通りの寂びれた建物の中で人知れず行われていると考えるならば、おおむね私たちには大きな関りのない話かもしれないが、実際にこのような心理操作および読心術はテレビ・新聞・ラジオ・週刊誌・オピニオン誌・インターネットなどのありとあらゆる媒体に入り込んでおり、同時に学会・政界・法曹界・医学界・大企業から中小企業に至るまでのありとあらゆる組織の中に潜んでいるのである。

私たちは私たちが選択して1からKのカードを選んでいるのではなく、つまり自由にカードを選択してるのではなく、自由な選択肢を与えられた人間から1からKのカードの中から特定のカードを選ばされていると形容したくなるような選択の連続を、日常生活の中で繰り返しているのかもしれない。それは必ずしもあなたの目の前に現れて解りやすいような形で繰り広げられていることではなく、あなたには見えない、聞こえない、感じない空間で繰り広げられているのかもしれない。

それは何も社会における市場でのやり取りのようなものばかりではなく、立法府における法律そのものが、公平性や自由な市場を装いながら、国家の権利を特定の組織人に対してのみ売り渡すようなものであるというものが事実として存在しているかのようでもある。そして誰もこのような立法府が行っている国家の権益の、特定の組織人への売り渡し、つまり政治家を取り込むことによって法律を作らせるといった行為を見抜けぬままに、ありとあらゆる権益が様々な工作、心理操作、読心術から行われているとは全く気がつかずにいるのである。

彼らがシンクタンクあるいはロビイストなる仮面を被った、情報機関、工作員であるという当たり前の事実を事実と見做せずに、現代人は、彼ら心理操作者に自らの権益のほとんどを売り渡そうとしているのである。そしてこのような心理操作者の攻撃を防ぐ術は、彼らの攻撃を正しく理解することからしか得られないだろう。

決して心理操作・読心術はフィクションではなく、現実に存在しているテクニックであり、それは善いことに使われている可能性よりは、悪事に利用されている可能性の方が圧倒的に高く、このような悪事は私たちに関わる多くの出来事に見事に直結しており、私たちが世の中がオカシイと感じる原因の多くは、実際にはこのような心理操作および読心術の人知れず、闇に隠れて行われている活動である可能性は実際には存在している。

 

ちなみにテレビタレントのいわゆるメンタリストと呼ばれる人が、人間として行ってはいけない類の悪事を働いているということを言いたい訳ではないので誤解のないように。