ワインを傾け 作家と語る 大人のブック座談会 加来構三「黒田官兵衛」 | PERFECT PERSONAL WORLD

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ワインを傾け 作家と語る 大人のブック座談会 加来構三「黒田官兵衛」・レポート/2013.12.18 天神 書斎りーぶる

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天神は書斎りーぶるにて「ワインを傾け 作家と語る 大人のブック座談会 加来構三『黒田官兵衛』」に参加。


大河ドラマ「軍師官兵衛」放映開始が近付くにつれて、福岡では街ではあちこちに幟が、書店では関連本が、公民館等では黒田官兵衛に関しての講演会が目立つようになってきた。
黒田官兵衛については、持っている知識が少ないので、せっかく黒田官兵衛に纏わる土地に住んでいるなら、講演会のどれかに参加したいと考えていた時に、書斎りーぶるさんのHP(http://www.shosai-livre.com/main/welcome.html)で加来耕三先生の座談会を知った。

加来耕三先生といえば、私が歴史にハマった小学生の頃から、三国志の解説本等、昔から読んできた作家の一人だったので、すぐに座談会を申し込んだ。


会場の書斎りーぶるは、福岡市内の天神の北、近所のショッパーズダイエーにあったリーブル天神が移転した書店。
リーブル天神時代の大型書店から大きく雰囲気を変えて、落とし目の照明と棚一面に埋められた本棚から、落ち着いた雰囲気が感じられる。
平台の本の積み方や、特集の見せ方等、書店というよりは、どこか雑貨屋のような雰囲気も感じて、前から気になっていた書店だった。

また、お客さんがオススメの本に紹介文を書けるリアルレビューという取り組みが面白い。書いたレビューはキャプションにして、本に吊るしてもらえることと、200円で販売しているコーヒーの無料券がプレゼントされるという嬉しい特典も。

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会場になった「自由空間エスパスリーぶる」は、普段はカフェスペースとして解放され、店内の本を持ち込んで立ち読みならぬ、「座り読み」が出来るという。
殆ど毎日、何らかのイベントが行なわれていて、「参加型」「交流型」の書店を目指しているという。
今回の座談会を申し込んだ際に、ゆっくりと店内を見て回って「良い本屋を見つけたな」と嬉しい気持ちになった。



当日。たまたま席が近くになった店長さんと「リーブル天神と大きく雰囲気が変わりましたね、方向は間違ってないと思います!」と話すと、「普通の本屋さんだけでは、生き残りにくくなりましたので(笑)」と返されて、笑えないなと思った。

ほぼ上記の内容を店長さんが挨拶の際、「Amazon等のネット書店に対して、参加型の書店を目指します」と言われていたのが印象的だった。

会場の「自由空間エスパスリーぶる」には、20人程の参加者が詰めていて、中央のテーブルには赤ワインと、枝豆、お菓子類のおつまみが並んでいて、自由に飲食出来る。これで参加費0円!という大盤振る舞い。

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スポンサーであるポプラ社さんの「戦国人物伝 黒田官兵衛」を中心に、テーブルの上には加来先生の黒田官兵衛本が飾られていた。


店長さんの挨拶に続いて、早速加来先生の講演がスタート。
生い立ちから、作家を志し、大物作家への弟子入り志願した話、その作家さんから「マスコミで働け」と勧められて、某新聞社を受けられた話、出版社を立ち上げた話をしていると、店長さんから「そろそろ黒田官兵衛の話を……」と促されて(笑)秀吉の中国大返しの話を。
大返しの際に、官兵衛がやった根回しを高く評価されていた。毛利方へ、内応者の連判上を見せて牽制したこと、将兵の出世欲をかき立てて士気を保ったこと、畿内の武将を味方に付けて、織田信孝の軍勢を上回る兵力を動員し明智光秀討伐軍の主導権を握ったこと等。

黒田官兵衛の話よりも、歴史家として「歴史とどう向き合っていくか?」ということを主題で話されていた印象を受けた。「何と無く知っている」ということは「知っているうちに入らない」と、「歴史は点ではなく、線で見る」こと、「その結果に至るまでの過程が大事」という話には大いに頷くものがあった。

例として上げられた徳川家康から見た関ヶ原の戦い、「我々は知識として東軍が勝つことは知っているけど、きっと誰も一日で決着が付くとは思わなかっただろう」と。
家康が率いていたのは東海道筋の豊臣方の大名、もし、敗退することになった際、関東への道は東海道か、徳川秀忠が進む中山道、徳川秀忠が主力を率いて中山道を進んだのは偶然ではなく、示し合わせてたのではないか?関ヶ原の戦いも、前日に家康が決戦を決意したのであった、秀忠と示し合わせたわけではなく、遅参という言葉は当たらないとも。小説は真田幸村(上田合戦のこと?)を英雄にしたがると。ちなみに、「真田幸村なる人物は存在しない」と、武田信玄=武田晴信から偏諱を受けて、武田信繁の名にあやかった、「真田信繁」が本名、「真田幸村」の名が広まったのは、猿飛佐助と一緒に大正時代から、講談の世界でということも紹介されていた。

あと、黒田長政を「黒田官兵衛と竹中半兵衛の『ニ兵衛』両方の弟子」と高く評されていた。一例で、長政が匿われた竹中半兵衛の所領、菩提山城は実は関ヶ原の近く。関ヶ原の戦いで黒田勢が石田方の名将・島左近を狙撃するが、壬申の乱の例で、いつか天下分け目の戦いが行なわれるかもと地理を教えていたのではないかと。

他にも、黒田官兵衛が民を思って、所領の石高を低めに申告していた(租税に影響する)話、朝鮮出兵(原因を中国の絹織物等の技術の獲得と考えられている)への反対を強く言えなかった、批判的な行動を取ることで秀吉に気持ちを伝えたかった等、興味深いお話の数々を上機嫌に語られて。

とても記事に出来ない(笑)NHK大河ドラマの裏話の数々や、現代日本の今後について、また別ペンネームで「るろうに剣心」の原作を手掛けられた話も。るろ剣原作は、多分小説版のことかなと。

まとめとして幾つか語られた話のうち、


「歴史について、それが本当にあったことか、作者が作ったものか、『考えて』みて欲しい。感動した小説、場面があれば、同じテーマで書かれている本を5冊~3冊は読んでみて欲しい、そうすれば自分に近い考えのものに出会えると思うし、自分の考えも見えてくる」


と言われたことが、特に印象に残った。

予定では、夜7時~8時までが座談会だったが、大幅に延びて9時過ぎに座談会が終了。その後はサイン会。

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皆さん、ポプラ社の「黒田官兵衛」を持ってこられる中、私は参加申し込み時に注文しておいた加来先生の「直江兼続」を。
やっぱり、今だに一番惹かれている人なので。この本もポプラ社の本で、本当に良かった(笑)

サインしていただく時に、「直江兼続は本当に家康に挑みたかったんでしょうか?」と聞いてみたら、「心情としては、戦いたかったと思いますが、やっぱり景勝が止めましたしねえ」と。

大河「天地人」の感想を聞いた際に、編集者時代の原作の火坂雅志さんとお知り合いだった話も。
記念写真(iPhoneでの撮影が難しく、何回か撮り直してもらった)の際に、


「小学生くらいから、先生の『三国志』の謎本等を読んでました。多分、歴史にハマったのは先生の本の影響です。るろ剣小説も、明治時代の空気感が伝わってきて好きです」


と、お伝えすると喜んでもらえた。店を出られる時は「頑張ってね!」と握手してもらえて!

……そんなに、貧相に見えたかな(笑)