第17回 なぞがたりなばり「北森鴻の旅とミステリー」/2007.11.24 | PERFECT PERSONAL WORLD

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西に東に、はてしない追っかけ日記

10年前の今日、三重県名張市の講演会「第17 なぞがたりなばり」へ。

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ミステリ作家・北森鴻さんとお会い出来た、最初で最後の機会でした。



ちょうどこの頃に、北森鴻さんにハマっていて、貪り読んでいた頃に、講演会の開催を知り、開催される名張市が、当時住んでいた大阪の家から、どうにか行けると知り、近鉄で2時間~3時間掛けて行きました。


近鉄の車中、文庫になったばかりの「蛍坂」の表題作を読み、そのラストに感動したのをよく覚えています。



名張市は江戸川乱歩生誕の地、この頃?乱歩生誕の地の記念碑が建ったのかな。その縁で毎年、日本推理作家協会からミステリ作家を招かれ、この年が北森さん。

行ってみたら、講演会の前に当時の名張市長の挨拶もあったし、花束贈呈など、本格的な行事で驚きました(笑)


この時の講演会の講演録はPDFで公開されて(掲載は休止中みたい)ますが、淡々と話される中でも、お得意の民俗学の話は真剣に語られていた印象、時折笑いを入れられたり、推協や親しい作家さんの裏話を語られたりと、とても楽しい講演会でした。

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質問コーナーでは、当時お気に入りだった「『裏京都』シリーズや『親不孝通り』シリーズで、地元の人しか知らないような場所を書かれるのは何故ですか?」と質問。


……実際は、無茶苦茶緊張して、かなりしどろもどろでした(笑)


博多の屋台の特殊(壁で囲まれてる)さを語られて話題を膨らませて、福岡でも京都でも「他の人が書いてないところを書きたかった」と結ばれて、持たれてる知識の幅の広さ、人間の豊かさを実感したものでした。


この時教えて頂いた、「親不孝通りシリーズ」に登場する屋台バーのモデル、冷泉公園に出てる「えびちゃん」には5年前に行きました。カクテルも料理も美味しかったなあ……




サイン会はこの時発売日直前で、先行発売の形になった、香菜里屋シリーズの最終作「香菜里屋を知ってますか」に。これが、北森さんに頂いた最初で最後のサイン本になるとは……

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サインして頂く時、「母方の親戚が屋台の元締めなんですよ」「そうなんですか!」「香菜里屋シリーズ、最後ですが、また北森作品の登場人物が集まる(北森鴻作品は登場人物同士が作品間を行き来してる)場所を作ってください」とお願いすると、「香菜里屋の2号店作らないとねえ(笑)」と。


浅野里沙子先生が書き継がれた「邪馬台」に、風の噂で香菜里屋のマスター・工藤の消息と、工藤の親友・香月の店に北森作品の登場人物が集まるのは、物語上の必然はあるにせよ、もしかしたら、そういう声が多かったからなのかな、と今になって思います。


サイン会の後だったと思うけど、講演前にこの日の告知ポスターに秘められた「暗号」がクイズに出されて、その解答が企画されたN市のAさんから。その解答に、北森さんも苦笑されて「これ分かる人、特殊な思考をお持ちな方ですよ(笑)」と。


実際、正解者ゼロでした(笑)


賞品の北森さんのサイン入りポスターは、解答者全員にプレゼントされて。


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今でも大事な私の宝物です。



2010年の125日にお亡くなりになり、ある作家さんのSNSで訃報が伝えられた時は、本当にショックでした。


この日、同じ会場に居た方と後に知り合い、今でもミステリを通じて交流があることは、北森さんの遺徳故だと思ってます。


また、北森さんのお兄様や、パートナーの浅野里沙子先生といった、北森さんをよく知る方々ともお会い出来て、北森さんのことをお聞きする機会があって、お話を聞くたびに、もっとお会いしてお話をお聞きしたかった、心からそう思います。



一度でもお会い出来て、本当に良かったです。



毎年、北森鴻さんの命日に近い週末に、京都の大悲閣千光寺で、北森鴻さんを偲ぶ「酔鴻忌」が開かれています。


次回は2018128日の開催だそうです。


詳しくは、ファンサイト・酔鴻思考様(http://kitamori.nobody.jp/suikou.htm)参照。